初めてフルマラソンに挑戦するランナーにとって、大会当日のペース配分をどうすれば良いかというのは悩みどころです。
フルマラソンでのペース配分を考える時、初心者が最初に心に刻んでおく事が2点あります。
1つめは
POINT1
・元気一杯な序盤で、絶対頑張らないこと
この大原則を忘れると、終盤もれなく地獄を味わいますので要注意です^^;
フルマラソンに慣れた上級者にとっても30kmまでは頑張らない!というのは鉄則であり、
「序盤は眠るように走る」
「マラソンの中間点は21kmじゃない。30kmだ。」
「30kmまでは、ただの移動」
「何も考えず、静かに優しく巡航」
そんな言葉を心に留めながらスタートしています。
スタート直後の混雑時に、ジグザグと頑張って他のランナーを抜かしていくのも体力と糖を無駄遣いするので、厳禁ですよ。
序盤は流れに任せ、準備運動する気持ちでゆっくりと進んでください。
そして2つめ。
スタートしてからしばらくすると、初心者ランナーに罠が仕掛けられています^^;
5km~10kmくらい走ると、身体が走る事に順応して非常に楽な状態になるんです。
これを
「セカンドウインド」
と言います。
POINT2
・セカンドウインドにだまされないこと
「あれ?凄く走るのが楽だ…今日は調子が良いのかも!自然とペースアップできそうだ♪」
そんな風に考えてペースアップしたら最後、終盤歩き通しで完走も果たせないかもしれません。要注意です。
それを踏まえた上で、フルマラソンの走り方を考えていきます。
目次
フルマラソンで走るペースの決め方
1.完走目安の平均ペースに騙されるな
あなたが走る初フルマラソンのレース、制限時間は何時間でしょうか。
日本国内のフルマラソンのレースであれば、6時間制限が多いです。
ただ5時間や5時間半、6時間半、7時間、中には8時間など、様々な制限時間があります。
例えば制限時間6時間だとすると、制限時間一杯を使ったゴールだと1kmあたりの平均ペースは
8分30秒/km
8分30秒/kmというスピードで走る事が困難だという人は、さほど多くはいないでしょう。10kmや20kmなら軽々と走れるに違いありません。
平均ペースから考えると完走の難易度は高く感じないかもしれませんが、フルマラソンの中盤以降にペースを維持するのは、初心者ほど非常に難しいです。
制限時間から考える平均ペースを、自分が走るペースにしてはいけません。
イーブンペースでようやく制限時間ギリギリに間に合う程度のペースで走り出すと、中盤以降のペースダウンやトラブルに対応出来ずに関門タイムアウトなどのリタイアにつながります。
フルマラソンでリタイアの原因となるのは中盤以降のペースダウンも含めて、主に以下のような事が考えられます。
リタイアの原因1.序盤のオーバーペース
2.途中で疲労や脚の攣り・痛みが強くなって止まったり、歩いたりしてタイムアップ
3.補給や給水作戦の失敗で、ハンガーノックなどの状況に陥った
予定しているペース配分を堅守する事で回避出来るのは1と2.
2は意外かもしれませんが、ペース配分を考えて静かにマイペースで巡航する事で、体力や糖(グリコーゲン)の温存と身体に受けるダメージを軽くする事ができます。
2.普段のジョギングから決めてみる
フルマラソンに挑戦しようとするのであれば、これからレースまでに何度もジョギングで練習を積んでいくと思います。(またはすでに積んできていると思います)
ジョギングのペースは人それぞれであり、主観的に楽なペースで走っている人もいるでしょうし、ある程度キツめのペースで走ってる方もいらっしゃるでしょう。
でも例えば
「これから30km走ってください」
と言えば、30km走れるであろう、ある程度スピードを抑えたペースで走り始めるのではないでしょうか。
そしておそらくそのペースは走り出しても全く苦しくない、非常に楽なペースでしょう。
「全然呼吸が乱れない、楽過ぎるスピードだ」
という程度のペースが、初心者のフルマラソン適正ペースだったりします。
その”非常に楽なペース”が例えば6分30秒/kmだとしたら、6分30秒/kmで走り始めてください。
制限時間6時間の平均ペースである8分30秒/kmに、あえて寄せる必要はありません。
3.実際にロング走を完遂できたペースにする
初めてフルマラソンを走るランナーであっても、レースの前に少なくとも1~2回はロング走(30km走)を実施しておくのが望ましいです。
実際に練習で30kmまで走れたペースであれば、テーパリング(疲労抜き)やピーキングをして万全の状態で臨む本番では42kmまでそのペースに近いところで走れる可能性が高まります。
実際のロング走を完遂できたペースで本番に臨むのが、一番確実なペース決定の方法と言えるでしょう。
目標タイム別のペース配分
初フルマラソンでもサブ4よりも速いタイムを目標とするランナーの方は「タイム別の練習方法」というカテゴリーから、目標タイムの記事をご覧頂ければと思います。
ここでは4時間を超えるタイムを目標とする方のペース配分について考えていきます。
4時間30分以内のゴールを目指すペース配分
4時間半でのゴールを目指すとすると、レース全体の平均ペースは
6分23秒/km
になります。
後半はゆるやかなペースダウンで収める事が出来そうなら、6分/kmでスタートするのが良いでしょう。
何とか20kmまでイーブンペースで走り、その後は少しずつペースダウンしていき、終盤は多少歩いても4時間30分切り達成となるプランです。
以下のペース配分表ではスタートのロスは考慮していませんが、ゴールタイムを少し早めに設定していますので、ある程度は対応可能にしています。
