実力を最も発揮できるレースペースって

昨日、私の地元・札幌で「作.ac真駒内マラソン」というマラソン大会が開催されました。

その年によっては雪が降ったり、低い気温の雨で大変なレースになる事も多いんだけど、今年は幸いにも良いお天気で気温も低すぎず、高すぎず。絶好のコンディション。

多くの仲間が参加し、PBやコースベストの嬉しいお知らせが届きました。

さて、この「作.ac真駒内マラソン」って、ペースメーカーが細か~く設定されてるんですよ。

ペースメーカーとは「決められたペースを刻んで目標タイム以内でゴールする」ランナーのことです。

4’15/km(サブ3)から7’30/km(5時間20分前後)まで、11グループもあります。

出典:作.ac真駒内マラソン

こんなレース、他にあるの?っていうくらい、ペースメーカーのグループがたくさんあって、自己ベストを目指すランナーにとっては「嬉しい!」と思う人が多いでしょうし、運営側のホスピタリティは素晴らしいものがあると思います。

「このタイムのグループに付いていけば、俺も(私も)PBを狙える!」

って考え、ペースメーカーに付いていくのは割と普通ですよね。

でもそれって、自分の実力を全て発揮するために必要なことなのかな、と思うんです。

マラソンで自分の実力を全て発揮出来るレースペースって、ペーサーに付くことじゃないかもなーって。

ペースメーカーが必要な人

ペースメーカーが必要な人もいます。

まず、マラソンを始めて間もないランナーの方。

走歴の浅い方は、ペースを一定にして走るという事が難しいかもしれません。

私もそうでした。

5’30/kmで走ってるつもりが、5’40/kmになったり、5’20/kmになったりしてしまう。

ペースを上げ下げすると細かく体力を消耗してしまい、終盤での失速につながってしまいますよね。

初心者の方はペースメーカーがいた方が、上手に42.195kmを走れる”可能性”が上がります。

あと血液型がAB型・B型の人(失礼な!笑) など、ノープランで何となく勢いで走ってしまうようなw

血液型は冗談として、男性ランナーによくあるのが、序盤速いペース突っ込んで

「おぃおぃ~♪オレってこのままゴールまで行けちゃうんじゃないの?」

って本気で20km位までは思う人(笑)

もちろん終盤は失速、歩き通すランナーもいるくらい。

そんな、実力的には目標とするタイムを上回る走力を持っていながら、ペース管理が得意ではないランナーも特に序盤はペースメーカーに付いて、ペースを調整してもらった方が良い結果に結びつくことがあると思います。

でも「人任せ」というのは、自分のベストパフォーマンスを発揮したい場合に選択するものじゃないかなと。

練習で培ってきた自分の実力・走力を全て発揮するには、自分自身でペースメイク、つまり自分で自分に合ったペースを作る事が出来る「マイペース巡航」が、一番効果的で記録が伸びます。

なぜマイペース巡航が良いのか

1.レース当日に走り出してみないと、その日の自分に合ったマラソンペースって分からない

「今日はサブ3.5を狙ってるから、4’50/kmでいくぜ~」

って思ってペースメーカーに付いてスタートしても

「あれ、身体が重くて苦しい…」

っていう事があったりします。

それでも無理して付いていくと序盤から中盤にエネルギーを大きく消耗することになり、終盤サブ3.5グループから脱落して大きく失速、サブ4も達成出来ない可能性だってある。

でも、自分の身体の声に耳を傾けて

「あれ?今日はちょっとペースを落とした方が良いかも」

と感じて、4’50/km→4’55~5’00/km程度に変更し、消耗しないように温存しながらマイペース巡航。

そのまま終盤までイーブンでいけて、ラスト少しだけペースアップ出来て、ギリギリサブ3.5達成、ということって意外とあります。

2.自分のランナータイプによっては、”イーブン”で走る事が最適ではないかもしれない

「いやいや、フルマラソンと言えばイーブンで走るのが一番最適でしょ」

と、当然の事のように思うかもしれませんが、常識は疑ってかかると”さらなるレベルアップ”に繋がるかもしれませんよ。

人によっては突っ込んでから粘りまくることで良いタイムを出せる人もいれば、もちろんイーブンが最適な人、あるいはネガティブスプリットを刻むような最初は抑え気味、身体が温まってきたら自然にペースを上げていくような”ビルドアップ型”が合っているようなランナーも、必ずいます。

逆に突っ込むと全く粘れない、目指す目標タイムに準じた巡航ペースを最初から刻むイーブンが良いと思ってスタートから目指すラップでいくと序盤に大きく消耗して中盤~終盤にヤメたくなるくらい辛くなってペースダウンを余儀なくされる、あるいはビルドアップをしようと思ったけど巡航ペースの動きや感覚に完全にハマってしまって最後までペースアップ出来なかった…などなど、自分に”合わない戦略”というのも確実にあります。

これは普段の練習で

(こういう走り方だと、自分は上手く走れるな。最後まで頑張れるな)

というのを見つけて、それを本番のレースでも活かすのがとっても大事だと思います。

3.ペースメーカーは「キロ何分」という「数字」を目標にして走る

ペースメーカーは、それが任務だからしょうがないのですが、”時計的”に目標とするタイムに収めようと走っています。

そこにはアップダウンや風による影響を考慮して「身体にかかる負荷を一定にするため、強度が高くなるような場面ではあえてわずかにペースダウンする」という「細かいおもてなし」までしてくれる方は少ないでしょう。

