5000mとフルマラソン、ペースの相関関係。30秒差以上はヤバい?

5000mとフルマラソン、ペースの相関関係。30秒差以上はヤバい?

フルマラソンのタイムを予測したり、現在のフルマラソンのベストタイムが”適正”なのかを推測するのに

“別の距離で出したタイム”

を目安にする事ってありますよね。

サブ3.5ならハーフで100分(1時間40分)は切ろう!

とか

サブ3ならハーフで85分(1時間25分)は出しておきたいよね

なんて目安。

フルマラソンのタイムに関して目安にする別の距離は、その距離が近い事もあって主にハーフマラソンのタイムが使われたりするんだけど、今回は

5000mとフルマラソン、ペースの関連性は?

という事で考えていきたいと思います。

あなたの5000mベストタイムを出した時のペース/kmと、マラソンで走るペースの差、30秒以上だったりしますか?

それだとヤバいかもしれませんよ^^;

解説動画【30秒差以上はヤバい!?5000m vs フルマラソン 適切なペース差は?あなたは適正範囲内か!】

記事の内容は、動画でも解説しています!

VDOT表でのペース差と、一流選手の比較表

全てのVDOTを抽出するのは大変なので(笑)、キリの良い所を抽出。

VDOT30から80までを、5つ毎に見てみます。

VDOT5kmフルペース差
3030'40(6'08/km)4'49'17(6'51/km)43秒/km
3527'00(5'24/km)4'16'03(6'04/km)40秒/km
4024'08(4'50/km)3'49'45(5'27/km)37秒/km
4521'50(4'22/km)3'28'26(4'56/km)34秒/km
5019'57(3'59/km)3'10'49(4'31/km)32秒/km
5518'22(3'40/km)2'56'01(4'10/km)30秒/km
6017'03(3'25/km)2'43'25(3'52/km)27秒/km
6515'54(3'11/km)2'32'35(3'37/km)26秒/km
7014'55(2'59/km)2'23'10(3'24/km)25秒/km
7514'03(2'49/km)2'14'55(3'12/km)23秒/km
8013'17'8(2'40/km)2'07'38(3'01/km)21秒/km
8512'37'4(2'31/km)2'01'10(2'52/km)21秒/km

ペース差を見ていて気付くのは、

レベルが上っていくと5000mとフルマラソンのペース差が小さくなっていく

という事です。

サブ4レベルだと40秒/km近い差

があるけど、

サブ3.5で34秒/km

サブ3で30秒/km

トップレベルの選手達になると20秒/kmそこそこ^^;

これはTペースとMペースの関係性でも同じで、レベルが高くなっていくほどマラソンペースは閾値のペースに近づいていきます。

確かに一流選手の5000mとフルマラソンの記録を比較してみると、(5000mの記録が古い人は、あまり参考にならないけど)おおむね20秒/kmほどになっているのが分かりますよね。

東京オリンピックを圧倒的な強さで制したキプチョゲ選手でも、5000mとフルマラソンの差は20秒/km。

大迫傑選手も20秒/km。

選手名5kmフルペース差備考
キプチョゲ12'46'53(2'33/km)2'01'39(2'53/km)20秒/kmWR
ベケレ12'37'35(2’31/km)2'01'41(2'53/km)22秒/kmNR
ファラー12'53'11(2'35/km)2'05'11(2'58/km)23秒/kmNR
ラップ12'58'90(2'36/km)2'06'07(2'59/km)23秒/km
鈴木健吾13'57'88(2'48/km)2'04'56(2'58/km)10秒/kmNR 5km=2016年
大迫傑13'08'40(2'38/km)2'05'29(2'58/km)20秒/kmNR(5000m)
瀬古利彦13'24'29((2'41/km)2'08'07(3'03/km)22秒/km
ラドクリフ14'29'11(2'54/km)2'15'25(3'13/km)19秒/kmNR
高橋尚子15'21'15(3'04/km)2'19'46(3'19/km)15秒/km
野口みずき15'30'04(3'06/km)2'19'12(3'18/km)12秒/kmNR
一山麻緒15'06'66(3'01/km)2'20'29((3'20/km)19秒/km

