サブ4達成後、大きな目標を成し遂げたあと
「次はどうしよう…」
と思ってるランナーも多いのではないでしょうか。
50kmや100kmのウルトラマラソンに挑戦しますか?
そんな風に思っている方であれば、ウルトラマラソンの世界を覗いてみるのも良いかもしれません。
トレイルランニングの世界に足を踏み入れてみますか?
そんな風に思っている方であれば、トレランに詳しい仲間がいれば一緒に山に連れて行ってもらう事で、少しずつロードと違う世界に入っていけるでしょう。
でも、ウルトラもトレイルも「フルの走力」がもう少しあった方が、様々な場面で楽しめる可能性が増える、という側面はあるんです。
加えて、これからサブ4を目指して頑張る仲間に、例えば練習のロング走で引っ張ってあげたり、本番でサブ4ペーサーをしてあげられるのも、ギリサブ4の走力では不安があっても、3時間50分を切るような走力があれば実現可能。
フル10分の走力差は意外と大きいです。
もうちょっとだけフルマラソンのタイム短縮を目指してみませんか?
とはいえ急に
「よしっ!次はサブ3.5だ!」
というのは飛躍しすぎかもしれません。
5’30/km~5’40/kmのペースでフルマラソンを走っていた人が、突然4分台/kmでフルを走るのは少し難しいでしょう。
サブ3.5はレース全体の平均ペースを4’58/kmで収めないといけないのです。
それでも「オレは(私は)やる!」という方は、こちらの記事へどうぞ^^;
ここでは5’30/km~5’35/km程でフルを走っていたランナーが、5’20/km~5’25/km程のペースで巡航出来るようなる、3時間50分切りを目指す練習メニューを考えたいと思います。
目次
イーブンペースを目指してスタート、終盤ゆるやかにペースダウンしながらゴールに向かう「一般的なレースプラン」で3時間50分を切るにはどうするか。
序盤から少なくとも30km付近まではペースダウンせず、ある程度の余力を残しながら5’20/kmで巡航する事が求められます。
逆に言えば、それが出来れば3時間50分切りは、かなり濃厚。
5’20/km前後で30kmまで到達出来れば、通過タイムは2時間40分(5’20/km)ほど。
残り12.195kmを1時間9分59秒以内(5’39/km)で良いので、徐々にペースダウンしていったとしても、5’40/kmを超えないように頑張れば3時間50分切りは達成です。
終盤もさほどペースを落とさずに走りきれる自信があれば、5’25/km前後でも可能性はあります。レース全体の平均ペースを5’27/kmで収めれば良いですからね。
サブ4を目指したレースでは5’30/km位を目安に巡航していたと思いますので、あと10秒/kmほど速い巡航ペース。
ある程度の期間、しっかりスピード練習とロング走をしていけばいけるかもしれない、と思える範囲ではないでしょうか。
以下は私のラン友である女性ランナーが、ほぼイーブンで3時間50分を切った時のラップタイムです。
距離 | スプリット | ラップ | ペース |
---|---|---|---|
Start | 00:00:29 | ||
5km | 00:27:25 | 26:56 | 5'23/km |
10km | 00:54:01 | 26:36 | 5'19/km |
15km | 1:21:05 | 27:04 | 5'25/km |
20km | 1:48:19 | 27:14 | 5'27/km |
中間 | 1:54:10 | ||
25km | 2:15:28 | 27:09 | 5'26/km |
30km | 2:42:48 | 27:20 | 5'28/km |
35km | 3:09:56 | 27:08 | 5'26/km |
40km | 3:37:24 | 27:28 | 5'30/km |
Finish | 3:49:02 | 11:38 | 5'18/km |
彼女はスピードタイプのランナーだったので、ロング走を繰り返し実施してイーブンで走れる走力を身に付けました。
彼女が3時間50分切りを達成した直前3ヶ月の練習内容はこちら。
3時間50分を切るための基準として、VDOT表を確認してみると…
VDOT40が3時間50分切りの目安となりますね。
そのための各距離で必要とされるタイムは以下のようになります。
5km 24’08/km(4’50/km)
10km 50’03(5’00/km)
ハーフ 1’50’59(5’15/km)
VDOTについて詳しい記事はこちら
各距離の基準となるタイムをクリアしているかどうかで、3時間50分切りの為の練習内容は異なります。
まずは、5km・10km・ハーフ、いずれのタイムもクリアしている、ないしは5kmだけ、あるいは5kmと10kmだけクリアしている、などの「スピードタイプ」のランナーが取り組むべき練習から考えていきます。
サブ4を達成したランナーとはいえ、スピードタイプのランナーがやってしまいがちなのは
「序盤の元気なうちに貯金を作る」
という作戦。
「どうせ30km過ぎれば疲れて動けなくなるから、序盤で稼ぐ」
っていう考え方です。
5’20/kmや5’30/kmで良いのにキロ5近くで序盤を走り、ハーフ前後くらいから徐々にペースダウンが始まってしまって、30km以降は大きくペースダウン。
それでも何とか粘ってゴールまで辿り着くスタイルのランナーは多いのではないでしょうか。
でもそんな作戦で撃沈してしまうランナーは、実は大きな可能性を秘めたランナーとも言えます。
元々スピードはある、というのが良いんですね。
そのスピードを生かすフルマラソン向けのスタミナを強化し、レースプランの質を高くしていけば、3時間50分どころか、場合によってはさらなる高みにあっという間に到達する可能性がとても高いわけです。
「いやいや、オレは(私は)スピードタイプだけど、序盤抑えて抑えて走っても、終盤疲れちゃうし、ペースダウンしてしまう」
というランナーも、ほぼ同様です。
