目次
【上級編】各練習時のシューズ、ロング走の時などの補給・給水について考える
【記事の内容の一部(補給の部分)は、以下のYouTube動画でも視聴出来ます!】
以前ブログの記事やYouTubeの動画で、ロング走の際に補給や給水で止まるか否か、休んでも効果的なのか?という事については、すでにアップしています。
記事や動画の中では
・お休みしても大丈夫ですよー
・ただお休みポイントを決めていないと、苦しくなった時に休憩しちゃうから休憩するポイントを決めておこうー
・早朝ロングなどは”空腹”でやるのが良いけど、無理な人は朝ご飯をしっかり食べてやろうー
みたいな事をつらつらと書いたり、喋ったりしてました。
今回は上記のことを踏まえて…少し走力の高い、レベルが上がってきたランナーに向けた
(げんさん、何やら今回は厳しいな~^^;)
という記事を、“上級編”として
「そんなこと、出来るかバカ!げんのアホ!」
という批判を恐れずに(笑)、また、練習時のシューズの選択にも迫って書いてみようと思います(*^^*)
練習でロング走を実施する際のシューズ、補給と給水について
練習を実施する際は誰だって”失敗”はしたくないので、出来るだけ苦しまずに予定していた距離やペースを完遂したいと思うもの。
なので
・速く走れて脚にダメージを受けにくい、厚底カーボンシューズで走る
・しっかり朝ごはんを食べて、万全で挑む
・走れなくならないように、ジェルを持参して早め早めに摂取する
・ハンガーノックにならないように、補給食を食べる
・走っている最中に、都度スポーツドリンクを飲む
良い悪いは今は別として、そんな感じのことをしている方は、もちろんいらっしゃるかと思います。
ここで焦点を当てたいのは、
「シューズの選択」「補給・給水の有無」
の2つ。
ランナーそれぞれの特性がありますし、どんなロング走の種類か(ジョグなのか、E下限なのか、モデレートやMペースなのか)にもよりますが、自分にとって(ここ大事)
ロング走をギリ完遂出来る程度の、”おまけ効果”を上乗せした負荷で実施
というのが基本になってくるかと思いますが、シューズの選択や補給・給水の有無でトレーニング効果は、どのように変わるのでしょうか。
見ていきましょう。
1.シューズ選択について
これはロング走に限らずですが…ジョグでもスピード練習でも、各練習でどのシューズを使うかは、一度ならず何度かは悩んだことがあると思います。
まずは…私が実際に使っている、各練習でのシューズについて。
【日常のジョグ~Eペース】
ノンカーボンの中~厚底
【日常のスピ練(モデレート以上)】
ノンカーボンの薄底
【20km~30kmのロング走】
適宜(E下限~Mペース・レースまでの期間によって異なる)
ただ実はワタクシげん、各練習での履き分けというよりは…
走るペースによって変えています。
なぜか。考え方を、それぞれサクッと。
スピード練習
スピ練は主にMペースやTペース(閾値ペース)、インターバルやレペなど速いペースで実施することが多いですが、そのスピードで実施する練習の全ては”乳酸が通常時より多く産出”されるという状況になります。
つまり全てはLT向上のための練習、というのがベースにあるわけです。
マラソンが速くなるための重要なピースとして、兎(と)にも角(かく)にも乳酸を処理する能力、再利用する能力が大事になるわけですが…
乳酸の再利用能力を向上させるための変化走は、6年前のブログを始めた当初から、いや、それ以前から、ほんと何回やったんだろうってくらい繰り返し繰り返しやってきてます。
しかし、この乳酸。
同じペースで走っても、薄いシューズで走った方が産出量が多いということが、実際に練習後に乳酸を図って実施している一般ランナーや学生ランナーの方
帝京大では練習後すぐに血液を採取し乳酸値を測定している。シューズを履き替えた成果はこの数値にもくっきりと現れた。
「乳酸値を測って、疲労感を見ているんですけど、ウエーブリベリオン プロを履いてポイント練習を行った時には、数値が全く上がっていなかったんです。」(元帝京大学・遠藤大地選手)
そして、様々な研究からも分かっています。
