目次
ブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
こちらはまず【前編】、動画の概要欄に【後編】へのリンクもありますので、是非ご覧になってみてください( ´ ▽ ` )
フルマラソンをしっかり走り切るための練習としては「定番」とも言えます。
定番であり、かつ王道。
30km走をせずにフルマラソンを快走出来る人なんていない…いや、いる(笑)
持ってるモノが違う人、全くロードのロング走をしなくてもフルマラソンやウルトラマラソンの終盤に強い人は確かにいる^^;
しかし、私を含めて一般的な市民ランナーは30km走しないとフルマラソンの攻略、自分の持っている力を余す所なく発揮する事は、なかなか難しいorz
初フルマラソンを目指すランナーでも「一度は30km走をしてレースに臨もう!」というのは割と一般的ですし、私も初フルマラソンに臨む前には一度30km走をやりました。
初めての30km走は、それこそ死ぬかと思うくらい辛かったですがw
そして初心者のみならず、サブ3やそれ以上の高みを目指すランナーも、ロング走は日常的に取り組んでいる方が多いですよね。
「42.195kmのフルマラソンを走るんだから40km、なんならフルの距離を走った方がいいんじゃないの?」
という鉄人もいると思いますが、日常の練習で走るのであれば30km~35kmに留めておくのが無難です。
理由は2点
1.「疲労と怪我のリスクが高まる」
2.「練習の継続性に難がある」
です。
マラソン練習は1回や2回、良い練習が出来ただけでは大幅な走力アップは臨めません。
疲れすぎない、ダメージを受けすぎない練習を継続してこそ、大きな効果を得られるのです。
たまによい練習ができることは誰にでもある。しかし継続性がなければ、実のあるトレーニングとはならない。
とにかく30kmを通過してから積み上がる1km1kmの疲労とダメージは、30kmまでのそれと比べて非常に大きいです。
週末のロング走で頑張りすぎると、疲れて次の平日ポイント練習が出来なかったり、どうにか出来ても疲労残りで質の高い練習が出来なかったりします。
もしかしたら、翌週末まで疲労が残ってしまうかもしれません。
という事で、多くの市民ランナーが取り組んでいる30kmですが、
どれ位の頻度・どれほどのペースで実施するのがフルマラソンの終盤に強くなるために効果的なのでしょうか。
30km走は「やり方」と「効果」を分かった上で練習計画を立てて実施しないと、これまた怪我をしやすい練習。
「レースペースじゃなきゃ効果は薄いの?」
「マラニックみたいなスローペースでもOK?」
「月に何回くらいやれば効果的?」
「朝15km、夕方15kmでもいいのかな」
「30km走の翌日は休んで良い?」
「何回30km走やれば、フルの終盤でもペースダウンせずにゴールまで行ける?」
そんな疑問を、マラソン練習に取り組み始めた私は持っていました。
30km走のやり方や効果、注意点などについて考えていきます。
30km走をどの程度のペースで実施するかについて、日常の練習として考えられるのは
1.レースペース(Mペース)
2.レースペースから10秒~30秒/kmほど落としたペース
3.イージーペース(Eペース)
4.ジョギングペース
5.マラニック的な、ごくゆっくりなペース
上から順番に「高強度」です。
フルマラソンで高いレベルに挑戦するなら、MペースやMペースから少し落とした程度の30km走を、出来る限り多くやりたくなりますよね?
でも、毎週Mペース(フルマラソンのレースペース)やMペースから少し落としたペースで30km走を続けられる人は、そうそういません。
疲労の蓄積が大きくなりますし、それでもやり続けていると故障します。
故障したら数週間~数ヶ月練習が出来なくなったりして、再びやり直しです。
また、1回素晴らしいペースで30km走が出来ても、疲労が強くて次の平日のポイント練習が出来なかったり、出来ても疲労を多く残してしまった状態でやる事になったら、練習効果は半減です。
マラソンの練習は、継続性が一番大事なポイントです。
ダニエルズさんは
ロング走は通常Eペースで行うべき
とした上で、以下のように書籍に記載しています。
Eランニングの効果は、ケガに対する耐性をつくる、心筋を強化する、血液の運搬能を改善する、筋繊維をランニングに有利な性質に導く、ということである。
さらに、Eランニングの持続時間を増やすと(ランニングの強度が低いと、走行距離や走行時間を増やすのはぐっと楽になる)、走ろうと思えば長い時間走り続けられる、という自信を高めることができるのだ。
大事なので繰り返しますが
日常的なロング走のペース
Eペースでの実施が基本中の基本!
