
寒くなってきて、秋の本命レースが次々と開催されていますね!
今週末は多くのガチ市民ランナーが全国から集いタイムを獲りにくる”つくばマラソン”をはじめ、大田原マラソンや福知山マラソン、そして12月にも防府や松江城・奈良・青島太平洋・みえ松阪など、各地で秋の本命レースが実施となりますよね~。
ここまで来れば、今から走力を上げるのは無理。
厳しい練習をやっても本番のレースに疲労やダメージを残すだけなので、だったら何もしないでまったり過ごす方がマシ、というフェーズです^^;
ザトペック効果、ですね。
じゃあ、今から出来ることは何か。
身体的な能力、つまりレースで出せるタイムの”上限”はもう決まっているんだから、いかにレース当日にその”上限”を引き出せるかどうかの戦略的なこと、メンタル的なことを改めて心に刻むという作業ですね。
メンタル的な事は先日の記事で書きましたので、以下の記事で確認してくださいね。
そしてレースを壊さないでその日に出来うるベストの走り・ベストのタイムを出すための戦略的なことのうち、本番前日と当日に気をつける基本的なことは以下の記事内に書いていますので、こちらも詳しくは記載しないでおきますね。
とはいえ例えばこういう事とか記載していますので、改めて軽く復習するのはオススメします。
マラソン前のウォーミングアップはマイナスに働くこともある。マラソンの課題の1つは、グリコーゲンが枯渇しないうちにフィニッシュラインに到達することである。 ~中略~ ウォーミングアップでは脂肪と一緒に糖質が燃焼されるため、貯蔵されたグリコーゲンは若干減少する。したがって、スタートからレースペースで走りだすための、必要最小限のウォーミングアップを割り出すこと、そして、これから走る42.195kmのためにグリコーゲンをできるだけ多く温存することが、鍵となる。
じゃあ今回は何を書きたいかというと…
レースペースのお話です。
目次
ペース配分の戦略

ペース配分について書いた記事も、ハシルコト内に存在することはするのですが
“初心者向けのペース配分”や”ペーサーに付くか否か”みたいな視点から書かれていますので、今回は純粋なペース戦略について。
1.ペースを決めて挑む作戦

2024年・びわ湖マラソン
フルマラソンを走るペース、基本的には自分のVDOT(走力)や自分のランナータイプ、目指す目標などを考慮してMペースやモデレートペース・Eペース上限など、それぞれが「フルマラソンを走るのに無理がないかな」と思えるペースを練習のロング走などで感じながら決めたりすると思います。
その上で、目標を定めて走る市民ランナーがペース配分を考える時、まず思いつくのは例えばサブ3.5が目標なら
・今回の目標はサブ3.5だから、4’50/km~4’55/kmで走ろう
という、前半から少しだけ貯金を作りながら、終盤のペースダウンを見越しても粘れば目標達成出来るだろうという「前半型」「イーブン型」や
・最初はキロ5で巡航して、20kmくらいから4’55/km、30kmから4’50/kmに上げていこう
みたいな、終盤にかけてペースアップしてく”ネガティブスプリット”をイメージした「後半型」のように
巡航ペースを決めていく作戦
ですね。
目標達成を目指すための、割と一般的なレースプランになるかと思います。
私(げん)は目標やペースをバチッと決めて、練習でのロング走ではそのペースで何度もトレーニングを重ねて挑むレースが多かったです。(辛くなる終盤にある程度の貯金が無いと、メンタル的に頑張れないタイプでした^^;)
↓つくば初挑戦となった2018年つくばマラソン(430平均が必要なサブ310狙い・4’25/km巡航予定)でも、ペースをガッチリ決めて進んでいました。
ペースをガッチリ決めないで挑むレースプラン

