3時間20分(4’44/km平均)を切ったランナーが次に目指すのは3時間15分?10分?
<3時間10分切り(4’30/km平均)>
3時間10分を切って3時間一桁のタイムを目指すには4分30秒/kmでレース全体の平均ペースを収めないといけません。
イーブンでゴールまで走るつもりでスタートするとしても、終盤のペースダウンを考慮すると
3時間一桁を狙うのであれば、少なくとも4’25/km前後で30kmまでは余裕を持って走れる走力が必要です。
3時間20分を切るには4’40/km前後が必要でしたが、4’20/km~4’25/kmは3時間20分切りを達成出来るレベルのランナー(VDOT48※)にとってTペース(閾値)近辺のスピード。
3時間20分切りをした後にどれ位の期間練習を積めるかにもよりますが、マラソンペースにするには、レベルが2つくらい上がるイメージになります。
それでもポテンシャルの高いランナーは一気にいけてしまいますが^^;
※VDOTについてはこちらの記事にて
< 3時間15分切り(4’37/km平均)>
4’40/km前後で巡航して3時間20分を切った私が、次に定めた目標は…
4分30秒/kmほどの巡航ペースが安心・安全となる3時間15分にしました。
その時、私にとって4’30/kmは速い巡航ペースだと感じはしました。
しかし、3時間20分をようやく切った私にとっても、全く手が届かない場所ではないと思えました。
逆に4’25/kmはキロ辺り5秒速いだけでしたが、自分の実力を考えると、フルマラソンを走るにはレベルが1つ上になってしまって、終盤に大撃沈する可能性を感じていた、というわけです。
どちらを目標に定めるかはランナーそれぞれの判断に委ねられますが、3時間20分切りを余裕のありすぎる状態で達成したランナー以外は、地道に1つずつ階段を登っていった方が良いと思います。
今回は4分30秒/kmほどで巡航し、3時間15分切り(サブ3.15)を達成する為の練習について考えます。
目次
私は今でも覚えています。
4’35/km~4’40/kmほどのペースで3時間20分切りを達成し、次の目標を3時間15分に設定した際に思ったんです。
「4’30/km前後、つまりラップによっては4分20秒台/kmで走る場面も出てくるのか…」
フルマラソンに取り組んでいく上で、最初の課題となるのが
・フルマラソンの終盤を大撃沈せずに走り切るスタミナを養成する事
しかし走歴が長くなって終盤もペースダウンの幅が徐々に少なくなり、フルマラソンのタイムが伸びてくるにつれて課題が変わってきます。
・レベルの高い記録を目指すための、速い巡航ペースを楽に感じられるスピードを養成する事
いよいよフルマラソンの巡航ペースが4’30/km前後になってくると、一般市民ランナーにとっては相当のスピードになってきます。
VDOT一覧表を記載した記事から3時間15分を切るための目安について確認すると
VDOT | 5km | 10km | ハーフ | フル |
---|---|---|---|---|
48 | 20'39 | 42'50 | 1'34'53 | 3'17'29 |
49 | 20'18 | 42'04 | 1'33'12 | 3'14'06 |
50 | 19'57 | 41'21 | 1'31'35 | 3'10'49 |
3時間15分を切るタイムとしては、VDOT49の
5km 20分18秒(4’03/km)
10km 42分04秒(4’20/km)
ハーフ 1時間33分12秒(4’25/km)
が目安になります。
この基準より自分の持ちタイムが速いか遅いかで、4’30/kmで無理なく巡航するための練習内容が変わってきます。
基本的にはどのレベルを目標にするにしても、男子に多いスピードタイプのランナーであれば、フルの目標を達成する為の各距離の基準タイムはクリアしていると思います。
逆に女性に多いスタミナタイプのランナーであれば、各距離の基準タイムはクリアしていなくても、フルの距離であれば対応できると思います。
3時間15分を切る為に基準となる練習のペースは以下の通りです。
VDOT | Eペース | Mペース | Tペース | Iペース |
---|---|---|---|---|
48 | 5'28/km | 4'41/km | 4'24/km | 4'03/km |
49 | 5'23/km | 4'36/km | 4'20/km | 3'59/km |
50 | 5'18/km | 4'31/km | 4'15/km | 3'55/km |
VDOT49が必要なので、Tペースは4’20/km・Iペースは3’59/kmになります。
スピードタイプのランナーであれば、4’25/km~4’30/kmで走るのは難しくないレベルに到達しているかもしれません。