(厚底シューズよりも)薄底シューズの方が乳酸が作られる回路が活発だったということです。乳酸が活発に作られているということは、速筋線維を動員していますから糖も多く使われているということになります。逆に厚底シューズは速筋線維の動員を抑えながらも薄底シューズと同じスピードで走れるようです。このことから時として薄底シューズで練習すれば糖を使える身体になり、自ずとスピード強化に繋がるということ。そしてレースに出場するときは厚底シューズ履けばエネルギーを抑えて走ることができ、後半の失速を防げる可能性が上がるということ。
スピード練習には各スピード域で”狙う能力向上”が違いますが、乳酸の産出量が少しずつ増加するモデレート~Mペース以上であれば、その練習のベースにはLT(Lactate Threshold・乳酸閾値)の向上が、常に狙えます。
であれば、乳酸の産出を抑えるようなシューズを使うよりは、しっかり乳酸が産出されるシューズを使った方が、どうせ練習するなら”お得”であると思っています^^;
薄底シューズを使うことで(バイオメカニクス的な)、着地衝撃への耐性や速筋繊維への刺激(糖を多く使える)も確実に増加しますしね。
ただその都度(つど)で、厚底シューズで実施した時の(着地衝撃からくる)ダメージの少なさや、その恩恵として次々とポイント練習を実施していけるメリットとの天秤・トレーニング計画との兼ね合いにはなるかと思います。
※スピード練習→薄or中底ノンカーボンシューズ
げん使用シューズ:アシックス・ターサーRP3、ナイキ・ストリークフライ
ロング走
ロング走と言っても色々種類がありますよね。例えば
・基礎構築の段階のジョグ~Eペース下限辺りで実施する練習
・レースに向けて徐々に特異性を高めていく段階のE上限~モデレートで実施するペース走や変化走
・完全にレース向けのモデレート~Mペース走や変化走での25km~30km走
などなど、その内容や目的・実施の時期によって変えていくのが良いと思っています。
各練習の個人的な感覚と、使っているシューズを簡単に解説すると…
1.基礎構築のジョグやEペースでのロング走→中or厚底ノンカーボンシューズ
※基礎構築の段階ではスピード練習を少しキツめに実施することが多いので、ロング走でダメージを与えすぎると怪我と疲労で継続的なトレーニングが出来なくなる可能性があるため、中or厚底ノンカーボンシューズで守備力を高めながら練習効果を狙っています。
げん使用シューズ:アシックス・スーパーブラスト、ナイキ・ストリークフライ
2.レースに向けて徐々に特異性を高めていく段階のE上限~モデレートで実施するペース走や変化走→薄or中底ノンカーボンシューズ
※本格練習期に入って特異性を高めていく段階になるとロング走のペースを徐々に上げていくため、平日のポイント練習の重要度を少し下げて週末練習の重要度を上げるので、週末はペースを上げて走りやすく、脚にも刺激が入りやすい薄or中底で実施。
げん使用シューズ:アシックス・ターサーRP3、ナイキ・ストリークフライ
3.完全にレース向けのモデレート~Mペース走や変化走での25km~30km走→薄底or中底ノンカーボンシューズ、厚底カーボンシューズ
※いよいよレースが近づいてきて”仕上げ”の段階になるにつれ、薄底~中底ノンカーボンシューズを使いつつ上げていき、最後はレースのシミュレーションも兼ねてレースシューズ(厚底カーボンシューズ)で本番のペースを走って仕上げます。
最後は本番で使うシューズ・レースペースで走る事により、本番に向けた非常に特異性の高い練習にもなりますし、完遂出来れば大きな自信にもなりますからね。
ここまでくれば練習効果も良いですが、○○/kmでしっかり楽に走れた!という経験が、心理的な面での不安を払拭(ふっしょく)し、それによるポジティブな効果が得られると考えています。
げん使用シューズ:ナイキ・ヴェイパーフライ3、ミズノ・ウェーブリベリオンプロ2
日々のジョグ
日々のジョグはスピード練習や週末のセット練習で受けた疲労とダメージの上塗りをしないよう、メリハリをつけて”足へのダメージはお休みモード”と考え、中~厚底シューズで守りに徹しています^^;
真面目で向上心の強いランナーほど
(よ~し、ジョグの日も薄底で鍛えまくってやるぜーー!!)
