今回のご質問は心拍数について。
以前はガーミンなどのGPS時計と胸に装着するベルトを連動させて心拍数を図りながら練習をしている方も結構見受けられました。
白いTシャツを着用していると背中にベルトが薄っすら透けて見えるので
「おぃ、乳バンド付けてるんかい」
とか
「ブラしてんのか(´゚ c_,゚`)プッ」
などという定番のイジりがあったものですが(笑)、現在は時計本体裏部にある光センサーで心拍数を計測する「光学式心拍計」をされてる方が増えました。
こういう、本体の裏側にセンサーが付いてるヤツですね。
胸のベルトだと擦れて痛くなったり、走ってると下にずり落ちてしまったりと不便な面もあったので、時計を装着するだけで心拍管理出来るとは便利になったものです。
(光学式は計測に少なくない誤差やトラブルなど、多少難があるということですが…)
で、私が練習内容や本番のレースレポを記載する時、心拍数の事は全く書いていません。
それを疑問に思った読者の方からのご質問です。
心拍トレーニングについて
いつも楽しくブログを拝見しています。名古屋で走っておりますKと申します。
1つ質問させてください。
ダニエルズのRペース・Iペース・Tペース・Mペース・Eペースには、それぞれ目標の心拍数があると思いますが、ブログの中には心拍数の指標について記載されていません。
練習内容や本番のレースレポでも心拍数は出てこないのですが、げんさんは日常的に心拍数は測ってないのでしょうか。
測ってないのであれば、何故でしょうか。ご教示ください。
Kさん、はじめまして!いつもブログを見てくださり、ありがとうございます!
さて、ご質問の件です。
ご指摘の通り、ダニエルズのR・I・T・M・Eの各ペースには心拍の指標があります。
例えばTペース(閾値走)は最大心拍数の88~92%、というような感じで。
私も以前はガーミン+心拍センサー+胸バンドを利用して心拍を測りながら、練習や本番のレースでも走っていた時期がありました。
しかしながら、うまく心拍が測れていなかったり、胸のバンドがゆるくて落ちてしまったり、締めすぎると擦れて痛くなったり…
「心拍いらない!身体の声を聞いて、感覚的に走れば充分だ!」
と思って、やめてしまった次第でございます^^;
「面倒くさかっただけじゃねーか!」
と聞こえてきそうですが、その通りです(笑)
それ以来心拍は計測せず、練習も本番も自分が培ってきた「感覚」で強度を決めて走っています。
「んだよ、感覚かよ」
と思われるかもしれませんが、ダニエルズのランニングフォーミュラで心拍数に関する記述をしている部分の最後に、以下のような記載がございます。
しかし、たいていの場合、一番よいアプローチといえるのは、自分自身の主観的強度に基づいて身体の声を聞きとり、定めた範囲内でトレーニングできるようになることである。それを可能にするのは、常に身につけている装置、つまり頭脳という名の身体に内臓されたコンピュータである。
キロ4やキロ5という「ペース」で判断すると、環境的要因(温度や湿度・風・アップダウン等)や身体的要因(調子の良い悪い・疲労の有無など)で運動強度が変わってしまいます。
なので「心拍数」が運動強度を調整する指標として最適と言われるのですが、例えば、真夏の30kmMペース走や(北海道マラソンのような)夏のレースで、秋~冬に開催される低温で走るレースと同じペースで巡航したらどうでしょう。
あっという間に息が切れ、身体が動かなくなり、早い段階で走る事が出来なくなったり、大きくペースダウンするでしょう。
そんな危険を察知するのに、多くの人は心拍数を見る必要は無いと思います。
頭脳という名の身体に内臓されたコンピュータが察知しますよね。
単純に
「あ、このペースで(30kmや42km)は無理だ」
という風に。
確かに日々心拍を測っていると
「昨日と同じジョグペースなのに心拍が高い…疲労が積み上がってるのだろうか」
とか
「いつもと同じ閾値のペースなのに、心拍が低い…走力上がったか!」
と感じる瞬間もあります。
しかし、それは心拍計が無くても分かります。
「ジョグなのにスゲーキツい。疲労溜まってるわ」
「いつもの閾値走がラクに感じる。次回は少しだけペースを上げてみよう」
など、感覚で充分だと。
いやむしろその「感覚」を磨く事こそがマラソンを走る上で大事なのではないかとさえ、個人的には思っています。
その感覚が磨かれてくると、練習では
「今日はこの閾値ペースでは速すぎる。少しだけ落とそう、ないしは、5km20分走るのは強度が強くなりすぎるから、今日は3km12分でやめよう」
という判断、本番では
「4’10/kmで進もうと思っていたけど、今日は4’05/kmで42km走れそうだ」
「いや、予定のペースでは最後まで持たないと感じるから、キロ5秒落とそう」
という判断が、心拍計が無くても出来るようになります。
レース中、突然
「心拍が測れなくなった!」
と、トラブルに怯える事もありません。
という事で、ブログの中には心拍についての記述をしていませんでした。
それでも最初は閾値走やインターバルをやるのに、心拍の指標もあった方がやりやすい!という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ダニエルズの各ペースをご紹介しているVDOTとはという記事に、目安の心拍数も以下のように加筆しておこうと思います。
Eペース【心拍数の目安は、最大心拍数の65%~78%】
Mペース【心拍数の目安は、最大心拍数の80%~89%】
Tペース【心拍数の目安は、最大心拍数の88%~92%】
Iペース【心拍数の目安は、最大心拍数の97%~100%】
Rペース【心拍数の目安は、最大心拍数の100%】
ご指摘、ありがとうございました。
まとめ
心拍数は、ランナーによって重要度が大きく異なると思います。
私のように心拍を採用していないランナーもいれば、非常に大事な指標として日々上手にデータを使って体調・運動強度管理をされているランナーもいらっしゃるでしょう。
大事なのは心拍計測を採用していようがいまいが、日々の運動強度調整や、本番でのレースペースをしっかり管理出来る事です。
マラソンのタイムを短縮していくプロセスは十人十色であり、色々な方法があります。
こだわり無く、様々な方法を試してみるのも市民ランナーの楽しみの一つではないでしょうか。
実は私も、次にガーミンを買い換えるとしたら「光学式」にしてみて、腕で簡単に心拍を計測してみたいな、と思っています^^;