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坂ダッシュやレペ・インターバルの効果って、どれもゼーハーするし同じじゃね?
100mほどの坂を駆け上がる”ヒルトレーニング(坂練)”や、短い距離を速いペースで疾走する”レペティション”は、あっという間にゼーハーするキツい練習ですよね。
特に坂ダッシュは坂の駆け上がりを何本かやってると、凄くゼーハーが強くなってきます。
(これって凄く心肺に刺激が入ってるように感じるし、速くなりそうだな~)
そんな事を思いながら実施されている方も多いと思います。
でもふと疑問に感じることもあったりしませんか。
「短い距離のレペティションや坂ダッシュと、インターバルのような1000mとか走るスピード練習。どっちも凄~くゼーハーするし、結局何でも心肺が鍛えられる効果は同じじゃね?」
今回は読者の方から頂いた質問に回答する形で、解説をしていきます(^^)
【解説動画】坂ダッシュとインターバルって、どちらもゼーハーするし効果同じじゃね?…その理解はヤバい^^; コレだけは知っとけ!
記事の内容は以下の動画でも解説しています!
【読者の方からの質問】ランニングエコノミーの効率化とVo2maxの増大、効果が似ている気がするのですが…
げんさん、いつも参考にさせてもらってます!
質問させて頂いてもよろしいでしょうか?
げんさんが作った、ウインドスプリントの動画を拝見しました。
効果はランニングエコノミーの効率化ということなのですが、
具体的な違いが何か、ちょっとわからなくなってしまいました。
どちらもスピードを上げた時の心拍数の増大を抑える効果、
お手すきの時に教えていただけると嬉しいです。
★結論★あるペースでゼーハーしなくなる(速くなる)という効果でいえば、どんな練習をしても同じです^^;
「ゼーハーしなくなる」という、非常に大きな括りで語るのであれば、レペでもインターバルでも閾値走でも坂ダッシュでもロング走でも、どんな練習だって”あるペース(キロ4とかキロ5とか)”でのゼーハーを抑えて、速く・長く走るための練習になりますよね。
走って”ゼーハー”する練習をすれば、どんな距離で、どんなペースで走って、何をしたとしても心肺への刺激が入って速くなるはず、と思いがちです。
だって苦しくなるのは一緒だしw
実際走り始めて数年は、フルマラソンに対応する距離走+何かスピ練をしていれば、何をしてもある程度までは速くなりますしね^^;
じゃあ何で練習の目的を明確にして、能力別に上げていくことが必要なんでしょう。
少し解説していきます。
【解説】マラソンは能力の平均化が求められる
走力を決定する要因は、以下の図のように主に3つ。
その中で”ランニングエコノミー”にはいくつかのパーツがあるのですが、詳しくは以下の記事にて。
坂ダッシュやレペティションなどは、主にランニングエコノミーを向上させるための練習ですが、実施すると大きく息が乱れます。
そのため
「これは相当心肺に刺激が入ってるはずだ。これをやればトップスピードも上がるだろうし、良い練習だろうな」
などと考えがちで、つい坂の下りも速めに下ってゼーハーがあまり整わないうちに次の駆け上がりへ。
あるいは400mなどのレペティションでも、レスト(休息)を短くして頑張る、その方が効果的でしょ!みたいになりがちなんです。(目的の理解不足)
レペの場合はやり方次第で(ショートインターバルの形式にして)Vo2maxへ刺激を入れる事が出来て効果的になるのですが、100mほどの坂ダッシュでVo2maxに刺激を入れるには、ちょっと効率が悪い…というか、Vo2max向上のために坂ダッシュをする訳ではありません。
とはいえ前述しましたが、走歴が短いうちは何をやっても、どう走っても走力アップするので、どの能力が上がって走力アップしたのか分かりづらい^^;
毎回の練習でどの能力がどれだけレベルアップしたかなんて、実際には分かりませんしね。
スマホのガーミンコネクトで、自分のVo2max・LT(閾値)・ランニングエコノミーの現在の値が出てくれば、非常に分かりやすくて良いんですけどね(笑)
もし自分の能力の上限と現在地が分かれば、今やるべき練習が明確で良いなーってw
上記なら、もうVo2maxへの刺激入れを中心とした練習じゃなく、LTへの刺激を続けながら、ランニングエコノミーを強化しようって簡単に思える^^;
そんなシステムは私たちが生きている間には(多分w)無理なので、自分にとって必要な練習は何かを、自分で判断してやっていく必要があるわけです。
大事なのは
各能力には上限があるということ
そして
低い能力を伸ばした方が、マラソンのタイムは上昇しやすい
という事です。
割と早く上限に達する(非常に伸びにくくなる)能力もあるんです。
これが各能力を把握しながら走力アップを狙う、大きなメリットです。
もし能力別に走力を向上する、という意識を持ってなかった場合、どうなるか。
「インターバルも坂ダッシュもWSも、どれもゼーハーするし、効果の大きな違いはないだろう。であれば、坂ダッシュやWSにさほど意味は無いかな…」
そんな風に思ってしまうかもしれません。
そしていつの間にか、坂ダッシュやWSは日常の基礎練習から除外されて、やらなくなるかもしれません。
その代わりにインターバルのようなVo2maxに刺激のある練習を増やしたりして、ある程度まで速くなっていくのは間違いありません。
しかしある時点で伸び悩む時期がきます。
なぜなら、少し前にも出しましたが、こんないびつな能力状態になる可能性があるからです。
もしこれまでインターバルなどの練習を多くやってきて、もうVo2maxは個人の限界に近づいている場合。
これ以上は非常に伸びにくいのに、伸びないVo2maxを向上させるための練習をしていることになるわけです。
Vo2maxに刺激を入れるためのインターバルなどで”閾値(LT)”や”ランニングエコノミー”などの向上も当然見込めるのですが、いかんせんインターバルはペースが速くてダメージも大きいので、1回の練習で距離が稼げませんし、怪我のリスクも高い。
生涯ベストを狙うための時間が限られている私たち中高年にとっては効率が悪く、のんびりやってると加齢による能力減退に負けてしまいます。
以上のような事が分かれば練習に工夫やアレンジも出来ますし、自分にとって必要なものを効果的に取り入れる事が出来るようになります。
WSやレペ・坂ダッシュのようなランニングエコノミー向上のための効果的な練習を入れる意識も、
「各能力別に、平均的に上げていこう」
という気持ちがあれば実施するでしょう。
まとめ
「何をやってもゼーハー解消、速くなるための練習でしょ」
という理解から
「同じ”速くなるでも”エンジンを強化するのか、ボディを軽くしてエコノミーを向上させて速くするのか」
そんな違いを理解して頂けましたでしょうか。
走歴が長くなってくると、特に能力別の練習方法が大変重要になってきます。
「どうしてもサブ○○出来ない」
「あと少しが届かない」
「もう自分の能力では、ここまでか…」
そんな状況になっている人の場合、練習内容の見直しでグッと走力がもう1段階伸びて念願の目標に届く、そんな事も多いです。
その辺りの事に関しては【有料記事】になって恐縮ではございますが、以下に詳しく記載させて頂いております。
もしご興味があれば。