と、燃えさかる火の玉のようになって突進しがちですが(笑)、ここは落ち着いてww
マラソンランナーに最もありがちな間違いは、回復日の練習をハードにしすぎてしまうことである。回復日に設定した日の練習が激しすぎると、その次のハードな練習に若干疲労が残り、計画どおりの練習ができなくなる。そうなると、たいていのランナーは焦りから次の回復日にさらに激しく練習してしまう。こうして、回復日の練習しすぎてハードな日の練習の質が落ちる、という悪循環に陥り、その結果、練習でもレースでも高いパフォーマンスが出せなくなってしまう。
ランオフの日は”走らない練習”という練習日、ジョグの日は”脚を守りながらゆっくりジョグで回復を促す練習日”というように、しっかり分けて考えて、鼻息荒く毎回鍛えようとしないことです(笑)
※日々のジョグ→ノンカーボンの中~厚底
げん使用シューズ:アシックス・スーパーブラスト、ナイキ・ストリークフライ
2.補給と給水について
補給と給水については必要量の個人差が大きいため、これっ!という断定するのが難しいというのが、正直なところです^^;
特に真夏に走る時は、短いスパンでの給水・水かぶりによる深部体温の低下を促すことは、とても大事で疑いようのないところ。
なので確実な安全(何が起きても大丈夫なように事前に準備はする)を確保した上で、さらに効果を考えれば…というように考えて、以下に記載するお話を読んでください。
トレーニング中にジェルなどの補給、スポーツドリンクなどの給水をする必要性があるのかどうか。
まずスポーツドリンクについては…
飲めば糖が補給されるんだから、楽になるのは当然。
だからダニエルズさん的にも、給水は”水”というのが基本中の基本でしたよね。
持続的なEランニングを長時間行うときには、いわゆる栄養ドリンクは飲まないようにしたい。糖以外のさまざまな成分が入ったドリンク類を飲まないことで、身体は糖を節約することを覚えるからだ。とはいえ、水は時おり補給すること(実際のマラソンレースではエネルギー補給が有効なので、こうしたトレーニングはそのよい練習となる)。
それは、ジェルも同じです。
糖がガッツリ入って補充されるわけだから、脳的にも身体的にもいけるようになるに決まってる。
それってさ、ぶっちゃけ…下り坂でVDOTの設定通りのスピ練をやったり、低酸素ルームとか3000mの高地で酸素ボンベを背負って酸素補給しながら練習するのと、大して変わらなくない?
ロングランを行って、身体がより効率良く脂肪を燃やせるような身体に進化しようとしている最中に、もっと糖分を補給していたらどうなるでしょう?まるで酸素ボンベを持って高地トレーニング合宿に行くようなもんなんです!そんな「アホらしい!」と思う常識が、エネジー・ジェル/ドリンクに関しては、広告と製品のプロモーションによって見えなくなっているのが現状なんです。
練習中に補給しないと危険とか、商業ベースの売り文句に騙されてはいけません^^;
もちろんレースでは全然摂取するのは良いし、むしろ(合法的なものは)何でも使って出来るだけ温存してイーブンペースでのゴールを目指すのは、これは当然。
でもさ、前もこの記事↓で足攣りを、何か飲んで簡単に回避しようとするなよって事と合わせて書いたけど…
良いタイムを狙いたいなら、練習で楽するなって!(笑)
いや、気持ちは分かるんですよ。
練習であっても途中で苦しみたくないし、最後までやり切りたいし、成功させたい。
「練習では、何度失敗しても良い」
と知ってても、頭で分かってても、やっぱり失敗はしたくないもの。
結局はその部分でも“補給や給水をしても、最後まで走り切るのが練習効果が一番高いはずだ”とか”直近のレースのことを考えると、しっかり距離をこなしておきたいな”という、直感や感覚に反することが出来るかどうか、一歩踏み込んでチャレンジ出来るかどうか、というところだと思います。
まとめ
練習で使うシューズのお話、そして補給や給水についてお話してきました。
最終的な結論として
「うるせー!バカヤロウ!シューズなんて、好きなの使わせろや!」
とか
「酸素ボンベを背負って練習してんじゃね?とか…ひどい!!げんのアホーーー!!」
という反発が、皆さんの心の中に渦巻くような記事になりました(笑)
冗談はさておき^^;、
「こうしなければならない」
というのは、マラソン練習には、ありません。
・本当に毎回ハンガーノックになってマラソンが嫌いになるくらいなら、お腹いっぱいで練習した方が良いし、
・走っていて辛すぎるなら、ジェルやスポドリを飲めば良いし、
・薄底で練習するのは疲労やダメージが怖い、いつも速いペースで気持ち良く走りたいなら厚底でやれば良い
様々な”ついで効果”のベースにあるのは、そして絶対に忘れちゃいけないのは
マラソンが好きで、10年続けられる環境や体制・心の安定
を整え続けること。
その中で
「少しチャレンジしてみようかな」
と思えたら、無理せず1つずつ、試してみてくださいね(*^^*)
ハシルコト北海道のサイトでは、私のコラムやメンバーの記事、続々アップされています!(コラムはフザけた記事ですので、あまり参考にしないでください笑)
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