何度でも言おう。マラソンにおけるメンタルの重要性

【コラム】何度でも言おう。マラソンにおけるメンタルの重要性

YouTubeに、あるドキュメンタリーがあります。

このドキュメンタリー映画は、なかなか素晴らしい。

本日(2025/11/14)現在で公開から4年以上も経過するこの素晴らしい動画が、何とハシルコトの閾値走の動画(8.8万回)を下回る、たった6万回しか再生されていないのは、大き過ぎる謎だけど…^^;ナゼ笑

戦前のオリンピック草創期から、東京オリンピックで銅メダルを獲得したものの自死に追い込まれてしまった円谷選手、そしてこれまでの男女マラソンの歴史から小出監督がオリンピックで金メダルを獲るために有森さん・Qちゃんを育てていった過程を、Qちゃんのインタビューを交えながら英語・日本語が混ざるような形で進んでいくドキュメンタリー映画(1時間5分)。

その冒頭で、優秀なマラソンランナーの、メンタルに関する文言が流れる。

「彼らが自らを叱咤激励するために、どんなマントラ(言葉)を頭の中で唱えるかと質問していた。なかなか興味深い企画である。それを読むと皆 本当に色んなことを考えながら42.195キロを走っているのだなと感心してしまう。それだけフルマラソンというのは過酷な競技なのだ。マントラでも唱えない事には やっていけない」

というところから始まり、ある1人のランナーがずっとレース中に頭の中で反芻(はんすう)しているという言葉を紹介している。

「Pain in inevitale.Suffering is optional」(痛みは避けがたいが、苦しみはオプショナル(こちら次第))

「例えば走っていて「あぁ、辛い。もうダメだ」と思ったとして、キツいというのは避けようのない事実だけど、

もうダメかどうかは、あくまで本人の裁量に委ねられていることである」

としています。

また

「この言葉はマラソンという競技の一番大事な部分を、簡潔に要約している」

ともしています。

この言葉を聞いて「おや?」と思ったあなたは、勉強家で好奇心旺盛で、優秀な市民ランナーかもしれません。

そう。このくだりは全て、ランナー界では特に有名な「走ることについて語るときに僕の語ること」という、村上春樹さんの書籍の一節を引用したものですね。


マラソン、特にフルマラソンを走る上でメンタルが非常に重要であるということは、すでに一般常識のように知られており、ブログでも何度も取り上げてきました。

【脳を制覇しろ】メンタルで攻略する、フルマラソンの最終盤 【記事の内容は、以下の動画でも見る事が出来ます!】 フルマラソンの30...
マラソンとメンタル、練習と本番のレース 【記事の内容は、以下のサムネイルから動画で見ることが出来ます】 「フルマラソンの練習は腹八分...

また、有名なYouTuber達が様々な動画をアップしてお話していますので、メンタルの重要性についてはご存知でしょう。

いくらVo2maxを向上させる苦しいIペースインターバルを積み上げて、LTを鍛える閾値走や変化走を繰り返し実施し、ランニングエコノミーを上げていくトレーニングやロング走を愚直に重ねていっても

レースの苦しい場面で心を折らされてしまえば、簡単にペースダウンしたり歩いたりしてしまい、記録への挑戦はそこで終わってしまいますよね

逆に言えば、身体的な能力は低めでも、メンタルが強靭で身体的な能力を限界近くまで引き出せるランナーであれば、結果的に出てくるタイムは素晴らしいものになるのでしょう。

誰が自分の生理学的潜在能力の限界に最も近づけるか、ということである、遅筋線維の割合のような生理学的特性が人によって大きく異なるのと同じように、「メンタルタフネス」にも大きな個人差がある。

アドバンスト・マラソントレーニング 第3版

身体的な能力の向上だけがレースの結果・勝敗に関わる訳ではないところに、面白さがあるんだと思います。

もしレースが誰の血管がいちばん酸素をたくさん運び、血液を最も送り出せるかといったテストなら、開始前から勝敗は決まっている。だがレースはそう単純ではない。

ENDURE 限界は何が決めるのか? 持久系アスリートのための耐久力の科学

心を折らされないために、レースを諦めないために、様々な方法がネット上に紹介されており(もちろんハシルコトの記事でも)、その1つ1つをここで改めて紹介する必要もないでしょう。

これも最近何度もハシルコト北海道の記事内「今回の雑感」では書いていますが、マラソンには万人に共通する最適な練習量・練習の質・レース展開・リカバリーの期間などは、ありえないですよね。

個々人での違いが大きく、どこまでいっても”自分との対話と模索”がレベルアップには必要不可欠ということです。

それはレース中に息苦しくてやめたい、脚が棒になって歩きたい、そんな場面が訪れた時にグッと歯を食いしばって耐え続けられる、何とかしてその状況に支配されずに堪(こら)えることが出来る”方法”も、個人個人で異なるに違いありません。

「レース中に苦しい時は、自分で自分の実況をすると耐えられる」

なんて紹介されるYouTuberもいますが、それで何とか耐えられる人もいるでしょうし、全く意味をなさない人もいるでしょう。

ちなみに私(げん)は、全く意味をなしませんでした(笑)

これから秋の本命レースに挑む方も多いと思いますが、お伝えしたいことは

・ふわっとレースに入らない。終盤に耐え抜く覚悟と決意を持ってスタートラインに付く

・苦しくなってきた場面では必ず”これをやる”と決めて、走りだす

・ベテランランナーほどレースに慣れて準備を怠りがち。しっかり準備と戦略を考える

春のフルマラソンを終えてから夏の間、ずっと苦しくてキツいトレーニングを頑張って積んできたんですよね?

それをレースのちょっと苦しいと感じた場面で苦しさから逃げたい気持ちに負けて、簡単に反故(ほご)にしないでくださいね…というか、絶対に無意味にしない!という気持ちで、レースに入ってくださいね!

私はスタートラインに並ぶ時、いちばんの敵は、もともとは善意である脳の防御システムだと自分に言い聞かせようにしている。~中略~ “限界はまだ先にある”

ENDURE 限界は何が決めるのか? 持久系アスリートのための耐久力の科学

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