しかし練習する時間帯が早朝であったり、起伏のあるコースであったり、気温が高い場合だったり、様々な要因を加味してペースは決定してください。
私(筆者)の現在のVDOTから導かれるEペースは4’40/km~4’50/kmくらいですが、疲労感を感じる場合や、早朝の練習、アップダウンのあるコースでのロング走などは5’00/km~5’10/kmで実施する事も多いです。
また、ジョギングやマラニックのようなスローペースでのロング走でも、効果があります。
時間走で長い時間じっくり走るランナーや、趣味が登山で頻繁にゆっくり長く動き続ける事が習慣になっているような人って、フルマラソンのレース経験が少なくても30km以降の終盤に非常に強かったりします。
Mペースのような速いペースで走る練習も、レース本番が近くなれば必要。
しかし、通常時は週末にEペースやマラニック・時間走・登山のような緩めの練習が疲労を深くさせ過ぎず、且つ徐々に徐々にスタミナを養成していくポイントなんです。
Eペース、ないしはそれより少し遅いペースでも、30km走に取り組み始めの時期はダメージが大きく大変。
私も最初の頃、週末の早朝30km走を実施した日は、丸一日使い物にならない位に疲弊していました。
最初は、そうそう30km走など頻繁に出来ないですよね。
ダニエルズさんのプログラムでは中2週でロング走を繰り返す、つまり月に1回~2回のロング走が組まれています。
まずは月に1回、慣れてきたら2回と、少しずつロング走に取り組んでいけば良いと思います。
そして月に2~3度のロング走やマラニック・時間走などが出来るようになり、それを続けていく事が出来てくれば、練習後もそれほど疲労感が大きくなり過ぎる事はなくなってきます。
フルマラソンの終盤でペースダウンしないようなスタミナを付けるには、ロング走を実施する気持ちを持ち続ける事が大事です。
フルマラソンを走り切る、終盤もペースが落ちないようなスタミナは一朝一夕では得られません。
しかし諦めずにやり続けていると、ある時
「あれ、30km走が余裕を持って出来るようになってる」
「本番の30km地点でも、あまり疲れてない」
「とうとうフルマラソンの最後まで、さほどペースを落とさずに走りきれた!」
という状態に、必ずなります。
でも、何度ロング走を重ねても中々フルマラソンの終盤でもペースダウンしがちなので、諦めるランナーも多いです。
「やっぱりオレ(私)には無理なんだ」
って。
そういう時は松岡修造さんの、この言葉を思い出して頑張って継続してください。
100回叩くと壊れる壁があったとする。でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから、90回まで来ていても途中であきらめてしまう。
松岡修造
「一度に30km走るのはキツい」
「どうしても一度に長い距離を走る時間がない、早朝2時間・夜2時間しか取れない」
という場合に”二部練”という、練習を2回に分ける選択肢、私は悪くないと思っています。
もちろん一度に30kmや35kmを走れた方が練習効果は高いですし良いのですが、それが出来ないからといって諦めるのであれば、二部練やろう!という気持ち、素晴らしいです。
私は2時間55分を切ろうと月間500kmに挑戦していた時は、よく二部練で距離を踏んでいました。
その結果、走力が上がった実感ありましたし、PBも出せましたからね。
やらないより全然マシですし、もちろん効果ありますよ!
