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ハーフ1時間25分(85分)切りの意味するところ
ハーフマラソンで1時間25分(85分)を切ること…フルマラソンで徐々にタイムアップをしてきたランナーにとって、ハーフで85分切りを達成する事は一つの大きな目標となっているのではないでしょうか。
それは何故か。
フルマラソンでサブ3を達成するための、ハーフマラソンのタイム的な目安となる
からですよね。
サブ3達成するためのVDOTは54。
ハーフマラソンで必要な目安のタイムは1時間25分40秒となっています。
しかし!
スピードタイプのランナーは特に、1時間25分40秒前後のPBを持っていてもサブ3達成出来ない人が多いですよね。
少なくとも1時間24分(84分)前後で走るスピードが欲しいところ。
VDOTのランク的にもう1つか2つ上を目指すのが、スピードタイプのランナーにとっての常道といえるでしょう。
スピードタイプのランナーでなくともハーフ85分を切るスピードがあれば、フルマラソンの本番当日に少しくらい調子が悪かったとしてもサブ3を狙えます。
実はこれ、結構大事。
100%の実力を発揮しないと目標達成出来ないような走力で、フルマラソンの本番当日に挑んではいけません。
走力・作戦・体調・コース・天候・気温・風・補給・給水…上げたらキリがない、不確定要素満載のフルマラソンで
全てが最高の状況で走れるレースなんて、ほぼありません。
少しくらい悪条件が重なっても、予定通りのペースで巡航出来る力をつけて挑戦するべきなんです。
という事で、サブ3を目指すのであれば
スピードタイプ:1時間24分切り(3’58/km)
スタミナタイプ:1時間25分切り(4’01/km)
をオススメしたいです。
ちなみに私が初めてサブ3した2016年11月のつくばマラソンの1ヶ月前”フードバレーとかち”というハーフマラソンのレースに出場した時は、1時間22分51秒(当時のPB)でした。
私は特にフルマラソンが苦手でしたので、これ位のハーフマラソンのタイムが必要だったのかもしれません^^;
キロ4近辺でハーフを何とか走れれば、フルマラソンでは10秒/km落として4’10/kmで巡航、30km地点まで多少の余裕を持ちつつ、ペースダウンせずに到達出来る可能性が高まります。
では、85分切りのための練習について考えてみます。
ハーフ1時間25分(85分)切りのための練習
1時間25分(85分)切りの平均ペースは4’01/km。
仮にVDOT55で考えると、閾値ペースは3’56/km。
閾値のペースから5秒/kmしか変わらないペースでハーフ…考えただけでキツそうです^^;
ハーフマラソンではフルマラソンのように”脚が終わる”ような事が少ないですが、最初から閾値に近いスピードで巡航するため、レース終盤にペースアップして何kmも走るのは難しいです。
なので、単純に目指す平均ペースから数秒/km速い程度のペースで入って、イーブンを狙うレースプランが一般的になります。
ダニエルズのランニングフォーミュラを参考にしながら
(ハーフマラソンは)ごく平均的なランナーでもTペースより1kmあたりおおよご5~6秒遅いペースである。したがって、トレーニングプログラムの中でもTペースランニングを特に重視しなければならない。
ダニエルズのランニング・フォーミュラではフルマラソンでもハーフマラソンでも「フェーズ」と称する「期分け」をして、練習内容が記載されています。
ハーフでは、1フェーズを少なくとも4週間・出来れば6週間として、4フェーズ。
つまり16週間~24週間(4ヶ月~6ヶ月)のハーフマラソン向けプログラムになっています。
フェーズ1は準備期間として設定されていますが、ハーフ85分を目指すようなランナーであれば、すでに日々のジョグ+ポイント練習はしていると思います。
従って、重点的に走力アップを目指すフェーズ2・フェーズ3、合計8~12週間の練習について考えていきます。
なお、各フェーズで利用するTペース・Iペース・Rペースは自分のVDOTを確認の上、適切なペースで実施してください。
フェーズ2(4~6週間)
ハーフで1時間25分を切るために最も苦労するのが
キロ4での巡航
ではないでしょうか。
つまり4’00/kmというペースが”ハーフを走るには少し苦しい”という事です。
「キロ4での心肺は余裕だけど、ハーフを走るスタミナが不足していて…」
という”超スピードタイプ”のランナーは、フルマラソンを走る市民ランナーであれば比較的少ないと思います。
ここまでのレベルになれば、すでにハーフで脚が無くなるような事はないでしょう。
フルマラソンでは脚が動かなくなって終盤にペースダウンする事がほとんどですが、ハーフマラソンでは、
呼吸が苦しくなってスピードが維持出来なくなる事が多い。
なので、
心肺がキツくなり過ぎずに、いかにゴールまでたどり着けるか
ここが85分切り達成のための肝であり、「いかにキロ4を楽に感じながら巡航出来るようになれるか」に焦点を合わせた練習になります。
フェーズ2の主な練習内容は、Tペース走とRペース走です。
ポイントは
日々のWS(ウインドスプリント)と、Tペース後に実施するRペース走
練習日は必ず、ハーフの巡航ペース(4’00/km)より速いペースでの動きと刺激を身体に与える事です。
