【超重要!】フルマラソン3週間前からはじめる「テーパリング」とは

本命レースに向けてどのように自分の疲労を抜き、体調を整えていけば良いか悩んでいるランナーは多いのではないでしょうか。

日々の練習は大事ですが、テーパリングが上手く出来るかどうかで、本番でのタイムは大きく変わってきます。

今回はフルマラソン3週間前から始める「テーパリング」について考えてみます。

【解説動画】レース3週間前から始めるテーパリング(ピーキング・疲労抜き)とは?コレ知らなきゃ撃沈確定

ブログの内容は、以下の動画でも解説しています!

フルマラソン3週間前から始めるテーパリング

マラソンに関しては、最低2週間が必要で、3週間あれば理想的だという見解で一致している。テーパリング期間が短すぎるちレースの日に疲労が残り、逆に長過ぎると体力が落ちてしまう。~中略~ マラソンの場合、3週間のテーパリングを適切な計画のもとで行えば、最大限に力を高め、なおかつ十分に回復した状態でレースに臨むことができる。

アドバンスト・マラソントレーニング 第3版

スポーツにおけるテーパリングとは、一般的にレース3週間前までに蓄積してきた疲労を3週間(年齢や個人の体力的要因によっては、2週間や1週間の場合もある)かけて徐々に抜いていき、レース本番で最高のパフォーマンスを発揮する為に必要だと考えられているものです。

ひとえに「テーパリング」と言っても、指導者・コーチによって取り入れているテーパリング方法は様々です。

そして個人の年齢や体力などによっても効果的なやり方は少しずつ異なりますが、代表的なテーパリングの方法で調整しているランナーは比較的多いと思います。

アドバンスト・マラソントレーニング 第3版」に記載されているテーパリングの方法や「RUNNERS’WORLD」で代表的なテーパリングとして取り上げられているものは、概ね同じような内容であり、以下の方法です。

レース3週間前~

週間走行距離を20%~25%落とす。枯渇したグリコーゲンの再補充と筋肉組織の回復が目的。例えば週間70km(月間300km前後)のランナーは52.5km~56kmほどに距離を減らす。

Reducing your total weekly volume by 20 to 25 percent during this week gives your body a chance to recover from all that hard work by restocking depleted glycogen supplies and repairing tissue damage.

出典:RUNNERS’WORLD

レース2週間前~

週間走行距離を3週間前に走った距離より、さらに20%~25%落とす。ランニングの全てをイージーペースで実施。3週間前に55km走ったなら、41km~44kmまで距離を減らす。

During week two of your taper, you’ll reduce your mileage an additional 20 to 25 percent, and you’ll run everything easy.

出典:RUNNERS’WORLD

レース1週間前~

レースのある週。この週は4日だけ走るようにする。マラソン初心者は4.8km~6.4km、上級者は週初めに9.6kmほどのランニングを2回ほど入れたり、同じく週初めに1.6km~6.4kmほどのマラソンペース走を入れることで、身体の切れを維持するのに役立ちます。その時、アップ&ダウンで1.6kmずつ走ります。上級者で考えると、週間走行距離は30kmほどになりますので、2週間前よりもさらに20%~25%距離を落とすことになります。

Reduce your running to just four days this week. New marathoners may run no more than three or four miles at a time, while advanced runners may do a couple of six-milers early in the week. A very light, race-pace workout early in the week can help you stay sharp. Run one to four miles at marathon pace with a one-mile warmup and cooldown.

