【第4回】ハシルコト・アドバンス「ランニングフォームと”巧みさ”」

【第4回】ハシルコト・アドバンス「ランニングフォームと”巧みさ”」

4回のハシルコト・アドバンス、先月書いた第3回「ビルドアップ走の深淵」から2か月連続で取り組めた!

これは大きな進化!(いやいや笑)

【第3回】ハシルコト・アドバンス「ビルドアップ走の深淵」 前回の【第2回】「VDOTの設定ペースを守って1000m×3本、落として5本...

今回のハシルコト・アドバンスは、昔から、特に初心者~中級者で話題になりがち&商業ベースに乗りやすい「ランニングフォーム」についてのお話。

ランニングエコノミーやランニングフォームについては、すでに太古の昔w(2018年~2022年)に、ハシルコトのブログ記事で取り上げましたが…

ランニングエコノミーとは何か。 「WS(ウインドスプリント)をやるとランニングエコノミーがアップするんだよね~」 とか 「レペティ...
「楽に速く走れるフォームを身に付けたいのですが…」 「故障しがちなので、フォームを見直して故障知らずのアイアンボディになりたい...

フォームについて上の記事をまとめると、「腕振りは45度で…」とか「接地はミドルを意識して…」とか「肘を引いて…」みたいなことをず~~と考えながら、それを守って長い距離を走るのは非現実的だから

自然に、無意識のレベルで動く身体の動きが「自分のフォーム」であり、それをいかに変えていくかが問われる

と、以下のようなダニエルズのランニングフォーミュラの文言などを引用しながら、結論付けました。

レペティション(R)トレーニングを行うと、ランニングの経済性が向上する。それは、レースペースあるいはそれに近いペースで走る際の腕や脚の無駄な動きがなくなり、最適な運動単位を動員することができるようになり、より速いペースでも楽に感じられるようになるためである。

ダニエルズのランニング・フォーミュラ 旧版

Rトレーニングでは経済的な走りに必要な、適正な筋繊維を動員しているのである。無駄な動きを省き、エネルギー消費を最小限に抑えた走りを可能にするのは、こうした適正な筋肉細胞である。

ダニエルズのランニング・フォーミュラ 旧版

つまり

あれこれ考えて走ると、逆にランニングエコノミー下がるよ!

ってやつですね。これも過去のブログ記事で、書籍の文言を引用しながら書きました。

2009年の研究(「ジャーナル・オブ・スポーツ・サイエンス」に掲載)では驚きの結果が報告されました。一見、シンプルな動作だと思われているランニングでも、動きの細部にこだわりすぎるとパフォーマンスが低下したのです。

良いトレーニング、無駄なトレーニング 科学が教える新常識

フォームや呼吸を意識したランナーは、意識しないランナーより酸素とエネルギーの消費量が多かったのです。ウォーキングやランニングも実は複雑な動作だということが裏付けられました。

良いトレーニング、無駄なトレーニング 科学が教える新常識

  ランニングフォームの意識づけ 【記事の内容は、以下の動画でも解説しています!】 ランニングフォームに関しては非常に奥が深く...

で、ランニングエコノミーを向上させるにはどうしたら良いかの”ベーシック”な結論としては

・生涯走行距離を増やす(走歴を積み重ねていく)

・WSやレペなど非常に速い動作の刺激を、定期的に入れていく

・LT(閾値走)などの”それなりに速い動作”のトレーニングを、定期的に入れていく

・坂ダッシュやプライオメトリクストレーニングを継続的に実践していく

そんな感じでしたね。

つまりランニングフォームは「フォームが綺麗で憧れのある、誰かのマネ」とか「コーチみたいな人が教えてくれる”正しいフォームはこうである”」みたいな画一的なモノではなく、骨格や関節・筋・腱など無数の要因が関わる”バランス”で成り立っている自分自身の独自のフォームを、自分自身が最適化して”洗練”させていくことが正解である、ということが概ね確定しています。

「なるほどなー!」

「良いもの読んだ!フォームは作るものじゃなくて、自然に洗練させて行くものか!」

と、すでに”まとめ”のような記事の終了感が出ていますが(笑)、ハシルコト・アドバンスとしての内容はここから^^;