私の場合はスピードタイプのランナーだったという事もあり、3時間15分切りを目指す直前の閾値走ペースは4’00/kmでした。
マラソンペースと25秒/km以上の差があるので、巡航ペースとしては問題ないレベルのはず。
ただスピードタイプのランナーにとって、課題は常にフルマラソンを走るための持久力。
速いペースでフルマラソンを走っても、終盤に撃沈しないためのスタミナが不可欠です。
4’25/km~4’30/kmという速いペースで30km地点までペースダウンせずに走る”スピード持久力”を強化するには、どうしたら良いか。
スピードタイプのランナーが取り組むべき重要な練習として、いくつか考えられます。
1.Eペースでのロング走(月2~4回)
2.速いペース(4’20/kmなど)でのハーフ走(月1~2回)
3.レースが近づいてきたら、本番のレースペースである4’30/km前後でのロング走(レース1ヶ月前~3週間前までに1~2回)
私は3時間15分切りを狙うにあたって、フルの距離やフルを超える距離を比較的ゆっくりな(Eペース~Eペース+10秒~20秒/km)で走る練習を何度も実施しました。
レース2週間前に本番である洞爺湖マラソンのアップダウンを想定して、アップダウンの多いコースで30km走(4’35/km)を実施しました。
私が初めて3時間15分切りを達成したレース前の練習内容はこちらです。
スピードタイプのランナーは、ナチュラルな状態だとフルを走りきれない人も多いはずです。レースに向かうにあたっては、全身を「フルマラソンを走りきれる状態」に作り上げていく事が大事です。
<スピードタイプのランナー向け、3時間15分切り参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ60分~90分
水 40分テンポ走+ジョグ5~6km※
木 休養
金 ジョグ60分~90分
土 ロング走30km~35km(Eペース)orハーフ(Mペース~Mより10秒/km速く)
日 ジョグ90分~120分
※水曜スピード練習のメニューとして、他にも
・20分間の閾値走
・1000mインターバル5~7本
・10kmビルドアップ走
など色々な練習がありますので、様々な刺激を身体に与えつつ継続してください。
スタミナタイプのランナー、特に女性にとっては4’30/kmの巡航はキツいかもしれません。
レース全体の平均を4’37/kmでいければ3時間15分切りが出来るという事を考えると、
・終盤に自信があれば4’35/kmでの巡航でイーブンを狙う
・4’40km~4’45/kmから入ってネガティブスプリットを狙う
という作戦でも大丈夫。
私が3時間15分を切った2015年洞爺湖マラソンは、4’45/kmから入るネガティブスプリットでした。
その時に計画したラップ表がこちら。汚い手書きでスミマセン^^;
ネガティブを刻む為には、終盤にかなりペースアップをしないといけません。
終盤に自信があってもラストのスピードに自信が無いと難しいかもしれませんが、後半は抜かす一方で気持ち良く走れます。
後半に自信のあるランナーは、その為の練習を積んで挑戦する価値があります。
ネガティブスプリットを成功させるには、練習での20km~30km走などでも、ビルドアップやラスト5kmを大きく上げて終える、などが基本となります。
スタートはゆっくり走り出して、身体が温まってくるにつれてビルドアップ的にペースを徐々に上げる方が合ってる!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以下は「3時間20分切りの為の練習を考える」でも記載しましたが、スタミナタイプのランナーはスピード練習を頑張って取り入れてください。
日々のジョグのラストにウインドスプリントを入れるのは基本になります。
ウインドスプリントとは、全力の8割ほどのスピードで50~100m気持ち良く流します。これを3~4本やります。
5kmや10kmのスピードを上げる為の練習も効果的であると考えます。
短い距離のレースにエントリーして練習をするのがモチベーションも上がって良いと思います。
レースでゼィハァする事を考えると、気が重いかもしれませんが…^^;
自分が「イヤだな~」と思う練習やレースに参加する事ほど、走力アップの幅が大きいと思って頑張りましょう。
また、200mレペ(44秒)、400mレペ(89秒)で1000mのベストタイムよりも速い位の動きをして、身体に動きを覚えさせるのも有効です。
速く走るための(自分にとって最適な)身体の動きが自然に身につき、ランニングエコノミーが上昇するんです。
ランニングフォームやランニングエコノミーの改善は、人に教えてもらったり、頭で考えて改善するものではありません。