出典:RUNNERS’WORLD

そして、 原則は「距離は減らしても強度は維持する」です。

効果的にテーパリングを行うためには、トレーニング強度を維持しながら走行距離を大幅に減らすことが重要である。~中略~ そうすれば、数カ月間にわたり苦労して得たトレーニング適応を維持することができる。

アドバンスト・マラソントレーニング 第3版

距離を減らしても強度を減らさないテーパリングの練習例としては

★レース3週間前~★

レース3週間前に30km走(マラソンペース)、その後は平日1回いつものペースでスピード練習+その他の走る日はジョグ、いずれも走る距離は通常時の75%~80%。

例えば、いつも5kmの閾値走をやってるなら4km、ジョグ10kmなら7~8kmほど。

日 レース前最後のロング走(Mペース)

月  ランオフ

火 10km→7km~8km

水 閾値走5km→4km

木 10km→7km~8km

金 ランオフ

土 10km→7km~8km

★レース2週間前~★

レース2週間前に20km走(マラソンペースorハーフレースやマラソンペースより少し速めのペース)、その後は平日1回いつものペースでスピード練習+その他の走る日はジョグ、いずれも走る距離は通常時の60%~65%。

例えば、いつも1000mインターバル5本やってるなら3本、ジョグ10kmなら6~7kmほど。

日 15km~20km(Mペースor少し速め)

月  ランオフ

火 10km→6km~7km

水 インターバル3~4本(設定はIのまま)

木 10km→6km~7km

金 ランオフ

土 10km→6km~7km

★レース1週間前~★

レース1週間前に10km走(マラソンペースや少し速め)か、閾値走などのスピード練習系。

レース4日前の水曜日に刺激走を入れる人も多いですが、上記によればペースはマラソンペース走に留めていますね。

その他の日にジョグで走るのであれば、距離は通常時の50~55%ほど。

日 10km~12km(Mペースor少し速め)

月  ランオフ

火 10km→5km前後

水 2km~3km(Mペース~Tペース)

木 10km→5km前後

金 ランオフ

土 ランオフ

日 レース

まずは一般的なテーパリングのやり方で調整してみて、合わないようであれば、個々に合うやり方を確立するのが良いでしょう。

プロフィールの冒頭にも記載していますが、私が「ハシルコト」というブログを作り始めたのは、自分がマラソンを始めた頃「ラン友」と呼ばれる...



ザトペック効果 意図しないピーキング現象

ザトペックは1940年台~1950年台に活躍した、チェコの陸上選手。オリンピックで5000m、10000m、マラソンで金メダルを獲得した名選手です。知ってる人も多いかもしれません。インターバルトレーニングの創始者としても知られています。

詳しくはWikipedia エミール・ザトペックにて。

このザトペックは「The Zatopek Effect」(ザトペック効果)のお話でも良く知られています。

彼はトレーニング方法が確立されていない当時、自分で考えて「400m×100本のインターバルを2週間毎日続ける(レスト150m、午前50本・午後50本)」など、ありえない練習をする選手でしたが、ある大会の前に病気になり病院への入院を余儀なくされてしまった。

大会2日前に退院したものの、当然全く練習は積めていない。医者からもドクターストップ。

でもそんなドクターのアドバイスを無視して5000mと10000mレースを走り、いずれも優勝し、世界記録に次ぐ素晴らしいタイムだったということ。

似たようなことは様々なスポーツで起こり、レース前に怪我や病気で数日ないしは数週間休んだ選手がパーソナルベストを出す場面を見てきたそうです。

参考:History Lesson: The Zatopek Effect

ちなみにザトペックは、強烈ともいえるポイント練習を森の中、つまり土の上で実施していたので、こんなありえない強度の練習でもあまり怪我をしなかったそうですよ。

まとめ

本番のレースが近づくにつれて不安感が増し、ついつい長い距離を走ったり強度を強めにしてしまいがちです。

しかし、強度の高い練習で得られる走力アップはわずか。それどころか疲労が増して本番で悪影響を及ぼす可能性もあります。

疲労を完全に抜いてレースに臨む事が出来た時のパフォーマンスアップはとても大きいという事が「ザトペック効果」からも分かります。

距離・質ともに充実した厳しい練習はレース3週間前までにし、そこからはレースに向けて疲労を抜き、体調を整えることを第一に考えて過ごしていきましょう。

それまで練習を積み上げて培ってきた実力、その全てを本番のレースで発揮できますように!

