目次
【簡単!】モデレートペースとは何か。その効果と重要性について
【記事の内容は、以下の動画でもご覧になれます!】
ダニエルズのランニングフォーミュラでは、主な練習のペースとして
・Eペース(イージーペース)
・Mペース(マラソンペース)
・Tペース(閾値ペース)
・Iペース(インターバルペース)
・Rペース(レペティションペース)
があるのですが、例えばVDOT44の以下で考えると、Eペースの上限となる5’29/kmからMペースの5’02/kmまで、大きな”空白”のスピード域(5’28/km~5’01/kmまで)がありますよね。
純粋に
(この間のペースに、練習効果はないのかな~?)
と考えたこと、ありますでしょうか^^;
どうしてもダニエルズ的に設定されたペース(E・M・T・I・R)でのトレーニングが”正義”という訳でもないけど、そのペースで練習をすることが多いと思います。
日常的なランニングやロング走であれば、ジョグやEペースの範囲内。
スピード練習であればTペース(閾値走)20分や、Iペースインターバル・Rペースのレペティションで鍛え、レースが近づいてくればMペースで長い距離を走れるように頑張る。
ただMペースは日常的な練習で長い距離を走るには、とても速いペース。
レース前の仕上げならともかく、ある日突然Mペースで20km・25km・30kmを走るというのは、とっても大変でキツい。
てか、やりたくない(笑)
しかもMペース走は超絶ツラいくせに、Eペースと生理学的な効果は変わらないんだぜ?という「ちょ!フザケんなよ、オイッ!」でお馴染みの、ダニエルズ先生(笑)
Mランニングの主な効果は、メンタル的なもの、つまり設定したペースで走る自身を高めるものと言ってもいい。生理学的な効果はEランニングとまったく変わらない。
ランニング全体の効果で言えば“バイオメカニクス”的に、明らかにEペースとは違う効果を得る事が出来るのですが(詳しくは以下の記事にて)
それはともかく、日常的に実施するEペース範囲内のロング走から”急に”Mペースのロング走を実施するのは中々難しいので、その間のペースを使って心身共にレースに向けて順化させていくのが良いのでは?この辺のスピード域の効果も高いのでは?ということは、ある程度の走歴になってくると、思いが至るところ。
その”間(はざま)”のペースが、今回解説する”モデレートペース”になります。
このモデレートペース、ダニエルズのランニング・フォーミュラには掲載されていないですが、
非常に重要で効果的、コスパも高い、お得な練習!
となっていますので、是非とも理解してトレーニングに取り入れてくださいね!
では解説していきます★
モデレートペースとは何か
ガーミンを使っている方であれば、上記のような心拍ゾーンの表で“ゾーン3・モデレート”というのを見たことがあるかもしれません。
ゾーン3というのは、ガーミンのサイトによると
こんな感じになっています。
最大心拍数の70%~80%ほど、有酸素性能力の向上などが記載されていますが…何やらザックリというか”ふわっ”としていて、イマイチよく分からない^^;
分かりやすく、シンプルにいきます!
モデレート走のペース
モデレート走のペースは
おおむねMペース+10秒/km~20秒/km
前述のVDOT44(Mペース5’02/km)であれば、5’12/km~5’22/kmくらい。
このペースの範囲内で走れば、心拍数は最大心拍数の70%~80%ほどになると思います(*^^*)
最大心拍が仮に190だとすると(私がそのくらい)、モデレートペースの心拍数範囲は133~151。(最大心拍数:210-(年齢/2)が、マラソンランナーの最大心拍数を知るのには比較的良い公式です。一般の方であれば210-年齢)
下記の表は私が先日、モデレート30km走を実施した時の心拍数ですが、おおむね150前後(最大心拍数の80%)くらいで推移していました。
このくらいのペースであれば、まだレースまで少し遠い(2~3ヶ月前)時期であってもMペースで地獄の苦しみを味わい尽くさなくても良く(笑)、20km・25km・30kmと、ある程度のスピードで練習効果を高くして走りつつ、無理なくフルマラソン向けの距離も積み上げていけるペースになると思います★
モデレートペースの効果
Eペース範囲内で30kmや35km走を何度やっても”基礎構築”としては非常に大きな意味がありますが…
本番のレースでは速いペースで走るため、特異性を高めていく必要があります。
ロング走は、スロージョグになってはならない。スロージョグだと単に足を使った時間を増やすだけである。ロング走の適正ペースは、トレーニング全体における練習の目的によってそれぞれ異なる。ただ、たいていの場合、最も効果的な強度はマラソンペースよりも10~20%遅い範囲である。(2、3回は、マラソンペースで行うロング走も必要だ~中略~ このペースなら、マラソンペースに近い姿勢と筋活動パターンで走っていることになる。
マラソンペースより20%遅いのはEペースの範囲、10%遅いペースになると、モデレートにかなり近づくスピードになります。
なぜモデレートペースのロング走が効果的で、コスパが良いのか。
1.Eペースまでのゆっくりペースでは、速いペースで走るレースペースに対応出来るだけの”能力”を、心身共に作り上げることが出来ない
2.逆に速いペースのMペースロング走ほどの疲労とダメージ(コスト)を受けない(払わない)ので、“線”で見た時のトレーニング効果(パフォーマンス)が高い
3.Mペースと比べたら僅かに特異性は低いものの、おおむねMペースと同様のランニングフォームや活動筋を使い、そしてMに近い着地衝撃を受けるため、レース向けの練習として、とても有効
ゆっくりしたロング走だと、よくない走り方が助長されるばかりか、レースのきつさもシュミュレーションできない。いっぽう、速すぎるペースだと、レースパフォーマンスを度外視したトレーニングになってしまう。なぜなら疲労が抜けず、他の重要な練習が満足にこなせなくなるからである。
「Mペースとモデレートは10秒/km~20秒/kmしか変わらないのに、そんなに疲労やダメージが違うもんかね?」
と思うかもしれませんが、あなたの閾値ペースから15秒/kmプラスして同じように20分走ると仮定して…それって概ねMペースくらいになると思いますが…かなりラクで、閾値走よりダメージ受けないことは、容易に想像出来ますよね^^;
そしてその”モデレート”の速度域、それなりに良いランニングフォームで走れるだろうな~、筋力も使うだろうな~、という想像が出来るかと思います★
実際に走ると、本当にその通りです♪
まとめ
モデレートペースについて、解説してきました。
モデレート走はスピード練習の疾走区間で登場する頻度は少ないかもしれませんが、ミドル~ロング走を実施する場面では本当に有益で、緩すぎず・キツ過ぎず、とても使い勝手の良いペースです。
私は本命のフルマラソンから2~3か月前の時期にモデレートペースでの20km走~25km走くらいから始めて、モデレートペースの30kmが出来てからMペースでのミドル~ロング走や変化走に移行…みたいな感じで、本番に向けて徐々に特異性を高めるようにしています。(私自身が急に速いペースで長い距離に対応出来ない、虚弱体質ということもありますが…(笑))
そうすることによって1年後、2年後、さらにその先に目を向けた側面での高い練習効果が期待出来ますし、目の前のレースに向けて身体を”順化”させていくことも、確実に出来ます。
是非モデレート走を取り入れてみて、その使い勝手の良さ、練習効果の高さを実感して頂けたら嬉しいです!
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