【第3回】ハシルコト・アドバンス「ビルドアップ走の深淵」

【第3回】ハシルコト・アドバンス「ビルドアップ走の深淵」

回の【第2回】「VDOTの設定ペースを守って1000m×3本、落として5本、どっちが効果的だ!?」から、はや4か月(笑)

【第2回】ハシルコト・アドバンス「VDOTの設定ペースを守って1000m×3本、落として5本、どっちが効果的だ!?」 【記事の内容は、以下...

いいねを64個も頂きながら、なかなか続編が公開出来ずに申し訳ありませんm(_ _)m

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本業+合同会社ハシルコト・2つの決算業務が2月~最近まであったこと、そして本格的にハシルコト北海道をチームとして拡大していこうという取り組み(チームインスタグラムの作成など)の中で、時間が全く足りませんでしたorz

ようやく少し余裕が出てきたので、今回は【第3回ハシルコト・アドバンス】として、ビルドアップという練習について深堀りしていけたらなと思います。

「え、ビルドアップみたいな基礎的な練習でアドバンスとか…今さらやるの?もうハシルコトで作ってる記事あるじゃん」

ビルドアップ走とは、徐々に走るペースを上げていく練習方法です。 走り始めは比較的ゆっくりと走り始めることで身体を走る事に慣らし...

と思われるかもしれませんが、以前作成した記事は、あくまでも基礎的な内容。

あ、見てない方や忘れちゃった方は、復習がてら読んでおいてくださいねー。

YouTube視聴でも、OKですよ。

すでに上げている記事では「ビルドアップの基礎的な効果の考え方」として、ペースを上げていく「途上」で得られる個別の能力向上、例えばLTとかVo2maxに焦点を合わせてご紹介しています。

ただそれだと、単純に疑問に思うのが

「じゃあ閾値走で長く走った方がLTへの刺激時間が長くなるから、その方がいいじゃん」

とか

「Vo2maxの向上って言っても、ビルドアップしていってIやその近辺で走れるのなんて1km~2kmだから、やっぱIペースの1000m×5本とかの方が効果的に決まってる」

これですね。

しかーし!

それって、例えば閾値走20分で走るトレーニングをするのに

「これじゃあ、Vo2maxの能力向上が少ないな~」

と文句を言ったり(そんなバカな笑)

「無酸素への刺激時間が足りないんだよね~」

と不平を言うようなもの(じゃあレペやれよwwみたいな) 

↑こう言うと分かると思うのですが、つまり「お門違い※1」というヤツです^^;

※1 お門違い(おかどちがい):相手や対象を根本的に間違えていること。批判や要求を向ける対象がそもそも違うこと

上記の例のように「閾値走はLTを鍛えるのに効率良く出来ていて、Vo2maxや無酸素能力の向上が”主”となる練習ではない(一切上がらないわけではないけど)」みたいに、そのトレーニングの効果と目的を熟知出来れいれば、そんなことは思わない。

ただ、ビルドアップの効果を分かりやすく記載している書籍や情報が、閾値走やインターバルほど多くないので、何となく

「分かったような、分からないような^^;」みたいな状態のままやっている、あるいは重要性が閾値走やインターバルに比べて少なく感じて、やる頻度が少ない

みたいな方も多いと思います。

例えば、とある書籍に記載がある”ビルドアップ走”についての記述は

ビルドアップ走のねらい

前半はおもに有酸素系エネルギーで、後半のスピードアップ時は無酸素系エネルギーをより多く動員して走ることになります。ペースを維持してコントロールする能力、レースでのスピードアップのしかた、レース後半での筋疲労状態での粘り、耐乳酸性能力などが強化されます。

42.195km トレーニング編 第2版

ほら。「LT向上!」とか「Vo2max向上!」に比べて、なんかボンヤリしてるでしょ(笑)

しかも効果的には、↑だとちょっと違うし^^;

ということでビルドアップ走の「深淵」について、少し覗いてみましょうか!

ビルドアップの意味と効果

ビルドアップをする時のイメージって、どんなものがありますか?

「最初からキツいペースじゃなく身体が温まってから速いペースになるし、Tは最後の1~2kmとかなので、比較的ラクな練習に感じる」

「同じTペースの速度域でも通常の閾値走で走る時より、ビルドアップで上げてきてTペース近辺のスピードに到達する時の方がキツく感じる」

そんな感じでしょうか。

キツく感じる人もいればラクに感じる人もいるかと思いますが、それはランナータイプや、無限にある”ビルドアップの設計”にも影響されるかと思います。

設計的には30km走のようなロングでのビルドアップもあれば、スピード練習のように5km~15km程度の距離で実施するビルドアップもありますし、そのペースや区分けする距離も様々。

