フルマラソンで3時間を切って2時間台でゴールする「サブ3」。
市民ランナー憧れの領域であり、2017年度全日本マラソンランキングによると、サブ3に到達する割合は男性が上位3%、女性だと上位わずか0.4%という、高い難易度。
スピードとスタミナ、いずれも高いレベルで走ることができる走力が必要であり、3時間5分を切ってからの数分、マラソン巡航ペースをキロ当たり数秒/kmを上げるのが果てしなく遠く感じる場所。
サブ3を達成する為に何年も頑張ってる人は多い。
「4’15/km~4’20/kmでの巡航はまだしも、4’10/kmに近づくとマラソンペースとしては難しい…終盤大きく落ちてしまう」
そんな風に思うランナーもいると思います。
「生涯ベストとして、一度でも良いからサブ3したい!」
そうやって日々大変な努力を重ねているランナーの皆さまが、何とかサブ3を達成する為の練習について考えます。
サブスリー達成のためのスピードとスタミナ
サブ3を達成するためには、レース全体を4’16/km平均で走りきらないといけません。
イーブンペースを狙って巡航、終盤ゆるやかにペースダウンする一般的なレースプランであれば「4’10/km前後」での巡航を目指すランナーが多いことでしょう。
その為に必要な、各距離の走力の目安は
サブ3を達成する為に必要な目安はVDOT54※
5km 18’40(3’44/km)
10km 38’42(3’52/km)
ハーフ 1’25’40(4’03/km)
というタイムになります。
※VDOTについてはこちらの記事で詳しいです。
かなりのタイムが必要になりますが、スピードタイプのランナーであれば、短い距離ほど目安のタイムを上回っていると思います。
スタミナタイプの男性ランナーや女性ランナーは目安のタイムを下回っているかもしれませんが、問題ありません。これからスピードアップを図りましょう。
サブ3に向けた練習としての目安は、Tペースがキロ4、Iペースは3’41/kmになりますが、これまで通りVDOTは自分の記録を当てはめていって「一番高いVDOT」を基準にして実施してください。
そして自分に合った練習の強度で実施してください。VDOTの記事でもご紹介しましたが、VDOTは自分のパーソナルトレーナーのように、練習の強度を教えてくれます。
スピードタイプの私がサブ3を目指していた時は以下のタイムを基準にしていました。
閾値走 3’48/km
インターバル 非実施
【インターバルを実施していない理由】
自分がサブ3という高い壁をクリアするためには、いよいよ1人での練習よりも「誰かと一緒に切磋琢磨して練習する」という効果の大きさを期待することにしました。
3時間5分切りまでやっていた「閾値走+Iペース走(インターバル)」、閾値走はそのまま実施、インターバルの代わりに、地域のランニングチームの練習会に「外部の人間」として参加許可を頂き、それまで実施した事のないような、様々な種類の練習刺激に身体を晒し、どうにか本番で4’10/kmでの巡航を楽に感じられるように模索していました。
走力の伸びが鈍くなってきた時、それまでとは違う刺激を身体に与えてあげる事で、さらなるレベルアップを期待する事ができます。
2016年11月下旬の本番に向け、2016年7月から徐々に地域のランニングチームで実施されている練習に混ぜてもらいながら鍛え、10月までの4ヶ月間でスピードとスタミナをレベルアップさせる事ができ、サブ3達成しました。
あえて言葉を選ばなければ…
サブ3という高い壁を越えるためなら、使えるものは何でも使わせて頂いた方が賢明です。
サブ3を達成する前、5ヶ月間の詳しい練習内容はこちらです。
スピードタイプのランナーがサブ3を達成する為に
スピードタイプのランナーとはいえ、練習で4’10/kmがジョグのように感じて長い距離を悠々走れるランナーは少ないと思いますし、調子の悪い日であれば苦しく感じるペースですらあるでしょう。
そのため、スタミナだけを強化するような練習だけではサブ3は難しい。
トップスピードから少し遅めのペースで長い距離を走る「スピード持久力」を鍛える練習。
スピードタイプなら20分間より40分間走るテンポ走
ハーフの距離をPBの巡航ペースより10秒/km程落とした20km走
レースペースでの30km~35km走(4’10/km)
練習では少し息苦しいペースで長めの距離を走る意識…そんな練習が非常に効果的でしょう。
もちろん全ての練習が上記のような高強度の練習だと疲労と故障のリスクが高いですので、ジョグペースでのロング走やEペースでの15km走など、低~中強度の練習も適宜入れていくのも「無事にレース当日までたどりつく」ために大事です。
サブ3達成するための練習は、日々故障や免疫力の低下と隣合わせ。怪我や病気でサブ3に挑戦すら出来なくなったら元も子もありません。サブ3レベルの練習に取り組む際には、今まで以上に怪我や病気に注意を払ってください。
