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【解説動画】フルマラソンのタイムを飛躍的に伸ばす5000m!その練習方法とは!5000mを頑張る意味は?フルマラソンにどう活きるの?
ブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
42.195kmという長い距離を走るフルマラソン。
初心者ほどフルマラソンを走り切る”スタミナ”が非常に大事なのですが、ある程度フルマラソンの経験を積んできて、さらなるタイム短縮を目指す上で重要となってくるのは
スピード
である事は、ベテランランナーほど身に沁みて分かってる事だと思います。
サブ4であれば5’41/km平均
サブ3.5であれば4’58/km平均
サブ3であれば4’15/km平均
1km平均だと上記のようなスピード、100m換算だと
サブ4=100mを34秒
サブ3.5=100mを30秒
サブ3=100mを25.5秒
上記のタイムで42.195kmを走り続ける事が出来ないと、目標達成とはならないわけです。
つまり、そもそも100mをそれぞれのタイムで走れる”スピード”が無いのであれば、フルマラソンで目指すタイムには届かない。
フルマラソンでは上記のようなごく短い距離のスピードに加えて”スピード持久力”という、ある一定のスピードを長い距離維持する能力が求められるので、一概に100mが速くなったらフルマラソンが速くなるという訳でもないのですが^^;
従ってフルマラソンのタイムを予測したり、スピードをつけるための練習として”100m”のタイムを目安にするのは一般的ではありません。
短い距離の中でも、フルマラソンのタイムとある程度関連のあるものとして利用するのは…
5000mのタイム
スピードも必要ですが、そのスピードを維持するための持久力も必要な距離。
5000mのタイム向上は、フルマラソンに必要なスピードを磨くのに最適だと言われます。
秋のフルマラソンのレースに向けて、土台となる持久力に不安のあるランナーは
脚作り
に、まずは専念するとタイム短縮しやすいと思います。
スピードがあってもスピードを生かすフルマラソンのための基礎的な持久力が無ければ、終盤の大失速を招き、タイム短縮は難しい。
しかし、
「すでにフルマラソンを何度も走ってスタミナはある程度自信がある。でも、さらなるタイムの向上を目指すのに数秒/kmの巡航ペースを上げるのに苦労している…」
という方。
例えば
・キロ5くらいなら巡航可能でも4’50/km~4’55/kmになると苦しい
・4’15/km~4’20/kmまでは現実的でも、4’10/kmになると世界が変わる
そんな中~上級者のランナーにとって、夏場は持久力を向上させるトレーニングは控えめに、スピードを磨き上げるトレーニングに移行してみるのも良い試みではないでしょうか。
実際、私が秋に初サブ3挑戦する予定だった年の夏、とにかく4’10/kmを楽に感じるようになるため、スピード練習に真剣に取り組み、スピードに磨きをかけました。
そのおかげか、本番では4’10/km~4’12/kmが比較的楽に感じながら巡航することができ、無事に初サブ3達成となりました。
ダニエルズのランニング・フォーミュラに記載されている、5000m~10000mまでのトレーニングプログラムを参考にしながら、フルマラソンのためのスピード向上について考えていきます。
5000m~10000mのタイム向上を目指すための練習
フルマラソンのために5000mのタイム向上を目指すとはいえ、ダニエルズのランニングフォーミュラに記載されている練習の種類に大きな違いはありません。
基本は日常のジョグ(Eペース等)に加えて、
Mペース(マラソンペース走)
Tペース(閾値走)
Iペース(インターバル走)
Rペース(レペティション)
でのポイント練習になります。
では、フルマラソンに向けた練習と何が違うか。
練習内容とポイント練習の頻度
が違います。
5000mのスピード向上を目指す場合、TペースやIペース・Rペースの練習頻度や本数が明らかに多く設定されており、1週間に実施するポイント練習の回数も3回(フェーズⅡとフェーズⅢ)になっています。
マラソン練習の場合はポイント練習が週2ですので、かなりスピードを意識的に養成するためのメニューになっています。
ダニエルズのランニングフォーミュラによるメニュー
ここでご紹介するのは週間64km~80km(月間280km~340km)を走るランナー向けです。
すでにランナーとしての土台は作られており、基礎を作るフェーズⅠは省略可能な場合を想定します。
各フェーズは6週間、フェーズⅡ・フェーズⅢ・フェーズⅣに分けての練習内容例です。
ただし、レース前の調整的なフェーズⅣは省略。
メインの練習期間といえる、フェーズⅡ・フェーズⅢを中心にします。
フェーズⅠやⅣも含めて詳しく知りたい場合はダニエルズのランニング・フォーミュラの第11章(158頁~)を参照ください。
フェーズⅡ
月曜 ジョグ(Eペース走)+WS10本
火曜 【レペ200m×8本(レスト:200mジョグ)】×2セット、アップ&ダウン 6.4km
水曜 ジョグ(Eペース走)+WS8本
木曜 ジョグ(Eペース走)