2015年・洞爺湖
「ゴールタイムの目標ありき」でペースをガチッと決めてしまうと、いくらその日の体調がどうであれ
(決めたペースでいかないと…)
みたいな”強迫観念”のような気持ちに駆られてしまい、設定を守ることがオーバーペースにつながって息切れが大きくなり、ハーフで撃沈・やめたくなってしまうような人。
あるいは決めたペースで走らないと目標達成が出来ないという考えに至りやすく、目標ペースから少しでも外れると
(もうダメだ…)
と、モチベーションが一気に低下していってレースを壊してしまうような方。
こういうタイプのランナーは
巡航ペースを、あえて決めないでいく作戦
というのが、逆説的ですが最終的なゴールタイムを、その日に達成しうる最善なものにする事が出来るかもしれません。
特にアップが充分ではないスタートから数kmは身体にとって速いペースで走るための”準備”が万全に整っているとは言えず、本来(アップ万全の通常練習)であれば問題のないペースでも、アップがさほど出来ないレースの序盤に大きく消耗する可能性が大きいタイプのランナーもいるからです。
最初の1.6kmは、設定ペースどおりか、あるいはそれよりやや遅いペースで走りだしたほうが賢明である ~中略~ レース序盤から飛ばしてしまうと、グリコーゲンが余分に燃焼され、乳酸が蓄積する。そうなれば、その後レースに悪影響を及ぼしかねない。
身体が温まって走る”準備”が出来てくれば自然に(ここが大事。自然に)ペースは上がるでしょうし、ジョグのような感覚でレースを進めることが出来るに違いありません。
これはセカンドウインドという現象で、記事も作成していました。
なお、もし序盤に速く入ってしまって7km~8kmまで走っても自動巡航にならない、息苦しい、辛いなどであればオーバーペースの可能性が大きいですので、勇気を持ってペースを落として落ち着かせてくださいね。
スピードを落として落ち着くペースが、残念ながら「本日の適切なマラソンペース」です^^;
残念なことでも受け入れて大撃沈やDNFを防ぎ、その日にゲット出来る最高のゴールタイムを目指す。
その序盤の瞬間の判断が、もしかしたら中盤~終盤にかけて調子が上がっていき、思わぬ好タイム・PB(PR)・コースベストなどを生み出す可能性が大きく広がるんですから!
まとめ

近年ワールドクラスのマラソンレースでは、中盤~後半にペースを上げる”ネガティブスプリット”が主流になっていることもあり、序盤に抑えて”上げられれば30km以降に上げるわ”みたいなレースを目指す市民ランナーもいらっしゃいますよね。
ただ世界屈指のマラソンランナー達は優秀な遺伝子&高度な練習で、私たち一般市民ランナーとは全く異なる能力を備えており、レースが進んでもランニングエコノミーの低い筋線維が動員されることが少ないと言われています。
基本的には一般的な身体のシステムとしてネガティブスプリットは、よっぽど前半に抑えたペースでレースを進めないと難しいです。
レース中は遅筋繊維が徐々に疲労し、ペースを保つためにタイプⅡa線維の動員が多くなるからである。速筋線維であるタイプⅡa線維は、遅筋線維よりも酸素利用効率が低い傾向にある。そのため、ランニングエコノミーはレース中、わずかに低下していく。つまり、LTペースもそれにともなっていくらか低下する。その結果として、レース後半はどうしてもペースが若干遅くなるのである。
そして前半の”抑えすぎ”は、全体としてのタイムを押し下げる要因になり得ます。
しっかりトレーニングを積んできたランナーであれば、一般市民ランナーでも自分のVDOTのモデレートペース(M+10秒~20秒/km)くらいなら比較的ラクに巡航出来るはずですし、終盤も(カーボンシューズで脚をやられたりしなければ^^;)大きくラップを落とさずにゴールまで粘れるはずです。
変に抑えすぎず、アクセルも踏まないけど、サイドブレーキをかけながら走るような道中にはせず自然に、いけるペースでレースを進めてください。
・最初から頑張って速いペースでいかない、ブレーキもかけ過ぎない
・その日に無理なく進めるスピードを、スタートしてからの感覚でつかむ
・身体の準備運動が終わり、セカンドウインドからの自然なペースアップを狙う
・全てを計画通りに30kmまで落ち着いて静かに、楽に進めれば、終盤は必ず粘れます!!
そんなレースを展開することが、自分の能力を全て発揮して、現状で得られる”最高のタイム”になること、間違いなしです!ゴールするまで、全力を尽くしてきてくださいねーーー!!
※今年のつくばマラソン、2~3km地点・28km~29km地点・36km~37km地点で、下の黄色いハシルコトの”のぼり”を持ったハシルコト千葉のメンバーが応援してくれています!
もし見かけたら、反応してあげてくださいねー!

ハシルコト東京練習会、参加者募集中ですよー!