「キロ何分」という「数字」にだけとらわれてはいけません。

地形や気象条件などによって柔軟にペースを変え、身体への負荷を一定に保つペース感覚や心拍を基準に巡航していく事、マラソンではとても大事です。

数字上の「一定ペース」というよりは、自分の身体への負荷が少ない状態で終盤までいける「一定強度」です。

私はフルマラソンを走る時、登りや向かい風などでは一切頑張りません。体感の負荷を一定にしてクリアする事だけを考えています。

頑張らなくたって、遅れるのは数秒~10秒/km。終盤元気ならいくらでも挽回出来る。

そういう時は周りのランナーに抜かされたりもしますが「どうせあとで抜けるよ」と思って(笑)気にしないようにしています。

でもマイペース巡航、最初から出来る人は良いのですが、出来ない人はペースメイクの練習が普段から必要です。



自分に合った”マイペース”で巡航していくには

1.まずはペース感覚を養うこと

陸上部出身のランナーは、学生の時に400mトラックなどでペース感覚を存分に鍛えてきていますが、我々のように大人になってからマラソンを始めたランナーは、ペース感覚なんて身についていません。

でも、学生がやるように、平坦な周回コースを利用して練習をすれば、ペース感覚を鍛えていく事は可能です。

私は北海道にある「屋内ランニング施設・つどーむ(1周400m)」という場所で、よくペース感覚を試しながら練習していました。

何度もペースを意識してやってると、時計を見ないで1km走った場合、うまくいけば目標ペースから0秒~1秒、ズレても2~3秒/kmというペース感覚を得る事ができました。

じゃあ、どうやるか!

集中して、歩幅とリズム(呼吸)を狂わさないように走ってみてください。

「無の境地。自分はマシーン。ペースを刻む為だけに生まれたんだ」

と思って練習を重ねる。これに尽きます(笑)

フラットな場所であれば、慣れると意識しなくても均一ペースを刻めます。

そうなると、レースでも一定強度で走れる経験値が積み上がっていき、心拍数なんて見なくても

「あ、これ位のペースならフルの終盤まで持つな」

とか、ハーフのレースでも

「このペースでいけばハーフまではギリ大丈夫だ」

と、レース序盤で割と分かるようになります。

つまり、フルマラソンのレースで走り始めた時

「これ位なら無理なく終盤までいける」

というペースを自分で作れて、身体への一定の負荷を保ったまま30kmまで進めるのです。

フルマラソンは、とりあえず30kmまではジョグのような一定強度で、静かに静かに巡航するのが超大事ですからね。

自分でペースを作ってまずは30kmまで予定通り進み、かつ希望を失わないような工夫をレース前にしっかりしていれば、30km以降も大きくペースダウンする事なくゴールまで粘れるはずですから!

2.自分のランナータイプを知ること

自分は序盤から積極的にいった方が良いのか、イーブンで順当に走った方が良いのか、序盤は力を抜いてアップ感覚、少しずつ自然にペースを上げていくようなビルドアップ戦略が最後まで頑張れるのか、つまり前述しましたように

自分のランナータイプを練習や本番のレースで試したりして、しっかり最適な戦略を見極めること

です。

それが分かれば

(今日はどうしよっかな。ペーサーに付いていってみようかな)

とか、レース中に可愛いゲストランナーが前を走っていて

(少しペースが速いけど、一緒にいっちゃお~っと♪)

みたいなスケベ心(こらw)も、ある程度は抑えられるはずです(笑)

もちろん自分にとって最適なペースメイク・レース戦略が「ペーサーに付くこと」であれば、全く問題ありません!

人によって違うだけで様々な作戦があるということが分かり、自分はどうすれば一番フルマラソンが上手く走れるのかが理解出来ていれば、やり方は自由!

可愛いゲストランナーに付いていくことでモチベーション爆上がり、最高の結果を導き出せるのであれば、それも立派な作戦ですので、ご安心ください!(笑)

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ありがたい事に大…

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コメント

  1. ちば より:

    今日のハシルコト北海道の記事からこちらに飛んで参りました!
    今のタイミングでこれを読ませてもらったことを感謝しますし、セカンドウィンドの記事と合わせてレース前まで何度か読み直そうと思います。
    僕は2024年の東京マラソンの意味不明な突っ込み(怪我から復活の嬉しさからの無謀なチャレンジ)で後半12回ほど歩いた失敗が良い教訓になってますが、それでも昨年の防府や今年の姫路城では35㎞以降がダメでした(姫路はちょっと踏ん張れたけどラスト上げる脚は全く無し…)。当日のレース戦略だけでなくそれ以外にも疲労の抜け具合やいろいろな要因があっての結果だと思います。
    レース中に微調整することが今まで無く、というか微調整する意識が無く、後半失速してきたのもあると思うので神戸ではレース中の身体の声をしっかり聞いてうまくペースメイク出来ればと思います。
    僕の直近は「?」マークの練習があるかもしれませんがこれも自分の型を見つけるお試しであることご理解いただきそーっと見守りくださいm(₋₋)m
    ※返信不要です

    • げん より:

      ちばちゃん、いつもコメントを頂きまして、ありがとうございます!
      返信不要なのに、返信しちゃいました^^; もしアレだったら、この返信を読んだらコメントを消してくださいm(_ _)m

      少し前のハシルコト北海道の記事でも書きましたが、フルマラソンをイーブンで走りきったことのある人でも、30km以降にペースダウンすることなんてしょっちゅう。
      ただその原因を確定させる作業が、非常に難しいですよね~。

      レース中に終盤での撃沈を感じ取って、ペースを(まだスピードは維持出来るのに)あえて落として進んでいくことは、容易ではありません。
      だって「そのままのペースでも、ワンチャンいけるかもしれない!」って、経験が少ないと絶対に思いますもの^^;

      ちばちゃんが色々な事を試しているのは、重々承知しております!
      自分に合った良い「型」をゲットして、長きに渡る右肩上がりの成長と、安定のレース結果を得られますように!