一歩先に踏み込んだ、ランニングエコノミー

生涯走行距離を重ね、日々のWSやレペ・坂ダッシュ、あるいはスピード練習を繰り返して数年が経過していくと、ランニングエコノミーが相当のレベルまで上がっていくのは間違いなし。

ただ自分のランニングエコノミーが、どのくらいのレベルにあるのかが”数値”や”レベル”で分かる訳ではないので、誰もが

(走り始めて今までに、どれくらいランニングエコノミーが上がっていて、そしてこれからさらに上がる余地があるのかどうか)

というのは、一切不明(ですよね笑)。

それはランニングエコノミーだけではなく、LTやVo2max・メンタルタフネス・スピード持久力・暑さ耐性など、市民ランナーは自分の能力について正確には分からないものばかりの状況で”自分に足りないもの”を模索しながら、日々トレーニングを実施していると思います。

“模索”という意味では他の能力同様、ランニングエコノミーも“やっていないことをやってみる”ことで、大きく伸びる可能性は秘めているはず。

そもそもロードでの”走り方”というのは1つではなく、例えば

・向かい風

・登り坂

・下り坂

・デコボコ

・フル終盤のなどの疲労時

・雨のレース

など様々な状況の中で、どのように身体の動きを最適なものに変えられるか、という“状況への適応能力の高さ”=”巧(たく)みさ”というのもランニングエコノミーに関連していると思えないでしょうか。

もっと細かく考えれば、1歩ずつの接地位置・腕振り・骨盤角度は、全て微妙に違うはず。

そのように無限に変化する状況に自然にうまく対応し、消耗なくペースを安定させられるランナーが、たとえVo2maxが同じランナーと対峙してもランニングエコノミーが高くて速い...ということになり得るわけです。

ランニングエコノミーにおける”巧みさ”を向上させるには

①様々な路面で走る

これは古くからのハシルコト読者にとっては、基本中の基本かもしれません。

フラットな平地のロードはもちろん、登りや下り、芝生・不整地・クロカン・トレイルなど様々な路面で走ることによって、脳が、身体が、自然と最適な解決策を瞬時に出しながら走れるようになります。

なぜロードのランナーが不整地を走ったり山に行くのか、みたいなことは何度も取り上げてきましたね。

練習の本質と目的は、動作を向上させること、すなわち動作を変化させることだ。したがって、正しい練習とはすなわち、反復なき反復である。

デクステリティ 巧みさとその発達

②様々なペースで走る

E・M・T・I・Rはもちろん、流し、坂ダッシュなどの全力に近い疾走も含めて、異なる速度で様々な身体の使い方をして刺激を与える。

ランニングエコノミーが高いランナーは、得てしてゆっくり走るフォームも綺麗で美しく、洗練されていると感じるのではないでしょうか。

私たちが巧みさと呼ぶ最も完全な動作の美しさは、適宜性と経済性が組み合わさったところにある。巧みさのすべての条件が満たされたならば、必然の帰結として美しさが生じる。

デクステリティ 巧みさとその発達

③疲労状態でも走る経験を積む

フルマラソンの終盤にキツくなってきて自分の身体に神経を向けると…(うそっ!)って思うくらいフォームが崩れている時があります。

私なんて、しょっちゅうです(笑)

極限に近くなってきた時にフォームを崩さないで走るには、その状況でフォームが崩れないように意識して走る練習は必須。

・ロング走を積極的に取り入れる

・セット練で2日目にフルマラソン終盤のようなキツさを生み出す

・登山やトレイルの翌日にダメージのある中でジョグをする.