持続的なEランニングを長時間行うときには、いわゆる栄養ドリンクは飲まないようにしたい。糖以外のさまざまな成分が入ったドリンク類を飲まないことで、身体は糖を節約することを覚えるからだ。とはいえ、水は時おり補給すること(実際のマラソンレースではエネルギー補給が有効なので、こうしたトレーニングはそのよい練習となる)。
マラソンという長い距離を最後までペースダウンせずに走るために「糖(グリコーゲン)」は大事な要因の一つであり、糖(グリコーゲン)の節約や脂肪の利用はフルの終盤に大きな意味を持ってくるのですが、詳しくは以下の記事にて。
「30kmという長い距離を、補給やスポドリ無しでいけるのか…」
と心配な方も多いと思います。
補給・給水の有無、その量は個人個人で変わってくると思いますので断言は出来ません。
しかし、ダニエルズさんは可能な限り「糖」を摂らないで走るように、しかし水は補給しよう、と提唱しています。
私が30km走をする際は基本的に無補給・無給水ですが、真夏の時期は30km走の合間に何度か公園の水飲み場に立ち寄って、水を飲んでいます。
ミネラル不足が心配なら通常の塩ではなく「ぬちま~す」や「宗谷の塩」など、ミネラルが豊富な塩を準備しておけば問題ありません。
以下の表は塩やスポーツドリンクに含まれるミネラル量を比較した成分表です(塩は4g換算、スポーツドリンクは500ml換算)。
塩4gを用意しておけば、水と合わせてスポーツドリンクと同等あるいは多いくらいのミネラルを摂取出来ます。
宗谷の塩(mg) | ぬちまーす(mg) | 一般天日塩(mg) | スポドリ(500ml中/mg) | |
---|---|---|---|---|
ナトリウム | 1410 | 1462 | 1900 | 245 |
カルシウム | 46 | 22.4 | 3.6 | 10 |
マグネシウム | 172 | 181 | 3.4 | 3 |
カリウム | 53 | 57 | 1.3 | 100 |
加えて私が30km走をする際、補給に関して何も持っていかない訳ではありません。
特に早朝、朝食前にロング走をしていると、お腹が減ってハンガーノック※になる前兆のような状態になる事もあります。フラフラになって走れなくなるので「あ、ヤバい」と感じる時があります。
※ハンガーノックとは
登山、サイクリングなど長時間の運動の途中で急に筋力が抜け、動けなくなる現象。肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンが消費し尽くされて起こるという。ぶどう糖など甘いものをとるとなおる。
そういう場合のために、ジェルや補給食などを緊急用として必ず持参しています。
小銭やコンビニで使える電子マネーが使えるスマホorクレカも持参して、いつでも補給や給水が出来るようにもしています。
その上で、無補給・無給水(あるいは水だけ)でロング走を重ねる事が出来ていくと、
「レースでは、存分に補給や給水をしながら走れるんだ!」
という余裕と自信が付きますし、実際に補給・給水を摂りながら走れる本番は余裕度が高くなります。
ロング走に取り組み始めたばかりのランナーは疲労も大きいでしょうし、オーバーユースによって膝が痛くなったり、身体のあちこちに不具合が生じている事でしょう。
そういう方は、翌日しっかりランオフ。休んでください。
前述しましたが、ロング走に慣れてくると30km走っても翌日に残る疲労感が少なくなってきます。
そうなってきたら、一層スタミナアップのチャンスです。
週末などを利用して土曜日も日曜日も練習を実施する「セット練」のバリュエーションは非常にたくさんありますが、ロング走翌日にジョグをはじめ時間走・マラニック・登山・トレイルなどでトレーニングする事は、スタミナ養成を一層促進するオーソドックスな練習方法です。
市民ランナーの間では有名な金哲彦さんは、著書の中で持久走翌日のLSDを推奨しています。
持久走の翌日にセット練習としてLSD※をすることで、スタミナがなくならないように体の中に閉じ込めることができる
※LSDとはLong=長く・Slow=ゆっくり・Distance=距離の略。ごくゆっくり走る事で毛細血管を発達させて長距離に向いた身体にしていく練習です。
ソウルオリンピック女子マラソン代表の浅井えり子さんの師匠・佐々木功さんの以下の書籍がLSDについて詳しいです。
私は今でもレース前は、セット練として「2日間でフルマラソンの距離以上を走る」という事を目安の1つとして、よく実施しています。
心身ともに強くなれますよ。
「フルマラソンの終盤に強くなりたい!」