それぞれにどんな目的や効果があるのか。

5km~15km(スピード練習として)のビルドアップの効果と目的

閾値走のように乳酸処理能力の向上だったり、IペースインターバルのようにVo2maxや多くの乳酸が産出される状態を維持する力を養うのではなく

・高速の有酸素能力、遅筋を高出力で使い続ける能力の向上

これがメインで結論。

だから遅いペースから走り始める。

これが何で重要なのか。

ちょっと難しい部分ではあるので、なるべく簡単に。

1.BUの終盤は速いけど速筋や糖質をメインで利用するのではなく、遅いペースから始めることで、有酸素主体のまま高速領域へ入れる

→かなり速いペースにも関わらず有酸素主体でいける、というゾーンを鍛える

2.遅筋をメインで使いつつ、速いペースで巡航出来る”枠”を広げる

→遅いペースから有酸素主体の流れのまま速くしていくので、遅筋を高い出力でも使い続ける、つまり遅筋を速くする、みたいなイメージのトレーニングであり、フルマラソンの巡航ペースを上げるために有効な練習。

(なんで最初からTペースのスピードで走る閾値走より、ビルドアップで到達するTペースがキツいんだろう…)

と感じる方は、有酸素主体のまま高速領域に入れていくのが苦手、つまり遅筋の高速化にノビシロあり。

そういう人が最初からTで走る時は、かなり速筋・糖質を使った(補助有り状態のような)走りで比較的”楽”にイケてるだけで、乳酸の処理・再利用能力が高いからハーフは速いけど、フルはちょっと苦手…^^;みたいな”スピードタイプのランナー”が多いです。

逆に最初からTペースに入れるのがとってもキツい、むしろビルドアップで上げていく方が割と楽に感じる…というランナーは、比較的スタミナタイプに多い傾向があります。

【練習例】

E下限スタート、1km毎に10秒/km上げて8km~10kmまで(T~Iまで)

E上限スタート、2km毎に10秒/km上げて10km~12kmまで(T~CVまで)

モデレートスタート、3km毎に10秒/km上げて9km~12kmまで(T~CVまで)


20km~35km(ロング練として)のビルドアップの効果と目的

短い距離でも長い距離でもビルドアップとして「徐々にペース(出力)を上げる」「様々ペースに適応する」「後半に強くなる」という”軸”は変わらないのですが、ペースや距離が違うので、効果は異なってきます。

短い距離のビルドアップは一言で言えば「遅筋で速く走るための練習」ですが、長い距離のビルドアップはグリコーゲンが減少していき、脚にはダメージが積み上がっていって筋疲労も伴う状態でのビルドアップ。

なので端的に言うと

・身体に使えるものが少なくなってくる状態でのペースアップになるので、終盤での強さが大きく向上

するトレーニングです。

フルマラソンを走っていると30km・35kmと距離が増してくるにつれて、出力を同じにしているとペースダウンしてくるので、感覚的にはビルドアップしていかないとイーブンペースでは走れません。

前述しましたが、フルマラソンは終盤になればなるほど、筋グリコーゲンの低下や筋損傷・筋疲労・中枢神経系疲労・接地時間の増加が起きて、ランニングエコノミーが下がりがちになります。

そのような疲労下の状態でペースを維持しようとするのは”維持”ではなく、むしろ”ビルドアップ”。

これは単なる閾値走やインターバルはもちろん、一定ペースで走るペース走では代替しにくい能力です。

ロング走のビルドアップについて正確に言えば

・マラソン後半の悪化する身体の状態の中で、巡航ペースを維持して最後まで粘り切るための能力を鍛える練習

ということになります。

【練習例】

★24kmBU★ ~6km Eペース ~12km E上限 ~18km モデレート ~24km Mペース

★30kmBU★ ~10 Eペース ~20km モデレート ~30km M 

★32kmBU★ ~10km E上限 ~20km モデレート ~30km M  ~2km フリー

まとめ

「よ~し、そしたら自分はスピードタイプだから、長い距離のBUをやりまくるぜ!」

とか

「私はスタミナタイプだから、短い距離のBUをメインにやろうかな」

と思いがちですが…いつも申し上げておりますが、マラソン練習はバランスです^^;

片方だけだと偏りますし、両方やることで”補完し合う”という事が起こります。

・短い距離のBU偏重→遅筋で速く走る能力向上は上がるけど、遅筋で速くいけても後半耐性不足になる(ハーフまでが速い、ハーフの鬼・完成w)

・長い距離のBU偏重→極限の疲労下で厳しい状態でも、何とか最後までイーブンで持たせることが出来るようになる…とはいえ、巡航ペース自体が上がらないのでマラソンのタイムは低め安定(フルは安定して強いけど、駅伝~ハーフまでは至って平凡。天井低め)

両方実施することで、何が起きるか。

・短い距離のBU→巡航ペースの”天井”を上げる!(エンジンを大きく)

・長い距離のBU→巡航ペースの”維持時間”を伸ばす!(燃費と耐久性↑)

コレが両方をやる、最大の価値になります!

今まであまりビルドアップをしてこなかった方は、大チャンス!

ノビシロ、たくさん隠されているかもですよ!!

★★★

今回のハシルコト・ADVANCEの記事は、いかがでしたでしょうか。

次回もまた違う観点から、レベルが高くなったランナー向けに様々な内容のハシルコトADVANCE記事を書いていこうと思いますので、良かったら下の”いいね”を押してもらって、応援してくださいね!

コメントはしづらいと思いますが(笑)、“いいね”が多くあるだけでモチベーションが全然違います♪(*^^*)

いつも応援、ありがとうございます!!

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