フルマラソンを間近に控えたランナー、レースまでの大事な1週間をどうやって過ごしていくかによって、本番での結果が大きく変わってくる可能性がある...


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ありがたい事に大…

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コメント

  1. はりせんぼん より:

    げんさん、こんばんは。
    何度かコメントさせていただきましたはりせんぼんです。
    コメントのたびに、練習方法のアドバイスやためになるお話を紹介していただき、ありがたいです。
    今回、テーパリングという調整方法のテーマを読み、「確かに!!」と納得することがたくさんありました。
    今年は初つくばにエントリーし、既にテーパリングに入っておりますが、10月に走りこんだことが原因なのか、初めて歯茎が腫れました。
    幸いにして足の故障などは一切なく、「今年は歯茎が腫れるほど頑張った!!」という訳のわからない自信があります(笑)
    つくばまでは、苦手なスピード練習をサクサクと整える程度にして、疲労をしっかりと取り除きたいと思います。
    げんさんもつくばで2時間50分切りを目指しているとのこと、レベルは全く違いますが同じ市民ランナーの方がここまでタイムを出せることにビックリすると同時に、勇気づけられます。
    いい結果を報告できるように頑張ります。

    • げん より:

      あー!はりせんぼんさん、お久しぶりです!コメント頂き、ありがとうございます(*^^*)

      テーパリングの記事を読んでくださったのですね。ありがとうございます♪
      はりせんぼんさんのように、凄い距離を走り込むレベルの高いランナーさんにとって、テーパリングは一層重要になりますよね。

      今回は歯茎が腫れましたか^^; 私も疲労が積み上がってくるとヘルペスやら出来物やら、色々出てきます(笑)
      私も何か出てくると「よしよし…オレは頑張ってるぜ」と思わずにはいられませんw

      はりせんぼんさんもつくばマラソンに出場されるのですね!
      同じ市民ランナー、レベルの違いなど全く関係ございません。
      目標達成に向けて、お互い頑張りましょう!!

  2. 水ナス倶楽部 より:

    genさんはじめまして!
    水ナス倶楽部と申します!
    大変勉強になるサイトをありがとうございます!‍♂️
    当方経験が浅く自分ではテーパリングのメニューを組むのに行き詰まってしまったのでコメントさせて頂きます。
    次のマラソン(泉州マラソン)にてうまくいけばサブ3をと考えています。
    レース3週間前からのテーパリングをgenさんのサイトを元に考えておりましたが、レース3週間前の前日にどうしても外せない飲み会が入ってしまってます
    なのでレース1ヶ月前に30キロ走を実施し、3週間前は不明その後はお手本通りにと考えています。
    genさんなら不明の所をどのようなメニュー組まれますか?またはその前後のメニューを変えたりしますか?距離や強度の点も含めてgenさんのご意見を宜しくお願い致します‍♂️
    初めての質問でいくつもあつかましい質問ばかり申し訳ありませんがどうぞ宜しくお願い致します!‍♂️

    • げん より:

      水ナス倶楽部さん、はじめまして♪ ブログ休止中のため、お返事が遅くなりました事をお詫び申し上げますm(_ _)m

      泉州マラソンまであと3週間となり、すでにご質問の期間に入ってしまいました。すみません。

      私たち市民ランナーは、仕事や家族との予定などで思う通りに練習予定をこなせない事がしばしば…というか、そんな事ばかり(笑)
      テーパリング・ピーキングの典型的なメニューはあるのですが、仕事や家庭の日程的に1ヶ月前に30km走を終えても良いでしょうし、人によっては2週間前~1週間前に30km走をした方が調子が上がる人もいます。

      その辺りは人それぞれ、自分に合った調整方法が異なります。
      レースごとに様々な調整方法を試し、自分にとって最適な調整方法を模索していくのが基本と考えております。

      そのためには日々のランニング記録や日記的な、後から自分が見て分かるようなコメントを付けていると、調整方法は確立しやすいと思います。

      是非色々と試してみてください!