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「フルマラソンのサブ4達成を目指しているけど、まずは10kmやハーフマラソンのタイムを短縮してからサブ4に挑戦したい!」
このように考えているランナーの方、結構いらっしゃいますよね!
男性ランナー(特にスピードタイプ)でサブ4を目指しているランナーの多くは、すでにサブ4を大きく超えるスピードを持っている場合が多いと思います。(すでに10kmで50分を切り、ハーフでは1時間50分を切るようなレベル)
しかしスタミナタイプの男性ランナーや女性ランナーにとっては、まずはサブ4ペース(5’30/km~5’35/km)を楽に感じたい、そのためのスピードを付けるために10kmやハーフマラソンのタイムを縮めたいと考えていることでしょう。
サブ4を達成するためには、10kmやハーフマラソンをどれ位のタイムで走ったら良いのでしょうか。
サブ4を達成するために基準となるVDOTは、下の表から38であると分かります。
“VDOT”の意味や表の中の”E,M,T,I,R”などをご存知ない方は、こちらの記事に説明が詳しく掲載されていますので、合わせてご覧ください。
簡単に言うと、VDOTは「自分の走力のものさし」です。
ドラクエ的に言えば「レベル(Lv.)」ですね^^;
VDOT38を見てみると、
10km 52分17秒(5’13/km)
ハーフ 1時間55分55秒(5’29/km)
と記載されています。
ただし!
VDOTの表に記載されている通り、5km~フルマラソンまでのベストタイムが平行である事はまれ。
上級者になるほど5km~フルマラソンまでのタイムが平行に近づきますが、サブ4前後のランナーであれば少し形が崩れているのが普通。
スピードタイプなら右肩上がりの角度が急である、こんな感じ。
スタミナタイプだと、右肩下がりの事だってあります。
10kmを50分、ハーフを1時間50分以内で走れるようなスピードタイプのランナーが、10kmやハーフマラソンのタイムを一層短縮して、フルマラソンのサブ4を目指すアプローチを考えるのは少し非効率です。
すでにサブ4のスピードは充分なので、ロング走を重ねる方が圧倒的に近道です。
フルマラソンのタイム短縮は自分の長所を伸ばす練習よりも、苦手な練習に取り組んで弱点を無くす方が効率的なんです。
じゃあスピードが足りないと考えているランナーだったら、VDOT38の目安である
10km 52分17秒(5’13/km)
ハーフ 1時間55分55秒(5’29/km)
をクリアすれば確実にサブ4が出来るかどうかというと、それも簡単ではないという^^;
なぜなら、VDOT38で導かれるフルマラソンのタイムは
フル 3時間59分35秒(5’40/km)
ギリもギリ、超ギリギリです^^;
フルマラソンはレース当日にならないと分からない、不確定要素が盛りだくさん。
コースや天候・気温・風・当日の体調・補給・給水・ペース配分など、タイムを左右する要因はいくらでもあります。
全てが最高の状態で挑めるレースなんて、一生無いかも(笑)
そのために目指す目標タイムとして、少なくとも
10km 51分切り!
ハーフ 1時間53分切り!
サブ4の基準となるVDOT38より1つ上の、VDOT39近辺である上記タイムを目標に掲げて、取り組んでいってみましょう♪
え?
「オレは(私は)10km51分、ハーフ1時間53分は切ってるんだけどー」
ですって?
素晴らしいスピードをお持ちです。すでに3時間55分を切っても不思議ではないスピードです!
ただサブ4するためにフルマラソンで巡航するスピード(5’30/km~5’35/km)に、もう少しだけ余裕が欲しいという事であれば、
10km 50分切り!
ハーフ 1時間50分切り!
サブ4の基準となるVDOT38より2つ上であるVDOT40辺り、上記タイムが切りの良い目標になりそうです。
5’30/kmが非常に余裕のある状態で巡航出来てゴールまでイーブンで走れれば、3時間52分台。
スタミナも合わせて鍛えれば、何度走っても余裕を持って安定的にサブ4(3時間55分前後)を狙えるランナーになれます。
万全を期して、10km50分・ハーフ1時間50分切りを目指しても良いですね(*^^*)
なお前述しましたが、10km50分・ハーフ1時間50分をすでに切っているのにサブ4未達であれば、くれぐれもフルマラソンを走り切るための”スタミナ練習”に重きを置いてください。
10km51分切りをするには、レース全体の平均ペースを
10km51分切りの平均ペース
5分06秒/km
でまとめないといけないですよね。
つまり、レース中はずっと5’00/km~5’05/km辺りで走る必要があります。
50分切りならキロ5以内、つまりキロ4分台での巡航。
これはサブ4未達のスタミナタイプランナーにとって、白目になるようなスピードかもしれません(@o@)
10km51分切りのレベルはVDOT39(正確には39.1)ですが、VDOT39.1の閾値走(T)のスピードは5’11/km、インターバル(T)のスピードは4’48/km。
10km51分切りを狙うには、20分間走る閾値走で5’11/kmのスピードを維持して出来るようにならないと難しく、インターバルは4’48/kmのペースで出来る走力が必要。
とはいえ最初から上記のペースで出来るなら、すでに10km51分を切っているはずです^^;
おそらく現状では
「そんなに速く走れない」
という方が多いと思います。
10km51分を切るために大事なポイントは
POINT!