キロ4を楽に感じたいのであれば、キロ4より遥かに速いペースを少しでも日々感じながら、練習する事です。
それがスピードアップを図るための基礎になりますし、これを愚直にやっていけば、後々フルマラソンでサブ3を狙う時に必要な”4’10/km”も非常に楽に感じられるようになるでしょう。
速いペースは着地衝撃も大きいですので、土や芝の上で走るなど、怪我には充分注意してくださいね。
【フェーズ2の練習例】
月 ランオフ
火 ジョグ10km+WS3本
水 (R200mか400m+ジョグ200m)×5本~10本、アップ・ダウンジョグ6km
木 ジョグ10km+WS3本
金 ランオフ
土 20分閾値走、(R200m+ジョグ200m)×4本、アップ・ダウンジョグ6km
日 ジョグ15km~30km+WS3本
※日曜日のジョグは、フルマラソンを視野に入れているのであれば25km~30km、ハーフマラソンだけを目標としているのであれば、週間走行距離の25%~120分間走。
フェーズ3(4~6週間)
フェーズ3ではフェーズ2で実施してきたRペースがIペース、つまりインターバル走になります。
Rペースでスピードの上限をグッと引き上げ、Iペースではハーフで速いスピードを維持していくためのスピード持久力を養成すると思って取り組んでください。
【フェーズ3の練習例】
月 ランオフ
火 (I1000m+ジョグ2分~3分)×3~5本、アップ・ダウンジョグ6km
水 ジョグ10km+WS6本
木 20分閾値走、(R200m+ジョグ200m)×6本、アップ・ダウンジョグ6km
金 ジョグ10km
土 ジョグ10km+WS6本
日 ジョグ15km~30km+WS3本(orMペース15km+WS6本)
ハーフ1時間25分(85分)切りを達成した練習内容
2016年4月に走ったハーフマラソンで1時間25分(当時PB)だった、筆者の走力。
その時点でのフルマラソンのPBは3時間4分台。
2016年11月下旬に開催予定だった”つくばマラソン”で初サブ3を目指し、2016年7月から本格的に練習を開始しました。
私がスピードタイプのランナーだった事もあり、フルでサブ3する為に、まずは2016年10月下旬に開催される”フードバレー”で1時間23~24分のPBを目指しました。
その当時の詳しい練習内容はこちら。
平日に2回ほどRペース(レペ)やIペース(インターバル)・Tペース(閾値走)などを入れながら、週末に短い距離のレースでさらなるスピードアップを狙ったり、Mペースやロング走を入れてフルマラソンにも対応出来るようにしていました。
その結果、10月下旬の”フードバレとかちマラソン”というハーフマラソン大会で
1時間22分51秒(3’55/km)のPB
で走る事が出来ました。
そしてその1ヶ月後、11月下旬のつくばマラソンでは、レース直前に発熱してしまって体調不十分な中でしたが、走力的には充分だったお陰で何とか初サブ3達成。
オッサンなのに泣いた、記念レースとなりました^^;
ハーフ1時間25分(85分)切りのための調整方法
フェーズ3で本格的な練習を積んだ後は、フェーズ4(4~6週間)に移行します。
フェーズ4ではTペース(閾値走)を中心に、Iペース(インターバル)やRペース(レペ)も絡ませながら、距離を少しずつ減らしていく期間になります。
【フェーズ4の練習例】
月 ランオフ
火 (I1000m+ジョグ2分~3分)×3~5本、アップ・ダウンジョグ6km
水 ジョグ10km+WS6本
木 20分閾値走、(R200m+ジョグ200m)×6本、アップ・ダウンジョグ6km
金 ジョグ10km
土 ジョグ10km+WS6本
日 ジョグ15km~30km+WS3本(orMペース15km)+WS6本
ダニエルズのランニング・フォーミュラでは、徐々にポイント練習や走行距離を減らしてレースに備えています。
しかし、ハーフマラソンの後にフルマラソンが控えており、より大きな目標がフルマラソンであるなら、ハーフマラソンに向けての疲労抜きは最小限で構わないと個人的には考えています。
ハーフのために、最大の目標であるフルマラソンに向けた本格練習を何週間か緩めないといけないのは、決して良い練習計画とはいえません。
前述の筆者の練習方法・10月を見ると、ハーフのレース(10月30日)に向けた軽い疲労抜きは1週間前からしかしていません。ハーフの8日前にMペースの35km走(4’13/km)も実施しています。
ハーフマラソンですら”練習の一環”とし、その上で83~84分台を出せたなら、サブ3に向けて非常に明るい材料となる事でしょう。
まとめ
ハーフマラソンで1時間25分(85分)を切る事は、サブ3と同様にレベルの高い目標です。
「どうしても越えられない」
「あと数秒/km速く巡航するのが本当にキツい」
「オレには無理だ」
そんな声がたくさん聞こえてくる領域。
そんな場所にどうにか到達したい!という場合、自分の身体を見極めた上でギリギリの練習をするしかありません。
サブ3達成に向けて頑張るランナーを応援したくて書いた、以下の記事も参考になると思います。
ハーフ1時間25分(85分)、フルサブ3、そんな目標に到達するための近道や裏技はなく、あるのは王道のみ。
でもやるべき事をやって積み上げていけば、多くの方にとって到達出来ない目標ではないはずです。
是非ハーフ85分を何としても切り、その先にあるサブ3達成まで気持ちを切らさずに頑張ってください!