学生時代(箱根駅伝)などロードの短~中距離で活躍し、大きく期待されてフルマラソンに挑戦したものの、思うような結果が出なかったような方は多くいらっしゃいます。

しかしそんなランナー達の5000mとフルマラソンのペース差を比較すると、やはり20秒/kmほどに収まっている選手も多い。

選手名5kmフルペース差備考
佐藤悠基13'13'60(2'36/km)2'08'58(3'03/km)22秒/km
今井正人13'47'15(2'45/km)2'07'39(3'02/km)17秒/km
神野大地13'56'05(2'47/km)2'10'18(3'05/km)18秒/km
川内優輝13'58'62(2'48/km)2'07'27(3'01/km)13秒/km5000m(2012年)
福士加代子14'53'22(2'59/km)2'22'17(3'22/km)23秒/km
鈴木亜由子15'08'29(3'02/km)2'28'32(3'31/km)29秒/km
安藤友香15'26'34(3'05/km)2'21'36(3'21/km)16秒/km

決して

「本人の頑張りが足りない」

とか

「フルマラソンへの適正が全く無いねぇ~」

「しっかりと、万全のマラソン練習をしてないのかな?」

という訳ではなく、スピードから見るフルマラソンのタイムとしては”しっかり練習して出し尽くしている”とも言える選手は多いですね。

こう見ていくと

「結局5000mで速い人がマラソンも速いんじゃないか」

と思いがちですが…その通りです(笑)

100m走が速ければ速いほど長距離も速いわけではありませんが、3000mや5000mでの”スピード”が高いレベルであるほど、フルマラソンで走れるペースを練習次第で向上させる事が出来るのは確かでしょう。

でも話はこれから^^;

関心があるのは、私たち一般市民ランナーにとっての5000mとフルマラソンの関係性。

一般市民ランナーの場合

一流選手の5000mとフルマラソンのペース差が20秒/km前後というのは、あくまでもマラソンに適正があったり、フルマラソン向けの練習を充分に実施してきたトップランナーの場合です。

では、私たち市民ランナーが5000mとフルマラソンのタイムを見た時はどうでしょうか。

例えば私(げん)はVDOT58辺りで、5000mとフルマラソンのベスト記録とペースが

5000m:17分55秒(3’35/km)

フルマラソン:2時間48分30秒(4’00/km)

ペースの差は25秒/km。

5000mの記録が2017年に出したものなので、もし現在しっかり疲労を抜いてピーキングした上で5000mを走れば、17分30秒前後(3’30/km)ほどでは走れるかもしれません。

という事は、

実質的なペース差は30秒/km

サブ3~2時間40分位のレベルであればタイム差は27秒~30秒ほどなので、いわゆる普通^^;

一ここで言う”普通”は

・フルマラソンに対応出来るスタミナが充分に備わっている

・レベルに応じた閾値・ランニングエコノミーを有している

という事なので、普通に至るのも結構大変ですorz

VDOT表的に言えば、各距離のベストタイムを並べると、フラットな状態であるという事です。

走歴が少ない状態で各距離のベスト記録を当てはめていくと、多くのランナーが右上がりになりますよね。

これは長い距離に対応するための

・スタミナ不足

・ランニングエコノミーが低い状態

であると言えます。

5000mとフルマラソン、ペース差の目安としては

サブ4→40秒

サブ3.5→35秒

サブ3→30秒

サブ2.5→25秒

サブ10→20秒

このような感じとなります。

ただそれ以上のペース差がある場合でも

「自分はダメなんだ…」

ではなく、

「伸びシロがあるんだ!」

と思って頂けたら良いと思います(^^)