金曜 レペ200m×4本(レスト:200mジョグ)+閾値走1.6km×2(レスト:休息1分)+レペ200m×4本(レスト:200mジョグ)、アップ&ダウン6.4km
土曜 ジョグ(Eペース走)+WS8本
日曜 ロング走(週間走行距離の25%か120分間走のうち、少ない方)ペースはEペース
上記のようなメニューを基に、黒字のポイント練習の内容を各週で変えていくような形で練習を積み重ねていきます。
例えば火曜日の練習を
・レペ200m×4本(レスト:200mジョグ)+レペ400m×4本(レスト:400mジョグ)+レペ200m×4本(レスト:200mジョグ)、アップ&ダウンジョグ6.4km
・レペ400m×10本(レスト:400mジョグ)、アップ&ダウンジョグ6.4km
金曜日の練習を
・レペ200m×4本(レスト:200mジョグ)+閾値走4.8km+レペ200m×4本(レスト:200mジョグ)、アップ&ダウンジョグ6.4km
・【インターバル3分(レスト:2分ジョグ)】×3本、【インターバル2分(レスト:2分ジョグ】×4本、アップ&ダウンジョグ6.4km
日曜日の練習を
Eペース走1.6km+Mペース走14.4km+WS6本
このような感じで変えてアレンジしながら、6週間のフェーズⅡで鍛えていきます。
下の動画は、2016年リオオリンピック5000m銀メダリストのPaul Chelimo選手のSpeed Session (5x800m, 4x200m)です。
インターバル5本、レペ4本というようなメニューですね。
フェーズⅢ
月曜 ジョグ(Eペース走)+WS10本
火曜 ジョグ(Eペース走)
水曜 インターバル1.2km(レスト:3分ジョグ)×4本、アップ&ダウン6.4km
木曜 閾値走1.6km(レスト:1分休息)×4本、アップ&ダウン6.4km
金曜 ジョグ(Eペース走)+WS8本
土曜 ジョグ(Eペース走)+WS6本
日曜 ロング走(週間走行距離の25%か120分間走のうち、少ない方)ペースはEペース
フェースⅢは5000mのタイムアップを目指す、本格的な練習期間。
毎週ポイント練習を2日連続実施してセット練にする、強度高めの6週間となります。
上記のようなメニューを基に、黒字のポイント練習の内容を各週で変えていくような形で練習を積み重ねていきます。
例えば水曜日の練習を
・インターバル1km(レスト:400mジョグ)×5本、アップ&ダウン6.4km
・インターバル800m(レスト:400mジョグ)×6本、アップ&ダウン6.4km
木曜日の練習を
・閾値走4.8km、レペ200m×4本(レスト:200mジョグ)、アップ&ダウン6.4km
・閾値走1.6km(レスト:1分休息)×6本、WS5本、アップ&ダウン4.8km
日曜日の練習を
Eペース走1.6km+Mペース走16km+WS6本
このような感じで変えてアレンジ、怪我や疲労に注意しながら6週間のフェーズⅢを最後までやりきってください。
こちらも2016年リオオリンピック5000m銀メダリストのPaul Chelimo選手の閾値トレーニング(Threshold Session(3mile+2mile+400m×2本))です。ラストの400m2本はレペです。
インターバルでも閾値走でも、最後にレペは必ず入れてますね。
まとめ
「なんで5000m向けの練習で、日曜日にロング走とかやるんだよ」
と思うかもしれません。
その点について、書籍でダニエルズさんから理由や要因について触れた文言はありません。
しかし、よく考えてみてください。
ジョグの効果をあなどってはいけなかったですよね。
5000m向けの練習内容は、スピード練習を多く取り入れるメニューや、フェーズⅢでは2日連続のポイント練習を毎週繰り返したりと、練習強度が高いです。
メニューを見るだけで最終的には疲労で練習をこなせなくなったり、怪我しそうな内容^^;
このような練習に取り組むには、ポイント練習以外のジョグや少し長めの距離走が”土台”として必要になってくるのは言うまでもありません。
土台が強固なほど、疲労や怪我のリスクを最小化できます。
「月間150kmでサブ3!」
とか
「月間100kmでサブ3.5達成!」
というような、月間走行距離が少ないのにも関わらず素晴らしい結果を残す人もいます。
しかし、練習内容を見るとジョグの練習が少なく、スピードを上げて走るポイント練習が多いように見受けられます。
そのような練習方法だと、比較的ケガを頻発するランナーになりやすいようにも感じます。
それでも目標達成&怪我もあまりしないような若いランナーや、40歳台以降でも身体の強さや能力の高さを持ち合わせているランナーもいるでしょう。
でも、
「そんな人は少数。自分は”一般的な市民ランナー”だ」
と自覚しましょう。
土台をしっかり築きつつ強度の高いポイント練習を積み重ねていく事が、タイム短縮の近道でありますし、長くランナーを続けていける要因にもなります。
5000mのような短距離の練習ほど”スピード練習”に意識が向きがちですが、ジョグも抜かりなく実施して、フルマラソンのタイム短縮につなげてください♪
なお、閾値走やインターバル・レペティションなどをポイント練習の軸としてマラソン練習を積んでいく場合は、ダニエルズさんの教科書をしっかり手元に置き、都度参照しながらやっていってくださいね。