「ゴールまで全くラップを落とさず、イーブンで走りきりたい!」
フルマラソンに真剣に取り組むランナーであれば、初心者・ベテラン問わず多くの方が夢見ること。
しかし、実際にフルマラソンをイーブンで走ってPBを達成するランナーは少ないです。
それだけ42.195kmに対応出来るスタミナを付けるのは、年月がかかる事もあって難しいと思われています。
「じゃあやっぱり無理だ」
と思うか
「よ~し、どれだけかかってもやってみるかっ!」
と思うかは、あなた次第です。
ちなみに私は2013年9月から30km走に取り組み始め、フルマラソンでPBを狙うような速いペースでも前半のハーフと後半のハーフ差が1分以内になる、つまり
ほぼイーブンで走りきれるようになったのは、30km走を始めてから1年1ヶ月後。
30km走などのロング走は26回を数え、フルマラソンは7回目。
2014年10月に開催された大阪マラソンで初めて3時間20分を切った時でした。
前半ハーフ:1時間38分20秒
後半ハーフ:1時間39分18秒 後半58秒落ち
フィニッシュタイム:3時間17分38秒
ネガティブスプリットを刻んでPBを出せるようになったのは、30km走を始めてから1年8ヶ月後。
30km走などのロング走が45回、フルマラソン9回目。
2015年5月に開催された洞爺湖マラソンで初めて3時間15分を切った時でした。
前半ハーフ:1時間39分33秒
後半ハーフ:1時間33分44秒 後半5分49秒上げ
フィニッシュタイム:3時間13分17秒
※なお「30km走」の中には30km以上走った時も含まれます
2018年つくばマラソンでPBを出した時のラップは
前半ハーフ:1時間25分58秒
後半ハーフ:1時間26分12秒 後半14秒落ち
フィニッシュタイム:2時間52分10秒
現在はゴールまでペースを落とさず走れるのが、本当に大きな武器になっています。
私はフルマラソンを走り切るスタミナに関して全く素質が無かったので、これほどのロング走の回数と年月がかかってしまいました。
しかし、もっと早くスタミナを付けてフルマラソンの終盤に強くなれる方はたくさんいらっしゃると思います。
フルマラソンの終盤に非常に弱かったスピードタイプの私でさえ、コツコツとロング走を積み重ねるうちに、フルマラソンでイーブンペースを刻めるようになったのです。
怪我と疲労に気を付けながら、諦めずに何度も30km走を重ねていけば、必ずフルマラソンの終盤に強いランナーになれますよ。
さらに一歩踏み込んで、一日も早くフルマラソンの終盤に強くなりたい方むけの記事はこちらです。
頑張ってフルマラソンをイーブンで走れるようになった後はどうなるか、こちらの記事にて解説しています♪
View Comments
初めまして。ナスマといいます。げんさんの記事を参考に練習しています。30km走についてですが、今年の春から走り始めて夏に故障してしまい月間走行距離が10月は100kmで11月は120km位になりそうです。12月の加古川マラソンに出る予定なのですが3週間前に30km走をした方が良いでしょうか。月間走行距離を考えると25km位にした方が良いでしょうか?長文で申し訳ありませんが御教示頂けると助かります。
ナスマさん、はじめまして!コメントありがとうございます♪
ナスマさん走力や詳しい練習内容を拝見しないと何とも言えないのですが、現状も故障の影響があるのであれば、無理しないほうが賢明だと感じます。
弊ブログの記事にも記載していますが、一度に走っても良い距離は月間走行距離の6分の1です。
【一度に走って良い最長距離は?】マラソンの距離とダメージ。
それ以上だと、走力のプラスになるよりは、疲労や怪我のリスクが大きくなるという事になります。
それを踏まえた上で、ご自身で判断して練習に生かして頂けたら良いと思います。
ご参考までに。
返信ありがとうございます。
これまではEペースで5〜10km/回を週に4回走っていました。
無理して30km走はせずに6分の1までにします。
初マラソン頑張ります!
ナスマさん、初マラソンに向けてでしたか!それはそれは…心情お察し致しますm(_ _)m
これまではEペースで5~10kmを週に4回だったのですね。
であれば、無理せず20km程度の距離にしておき、本番で頑張りましょう♪
30km以降は歩く事も考えてレースプランを作成し、制限時間以内での完走を目指してください(*^^*)
【初心者必見!】フルマラソンで苦しまないためのペース配分
アドバイスありがとうございます!
本番まで1ヶ月半あるのでそれまで練習とペースや補給などのプランを考えて完走できるよう頑張ります!