じゃあ上記のようなペース差よりも大きい場合、ペース差を小さくしていくには、どのように練習を変えていったら良いのかという事になりますよね。

ペースに差があるという事は現時点で足りていない能力があるので(それが伸びシロ)、それを補う練習を意識的にやっていけば解決です♪

5000mとフルマラソンのペース差を小さくする試み

「5000mのタイムが速くなれば、フルマラソンの巡航ペースは楽になるはず!」

と思って、フルマラソンが速くなりたいにも関わらず、Iペースやそれ以上のスピードでの400m~1200mのショート~ロングインターバルを実施している方も多いかもしれません。

しかし、個人のスピードには限界があります。

ある程度の走歴を積み上げている状態の中高年市民ランナーであれば、5000mのタイムの伸びは止まり、ほぼ頭打ちになるでしょう。

それ以上どんなに頑張っても5000mで30秒・1分と大きくタイムを縮めていく(キロ5秒・10秒速く走る)のは非常に難しいですし、年齢を重ねていく中で速いスピードでの練習を続けていくのは”マラソンに向けての練習”としては効率的じゃないですし、怪我のリスクも増大していきます。

ただし、マラソンは別。

5000mの記録が全然伸びない…そんな状態になってしまっても、諦めることはありません。

フルマラソンの記録は、まだまだ伸びます

不思議に思うかもしれませんが、42kmを走るための巡航ペースは上げていけますし、記録の向上も期待出来ます。

そのための詳しい理論や練習方法については有料記事に記載しているので、気になる方はご覧になって頂ければと思いますが、

個人の限界はどこにある!【第1部:理論編】 トレーニングを継続しているランナーが、ふと (最近全く記録が伸びない…もうこれが自分の限...

いつまでも

5000mのタイム向上=マラソンでの巡航ペースと記録の向上

という意識で練習をしていては、5000mのタイムが上がらないのみならず、フルマラソンのタイムの伸びも限定的になります。

「最近5000mの記録も、マラソンの記録も伸びないんだよな…」

という方は、インターバルなどトップスピードを上げるようなスピード感あふれる練習の取り組みから、フルマラソンで走るペースを上げられるようになる取り組み、それは様々な要因とクリアすべき項目があるのですが…端的に言えば

・適切なMペースで終盤まで維持する事が出来る、スピード持久力の向上

・ランニングエコノミーが低く、効率的な走りが出来ていない状況の改善

を狙っていくようなトレーニングに変えていくと、レベルに応じた5000mとフルマラソンのペース差に近づいていきます。

まとめ

5000mとフルマラソンのペース差について、そして私たちのような中高年市民ランナーが5000mの記録が全く伸びなった時、どうフルマラソンの記録を上げていくかについて解説してきました。

マラソン練習の極意は、いかに怪我と疲労のリスクを低く抑えつつ、効果的な練習で長期間成長し続けられるか、です。

そのためには、

足りない能力を補うための練習効果を最大限に狙える範囲内での最低強度で、”刺激時間”を増加させていく事

がポイントになってきます。

練習をする際に求められるのは、その目的を明確にすることだけではない。

最大限の効果を、最大の刺激ではなく最小の刺激で引き出そうとする賢い取り組みも必要だ。

ダニエルズのランニング・フォーミュラ

なぜ効果が期待出来る範囲内で最も負荷の低い、最小の刺激で実施するのが良いのか。

怪我と疲労のリスクを考慮しているに他なりません。

5000mのタイム向上を目指す、スピードを出す高強度練習でもLTの向上やランニングエコノミーを良くしていけますが、怪我や疲労のリスクが高くなりますし、刺激時間も多くは取れません。

フルマラソンで走るペースを向上させるのであれば、中強度の練習ボリュームを増やしていくことが、目指すべき方向性になります。

もし5000mとフルマラソンのペース差が大きい&マラソンのタイム向上をしていきたいのであれば、今回の記事を参考にして練習を工夫していってみてください(^^)

きっと5000mのスピードを活かしきれるランナーになれますよ♪

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ありがたい事に大…

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