人それぞれ、骨格や筋肉の付き方などが異なりますので、自分が速く走るための動きは自分が速く走ってみて感じるしかないんです。
習うより慣れろです。
なお、レペはペースが速いために故障も誘発しやすく、土の上などで脚を守る意識も大事ですからね。
ヤッソ800※や1000mインターバル、閾値走なども効果的ですので、適宜入れていってください。
※ヤッソ800とは800m×10本のインターバル。800mを4分で10本こなせたらサブ4、3分半10本でサブ3.5、3分10本でサブ3というような分かりやすい設定。レストは400m。3時間15分なら3分15秒。レストが長い事もあってスピードタイプのランナーにはゆるい設定ですが、スタミナタイプのランナーには良い練習になります。
<スタミナタイプのランナー向け、3時間15分切り参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ60分~90分+WS
水 200mレペ×20本※
木 休養
金 ジョグ60分~90分+WS
土 ヤッソ800
日 120分~150分ジョグ、30km~35km走(Eペース)
※水曜スピード練習のメニューとして、他にも
・20分間の閾値走
・1000mインターバル5~7本
・10kmビルドアップ走
など色々な練習がありますので、様々な刺激を身体に与えつつ継続してください。
3時間15分切りはレース平均で4’37/kmが必要です。
終盤のペースダウンを考えると4’30/km前後での巡航が不可欠です。
イーブンを目指すレースプランとしては、4’30/kmで巡航し
まずは30km地点を2時間15分前後で余裕を持って通過すること。
30km~35kmは23分(4’36/km平均)まで緩やかにペースダウンするとしても、
35km地点を2時間38分前後で通過できれば勝利は目前!
残り7.195kmを37分(5’08/km)平均近くまで落ちても3時間15分を切れますので、よっぽどのトラブルに見舞われない限り大丈夫。
もし残り7.195kmを4’45/km平均くらいのペースダウンを抑えられれば3時間12分ほどでのゴールです。
こんな感じが3時間15分切りを目指す、イーブンペースでの理想的なレースプランではないでしょうか。
3時間15分切りをネガティブスプリットで目指すにあたって、小出監督が書籍「30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法
平均ペース型 | 後半型 | |
---|---|---|
0km~5km | 22'55(4'35/km) | 23'45(4'45/km) |
5km~10km | 45'50(4'35/km) | 47'30(4'45/km) |
10km~15km | 1'08'45(4'35/km) | 1'11'15(4'45/km) |
15km~20km | 1'31'40(4'35/km) | 1'34'10(4'35/km) |
20km~25km | 1'54'35(4'35/km) | 1'57'05(4'35/km) |
25km~30km | 2'17'30(4'35/km) | 2'20'00(4'35/km) |
30km~35km | 2'40'25(4'35/km) | 2'42'05(4'25/km) |
35km~40km | 3'03'20(4'35/km) | 3'04'10(4'25/km) |
~42.195km | 3'13'24(4'35/km) | 3'13'51(4'25/km) |
4’45/kmで入って、30kmを過ぎてから4’25/kmでゴールまで駆け抜けるプラン。見ただけで「無理だ…」と思う方もいるかもしれません^^;
でも、3時間15分切りを目指すランナーにとって4’45/kmはかなり余裕のあるペース。
思ってるより余力を残しながら終盤に臨めることを実感するかもしれません。少なくとも、私はそうでした。
私が洞爺湖マラソンで計画したラップは
~10km 4’45/km
~21km 4’35/km
~25km 4’50/km(登り)
~30km 4’30/km(下り)
~35km 4’20/km
~40km 4’15/km
~ゴール 4’30/km
でした。その、2015年洞爺湖マラソンのレースレポはこちらです。
3時間15分切りは男子で上位6%、女子では1.2%。
男性ランナーにとっては残念なお知らせではありますが、この辺りのレベル以上になってくるとレース中に1つ気付く事があります。
…女子が少ない!!(オッサンばっか笑)
この記事が参考になり、決して簡単ではないですが、イーブンにせよネガティブスプリットにせよ、3時間15分切りを目標にされるランナーが感動のゴールを迎えられますように!