練習でキロ5より速く走れ!
という事です。つまり4分台/kmで走る練習を、ちょいちょい意識的に入れる。
最初から速いペースで長い距離を走ると苦しすぎますし、故障の不安もあります(特にアスファルトでは)。
なので、はじめはWS(ウインドスプリント)のような、100m~200mを全力走の8割位で流して走る練習を、日々のジョギングの最後に2~5本取り入れましょう。
これにより、自分にとって速く走るためのランニングフォームが自然に身に付きます。
“ランニングエコノミー”が良くなるという効果ですね。
その上で、慣れてきたら自分のVDOTから導かれるペースで20分間の閾値走や、インターバル走、300m~400mのレペティションなどのポイント練習を取り入れていくのが、心肺機能向上に効果的です。
週に1回取り入れると走力の向上がめざましい、ポイント練習の詳しい説明はこちらです。
自然に閾値走やインターバルのペースが上がって、目標となるVDOT39辺りのペースで走れるようになればOK。10km51分切りの可能性が高まります。
不安であれば、最終仕上げとしてレース1週間前に5’05/kmのペースで7kmを走れれば、レースで10km51分切りは濃厚です。
行けそうでも、練習では7kmでやめてくださいね。本気を出して頑張るのは本番で!
10kmのレースでは6.5kmあたりでレースが本当に始まる。3分の2の地点までは、目標レースペースを維持しつつ、どれだけ自分がリラックスできているか確認する必要がある。
マラソンはどの距離でも、徐々にキツくなってペースダウンしがちなのは、全体の3分の2が過ぎた頃だと思う事が多いのではないでしょうか。
ハーフなら15kmから、フルなら30kmから、というように。
ダニエルズさんは「そこからレースが本当に始まる」と、アドバイスしてくれています。
51分切りを目指す10kmレースでも、スタートから5’00/km~5’05/kmで無理なく巡航して(ダニエルズさんは6.5kmと言いますが)7km地点辺りから徐々にキツくなってくるので頑張り度合いを上げ、何とか粘ってゴールまで走り切る…そんなイメージです。
10kmレースは閾値ペースとほぼ同じような速いペースでの巡航になりますので、目標ペースより5秒/km以上速いペースで走り始めると、あっという間に乳酸が除去出来ずにバテます。
短い距離のレースは周りのランナーもスタートから突っ込みがちですので、いつもの閾値走より遅いくらいの感覚で落ち着いてスタートし、確実に目標ペース近辺に乗せてください。
そうすれば終盤に力を残すことが出来ますし、ラストスパートでのペースアップも可能でしょう(*^^*)
(ハーフマラソンは)ごく平均的なランナーでもTペースより1kmあたりおおよご5~6秒遅いペースである。したがって、トレーニングプログラムの中でもTペースランニングを特に重視しなければならない。
ハーフで1時間53分切りをするには、レース全体の平均ペースを
ハーフ1時間53分切りの平均ペース
5分21秒/km
が必要となります。
フルマラソンの巡航ペースより10秒/kmも速いペースですが、10kmのレースに向けてスピードを鍛えた後であれば、比較的余裕があるかもしれません。
ハーフマラソンで1時間53分(VDOT39)を目標とするランナーであれば、現状のVDOTは37~38辺りだと思います。
VDOT37~38の閾値ペースは5’19/km~5’25/kmであり、ちょうど1時間53分切りを目指すハーフのペースとほぼ同じになります。
10kmレースと違って距離が長くスピード持久力が要求されるので、閾値走が大事になるとダニエルズさんは言っています。
現状の閾値ペースは、目指す目標ペースである5’20/km前後だと思いますので、まずはそのペースで20分間の閾値走を継続的に実施して鍛えていきます。
出来ればWSやレペ・インターバル走も継続してください。
現実的に1時間53分を切れる走力に近づいてくれば、VDOT39・閾値ペースは5’12/km辺りになり、目標とするハーフマラソンのペースよりずっと速いペースで20分間走れるようになっているはず。
コースのアップダウンが比較的少なく、そして気温の低いレースを選んである程度のテーパリングをすれば、1時間53分は切る事が出来るでしょう。
不安であれば、ハーフのレースでも1週間前にレースペース(5’15/km~5’20/km)での15km走を実施してください。
完遂出来れば大きな自信になりますし、レースでもよほどの事がなければ目標達成が濃厚です。
ハーフマラソンの運動強度は乳酸性作業閾値を超える可能性もあり、それが予期せぬペースダウンにつながる、ということである。
序盤のオーバーペースによる終盤でのペースダウンの危険性は、ハーフマラソンでも忘れてはいけません。
ハーフマラソンの場合は、ある程度の起伏があるコースが多いです。
「今日は5’15/km~5’20/kmで走らなきゃ」
と考えて時計とにらめっこしていると
罠にハマります。
登りでも予定しているペース維持をしようと頑張ると
乳酸性作業閾値を超える可能性がある
少し表現が難しいですが、簡単に言えば
いつもの”閾値走”よりも強度が高くなって、すぐにバテちゃうよ!