などで、自分から辛くなる状況に飛び込む(ほんっとイヤですが、やむなし笑)

身体的な変化をが生じた時でもペースが維持出来るような”巧みさ”、例えばストライドを少し短くしてピッチを上げる、股関節の使い方を変える、接地を変える、などが自然に出来て何とか粘れる…そんなイメージです。

巧みさとは、あらゆる状況ならびにあらゆる条件下において解決策となる運動を見つけることである。これが巧みさの本質的な特徴だ。

デクステリティ 巧みさとその発達

④新しいチャレンジに取り組む

上記の引用文「あらゆる状況ならびにあらゆる条件下において解決策となる運動を見つける」という意味では、経験したことがない状況や条件での運動中に”解決策”となる運動を見つけることが重要、というように理解することが出来ます。

つまり

・トレイルに行ったことがない人はトレイルに

・様々なドリルをやったことがない人はドリルに

・色々な種類のラダーをやったことがない人はラダーに

・走る練習の中でも避けてきたような、やった経験の少ないトレーニングに

ノビシロが隠されている、ランニングエコノミー爆増の可能性がある!!ということになりますね(*^^*)

⑤フォームに関する正解探しをやめる

これも前述の引用文「正しい練習とはすなわち、反復なき反復である。」から導けますが、フォームって1歩1歩同じように見えて、実のところ僅かずつ違います。

ごく微細な環境の変化に対応して、身体が”巧みさ”を発揮して微調整しながら進んでいるのですが、その繰り返しが”反復なき反復”(画一的な同じ動きの反復ではない、変化のある反復)となり、その反復なき反復の経験が多い

走歴の長い、生涯走行距離の長いランナーが得てしてランニングエコノミーが高い

という結果になるわけです。

「正解はコレ」というのはなく、つまり

・ミッドフットが正解

・前傾が正解

・肘の角度は、コレくらいがベスト

みたいなことを教えてもらったり模索していくよりも、例えば坂ダッシュで(↓画像をタップでインスタ投稿に飛びます)

「スピードを付けたいなら斜度10%で全力走10秒、5~10本いっとけ!」

というような”課題”を与えてあげた方が、自然に

・前傾

・股関節伸展

・素早く離地する”短接地”

・適切な腕振り

などを、自分の身体に合った形で洗練させることが出来る、という仕組みですね。

⑥様々なシューズを使う

こちらも前述の引用文あらゆる状況ならびにあらゆる条件下において解決策となる運動を見つけることから導き出せます。

いつも同じシューズで走るのと、薄底シューズや厚底シューズ、山ではトレイルシューズなど条件を変えてあげることで、身体は様々な状況に対応する”必要性”が出てくるため、刺激も入りやすくなるということです。

とはいえ、これは「厚底と薄底を履き分ける」というトレーニング理論とは少し違う考え方ですので、混同しないように注意は必要です。

まとめ

教師もコーチも、スキル発達の第二段階においては生徒に多用で複雑な条件で意図的に動作を強いることが望ましい。そのような予期せぬ状況での訓練によって、生徒は次第に予期ができるようになり、巧みさの中核をなす能力が向上するであろう。

デクステリティ 巧みさとその発達

マラソントレーニングの難しいところは

・ロードで走ろうが不整地で走ろうが

・同じシューズで走ろうが違うシューズで走ろうが

・ドリルやラダーをやろうがやるまいが

・筋トレや体幹をやろうがやるまいが

短期間では(もしかしたら長期的にも笑)効果を感じにくく

(おいおい、意味あんのかコレ)

と思ってしまいがちなところ(笑)

そこを信じて数ヶ月・数年・10年やり続けられた人と、やらなかった人とでは大きな差がつくのは明らかではあるのですが…これがまた、なかなか出来ない(笑)

しかしながら、ある意味「馬鹿」になり切って、騙されたと思って実施し続けれる、あるいは敏感に(もしかしたらプラセボでも笑)効果を感じられる性格・性質の人が、ある意味では

マラソンに向いている

ということになるのかもしれないですね。

(書いてて思いましたが…私は完全にバカ寄りですw)

★★★

今回のハシルコト・ADVANCEの記事、どうでしたか!

次回もまた違う観点から、レベルが高くなったランナー向けに様々な内容のハシルコトADVANCE記事を書いていこうと思いますので、良かったら下の”いいね”を押してもらって、応援してくださいね!

やっぱりコメントはしづらいと思いますが(笑)、“いいね”が多くあるだけでモチベーションが全然違います♪(*^^*)

アドバンスの記事では毎回たくさんの”いいね”を頂きまして、本当にありがとうございます!!

また次の記事も、頑張って考えて書きますねー!!

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