レース前に風邪を引いた私が言っても説得力がありませんが^^;
脚に違和感や痛みを感じたら、ランオフ・エアロバイクによるクロストレーニングに変更・ポイント練習をジョグに変更、など臨機応変に対応してください。
本番1ヶ月前~3週間前は、4’10/kmでの30km走か35km走をしっかりこなしておきましょう。
<サブ3達成のための参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ60分~90分
水 閾値走20分+ジョグ5~6km、テンポ走、変化走など
木 ジョグ60分~90分
金 ジョグ60分~90分
土 ロング走30km~35km(4’10/km~4’30/km)、ミドル走(4’00/km~4’10/km)
日 ジョグ120分~180分
水曜日ポイント練習 参考例
閾値走20分、テンポ走(40分閾値走)
変化走2km毎にペースを変える。例えば4’00/km-4’20/kmで10km~12km。
10km~15kmビルドアップ(5’00/km~3’50/km)
400mや500mのレペ×10本~15本
インターバル5~7本
その他、「【実録】初サブ3達成までの練習内容」に記載しているようなポイント練習を参考にされても良いと思います。
週末ポイント練習 参考例
ロング走30km~35km(4’10/km~4’30/km、ジョグ)
15km~20km走(4’05/km~4’15/km)
2時間~3時間走(ジョグ)
駅伝・5km・10km・ハーフのレースを練習代わりに
スタミナタイプのランナーがサブ3を達成する為に
サブ3に挑戦するまでに多くのレースを経験してきており、かつ、すでに数えきれないほど練習でロング走をこなしてきたランナーであれば、本番当日のペースは4’12~4’13/km、ないしはもっと遅めのペースでネガティブスプリットを刻む事も検討の余地に入ります。
私はスピードランナーではありますが、多くのロング走とレースの経験から「4’10/kmを少しオーバーするようなペースでも多分、大丈夫」と思っていました。
実際、私が初めてサブ3を達成したレースでは30kmまで5km毎に21分前後(4’12/km)のラップを刻み、30km以降は平均4’23/kmまでペースが落ちましたがサブ3達成しました。
スタミナタイプのランナーはスピード練習を多めに入れますが、いくらスタミナタイプのランナーとはいえ、サブ3を目指す速いスピードでペースダウンせずにゴールまでたどり着くのは難易度が高い。
練習ではマラソンペースでのロング走やマラソンペースより少し速いペースでのミドル走もしっかりやっておきましょう。
そして、本番1ヶ月前~3週間前は、レースペースでの30km走か35km走をしっかりこなしておきましょう。
<サブ3達成のための参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ60分~90分
水 閾値走20分+ジョグ5~6km、テンポ走、変化走など
木 ジョグ60分~90分
金 ジョグ60分~90分
土 10km~15kmビルドアップ(5’00/km~4’00/km)
日 ロング走30km~35km(4’20/km~4’40/km、ジョグ)、ミドル走(4’10/km~4’20/km)
水曜日ポイント練習 参考例
閾値走20分、テンポ走(40分閾値走)
変化走2km毎にペースを変える。例えば4’10/km-4’30/kmで10km~12km。
10km~15kmビルドアップ(5’00/km~4’00/km)
400mや500mのレペ×10本~15本
インターバル5~7本
その他、「【実録】初サブ3達成までの練習内容」に記載しているようなポイント練習を参考にされても良いと思います。
週末ポイント練習 参考例
ロング走30km~35km(4’20/km~4’40/km、ジョグ)
15km~20km走(4’10/km~4’20/km)
10km~15kmビルドアップ(5’00/km~4’00/km)
駅伝・5km・10km・ハーフのレースを練習代わりに
まとめ
サブ3を達成する為の「教科書的」な練習について取り上げました。
しかしサブ3を目指し、自分の苦手な事や弱点を補うような練習を一生懸命実施しても、3時間一桁~10分台が「生涯ベスト」になってしまう方も多くいらっしゃいます。
サブ3の「教科書的練習」で達成出来る人もいますが、
「教科書で達成出来たら苦労しねぇ!」
という方がいらっしゃるのも当然ですし、サブ3はそういうレベルだという事も理解しているつもりです。
自分の限界への挑戦、極限まで高めたつもりの走力を、あとひと伸びだけさせたい…
そんな切実な思いを持ったランナーへのメッセージとして、以下の記事にまとめましたので、良かったら読んでみてください。
サブ3達成のためのペース配分について考えた記事はこちら!