ラップ | ペース | 通過タイム | |
---|---|---|---|
5km | 30'00 | 6'00/km | 30'00 |
10km | 30'00 | 6'00/km | 1'00'00 |
15km | 30'00 | 6'00/km | 1'30'00 |
20km | 30'00 | 6'00/km | 2'00'00 |
ハーフ | 2'06'47 | ||
25km | 30'50 | 6'10/km | 2'30'50 |
30km | 31'40 | 6'20/km | 3'02'30 |
35km | 32'30 | 6'30/km | 3'35'00 |
40km | 33'20 | 6'40/km | 4'08'20 |
ゴール | 15'20 | 7'00/km | 4'23'40 |
5時間以内のゴールを目指すペース配分
5時間以内でのゴールを目指すとすると、レース全体の平均ペースは
7分06秒/km
になります。
後半はゆるやかなペースダウンで収める事が出来そうなら、6分40秒/kmでスタートするのが良いでしょう。
少し貯金を多めにして終盤に臨みたい、6分30秒/kmのスピードでも問題ない、という方であれば6’30/kmでいきましょう。
終盤の苦しくなってきた場面で少しだけ歩いたり、エイドで休む・ストレッチをする、そういった事も”貯金”が多めにあれば問題なく出来るでしょう。
以下のペース配分表ではスタートのロスは考慮していませんが、ゴールタイムを少し早めに設定していますので、ある程度は対応可能にしています。
ラップ | ペース | 通過タイム | |
---|---|---|---|
5km | 33'20 | 6'40/km | 33'20 |
10km | 33'20 | 6'40/km | 1'06'40 |
15km | 33'20 | 6'40/km | 1'40'00 |
20km | 33'20 | 6'40/km | 2'13'20 |
ハーフ | 2'21'00 | ||
25km | 35'00 | 7'00/km | 2'48'20 |
30km | 35'50 | 7'10/km | 3'24'10 |
35km | 36'40 | 7'20/km | 4'00'50 |
40km | 37'30 | 7'30/km | 4'38'20 |
ゴール | 16'50 | 7'40/km | 4'55'10 |
6時間以内のゴールを目指すペース配分
6時間以内でのゴールを目指すとすると、レース全体の平均ペースは
8分30秒/km
になります。
完走目的となりますので、道中は何度も歩く事が前提となります。
序盤であっても斜度のキツい登り坂などがあれば、あえて走らずに早歩きで登るのも体力温存の戦略として入ってきます。
走り出しは前述したように、自分が楽に感じるジョギングペースでスタート。
登り坂やエイド以外は出来るだけ止まらず走り続けて距離を稼ぎ、疲労や痛みで走り続ける事が難しくなってきたら、エイド毎に補給・休憩やストレッチなどをしながら進み続けます。
7分/kmで500m走って、12分/kmで500m歩くと、1kmの平均ペースは9分30秒/km。
終盤苦しくなった時は上記のような設定を思い出して頂き、何とか9分30秒/kmは維持する!という気持ちでゴールに向かって頑張ってください。
以下のペース配分表ではスタートのロスは考慮していませんが、ゴールタイムを少し早めに設定していますので、ある程度は対応可能にしています。
ラップ | ペース | 通過タイム | |
---|---|---|---|
5km | 35'00 | 7'00/km | 35'00 |
10km | 35'00 | 7'00/km | 1'10'00 |
15km | 35'00 | 7'00/km | 1'45'00 |
20km | 37'30 | 7'30/km | 2'22'30 |
ハーフ | 2'23'50 | ||
25km | 40'00 | 8'00/km | 3'02'30 |
30km | 42'30 | 8'30/km | 3'45'00 |
35km | 47'30 | 9'30/km | 4'32'30 |
40km | 47'30 | 9'30/km | 5'20'00 |
ゴール | 22'00 | 10'00/km | 5'40'00 |
まとめ
フルマラソンに向けて頑張って練習してきて充分完走する走力が付いていたとしても、本番でのレースプランを誤ると大変な事になります。
関門時間制限に引っかかってしまったり、終盤で疲労や痛みなどのトラブルで大幅なペースダウン、ないしは走る事が出来なくなってリタイアしてしまいます。
一番最初に記載しましたが、初心者が最もやってしまいがちな事は
序盤に速いペースで走ってしまうこと、そして終盤の大失速
なんです。とにかく、定番中の定番です^^;
しかもレース中、自分では
「これは速いペースだ」
と感じないところに罠があるんです。
事前に練習でしっかり本番での巡航ペースを確認、ペース配分を決めること。
そしてレースではいくら楽だと感じても、練習と計画で決めたペースをトレースしながら淡々と走る。
決めたペースは鉄の掟として守る。
35km過ぎて余裕があったら、いくらでもスピードアップしてください^^;
序盤に身体が軽くなって速く走りたくなったり、美ジョガーやイケメンランナーに抜かれて本能的に付いていきたくなっても、付いていってはいけません!(笑)
美ジョガー・イケメンランナーの強い誘惑に勝てたら、完走はもう目の前です(ホントかw