という事です。
距離が長くなればなるほど、間違って乳酸性作業閾値を超えて走った事でバテてしまった後の、ペースダウンによるタイムロスが非常に大きくなりますので、要注意なんです。
ハーフマラソンが、その危険性が一番大きいかもしれません。
フルマラソンで乳酸性作業閾値を超える強度で走る事は、あまりないでしょう。
例えば下記のようなコース設定。
前半の10kmが登り基調にも関わらず、5’15/km前後を厳守しようと真面目にGPSウォッチを見ながら巡航してると…
あっという間にバテる可能性があります^^;
レースプランとしては、
前半5’20/km~5’25/kmで巡航、
10km通過は54分(5’24/km)前後で充分。
バテてしまうと後半の下りで全くスピードに乗れませんが、バテなければ後半の下りは自然にペースアップ出来ます。
後半5’15/km前後で走ります。
15km以降少しずつ疲労が出てきるとしても、10km~20kmまでを52分30秒(5’15/km)前後で走って
20km地点の通過が1時間46分30秒。
残り1.0975kmで万が一バテて5’30/km近くまで落ちたとしても、
1時間52分台中盤でのゴールタイム!
そんなイメージで、アップダウンを考慮に入れたレースプランを考えてください(*^^*)
【上記のようなコースでの、ペース配分の一例】
距離 | 通過タイム | ラップタイム |
---|---|---|
5km | 26'50 | 26'50(5'22/km) |
10km | 54'00 | 27'10(5'26/km) |
15km | 1'20'15 | 26'15(5'15/km) |
20km | 1'46'30 | 26'15(5'15/km) |
1.0975km | 1'52'30 | 6'00(5'28/km) |
サブ4達成のために10kmやハーフマラソンのタイムを伸ばそう!フルマラソンの巡航ペースを楽に感じるようになろう!という記事でした。
「じゃあ5kmのレースを目標に頑張るのはダメなんですか?」
というと、全くそんな事はございません。
サブ4のための5kmであれば、24分(4’48/km)~24分40秒(4’56/km)を目指すと良いと思います。
ただし、今回は女性やスタミナタイプのランナーの方を目の前にしてアドバイスを送るつもりで書きましたので
「げっ…ずっと4分台で5kmなんて…無理すぎます」
という、見た目のペース(4分台/km)の速さによる”壁”を感じてほしくなかったので10kmとハーフにしました。
いずれにしても、女性やスタミナタイプのランナーにとっての課題は、心肺を上げて走る練習をいかに増やすかです。
スピードタイプのランナーが好むスピード練習、スタミナタイプの方は心底嫌いなハズです(笑)
ゆっくり長い距離を走るのが良いな!と思っている事でしょう。
逆にスピードタイプのランナーは、たとえ遅いペース(Eペースやジョグ)でも30km走や35km走が苦手。ロング走をやるには一大決心が必要という方もいらっしゃるでしょう^^;
女性やスタミナタイプの方で
「どうしてもサブ4したい!」
と思っているのであれば、繰り返しになりますが
1.日々のジョグの最後にWS(ウインドスプリント)を何本か(出来れば土の上を)走って終わるようにする
2.慣れてきたらRペースの400mレペティション数本、ヤッソ800を5~10本、ガチゆる走、クルーズインターバル、閾値走、インターバル、やりやすいものから挑戦してみる
3.そのようなスピード練習を”たま~にやる”から”2週に1回”、”毎週1回”、”平日1回・休日1回”と、少しずつ増やしていく→そうなるとサブ4レベルを遥かに超える走力になってるでしょう
という事が大事です。
持ち前のスタミナを活かすためにも、是非スピードを付けてフルマラソンの大幅なタイム短縮を実現してくださいね(*^^*)