スピードタイプのランナーは、得てして「スピード練習」が好きなタイプ。
週末にロング走をさほど実施しないか、やってもその内容やペース・質に問題があったりします。
スタミナは一朝一夕では身に付きませんが、一度身に付けてしまえば、早々に落ちる事はありません。
何度ロング走をやっても全然フルマラソンの終盤でペースダウンをしてしまう、という方には松岡修造氏の言葉を贈りたいです。
100回叩くと壊れる壁があったとする。みんな何回叩けば壊れるかわからないから、90回まで来ていても途中であきらめてしまう。
松岡修造氏 日めくりカレンダーより
諦めずにロング走を重ねれば、スピードタイプのランナーであっても適切なペースで序盤を走れば、必ず終盤に強くなれます。ペースダウンしないランナーになれます。
ただそれが1ヶ月とか2ヶ月という短期間で、急激にスタミナが付くという事がないので「心が折れる」人が多いように思います。
スタミナは「紙1枚ずつ重ねていく」ような愚直さが必要ですし、ちょっと目に見えにくいところがあります。
でも
「気付いたら随分と紙が厚くなったな!」
というように、いつの間にか走力が積み上がっていた事が分かり、終盤でも気力・体力共に尽きる事なくゴールまで到達出来るようになります。
どのレベルの目標を目指すにしても、スピードタイプのランナーがフルマラソンのタイムを短縮する為に取り組むべきポイントは
「フルを走る為のスタミナ養成」
が大きなウェイトを占めます。
いつかはサブ3.5、そして夢はサブ3…と考えているランナーであれば、平日のスピード練習も週末のロング走に影響の無い程度に継続実施していきましょう。
しかし、平日のスピード練習で疲れてしまい、週末は疲労で20kmしか走れなかった…などとなっては本末転倒です。
スピードタイプのランナーにとって最も大事なのは、週末のロング走です。
なお、日々の練習の設定ペースは、自分のVDOTを必ず確認し、自分の走力に合ったレベルで行ってください。
自分のVDOTを確認する方法はこちら。
<スピードタイプ・3時間50分切り参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ30分~60分
水 閾値走20分+ジョグ5~6km
木 休養
金 ジョグ30分~60分
土 ロング走30km(Eペースorジョグ)、15~20km走(5’15/km~5’30/km)
日 ジョグ60分~90分
水曜日ポイント練習 参考例
閾値走20分、テンポ走(40分閾値走)
10km~15kmビルドアップ(6’00/km~5’00/km)
インターバル走(Iペース走)3~5本
週末ポイント練習 参考例
ロング走30km(5’30/km~6’00/km、最初はジョグペースでも)
レース1ヶ月前や3週間前の週末に、5’20/kmでの30km走が余裕を持って走れれば、3時間50分切りの可能性が高いです。
仲間と30km以上の距離をゆっくり走るマラニック
15km~20km走(5’15/km~5’30/km)
「閾値走」「テンポ走」などの練習については「VDOTとは」の記事に詳しいです。
VDOT40で記載されている各距離のタイムにどれも届いていない、ないしはハーフだけはクリアしている、というランナーであれば「スタミナタイプ」になります。
スタミナタイプのランナーは、5’41/km平均が必要なサブ4を達成した時も、大幅に速いラップを刻んだ訳では無く、ある程度ギリギリのラップを刻んで終盤もペースダウンをしなかった、という展開だったことと思います。
そんなスタミナタイプのランナーにとっては、数秒/km上げるのもキツいかもしれません。
楽に速く長い距離を走れるようになるには、どうしたら良いのか。
最も大事な事は「ランニングエコノミー」をアップさせる事です。
これは
「骨盤を前傾して…みぞおちから脚が出るように動かし…着地は…腕振りは…」
と考える事ではありません。
「走る」という行為は、人それぞれの骨格や筋肉の付き方などで千差万別です。
実業団やオリンピックに出場するランナーでさえ
「こんなフォームで速いのはナゼ?」
と思いたくなるような走り方のランナーもいますが、それが本人にとって一番楽に速く走れる、最高にランニングエコノミーが高いフォーム、走り方な訳です。
スピードを求めるのであれば、速く走る練習をしてみる事です。
詳しくは「ランニングフォームを改善することは出来るのか」の記事にて。
そのために、日々のジョグのラストにウインドスプリントを入れるのが基本となります。
平日に1回スピード練習として、閾値で20分間走る「閾値走(Tペース走)」を入れてください。
その他Iペース走やビルドアップ走などで、マラソンペースより速く走る事を最も大事なポイントとして考えながら、練習していくと、タイムの短縮が早いでしょう。
<スタミナタイプ・3時間50分切り参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ30分~60分 WS2~5本
水 閾値走20分+ジョグ5~6km
木 休養
金 ジョグ30分~60分 WS2~5本
土 ビルドアップ10km~15km
日 ジョグ60分~90分 WS2~5本
水曜日ポイント練習 参考例
閾値走20分、テンポ走(40分閾値走)
インターバル走(Iペース走)3~5本
週末ポイント練習 参考例
10km~15kmビルドアップ(6’00/km~5’00/km)
ロング走30km(5’30/km~6’00/km)
レース1ヶ月前や3週間前の週末に、5’20/kmでの30km走が余裕を持って走れれば、3時間50分切りの可能性が高いです。
仲間と30km以上の距離をゆっくり走るマラニック
サブ4を達成した後、さらに高いレベルを目指して頑張っていくにあたって
「サブ4達成するのも本当にキツかったのに、これからもっとキツくなるのかも…」
と思うかもしれません。
少し怖いとさえ思うかもしれません。
でも、実際は真逆の世界が待っているかもしれないですよ。
おそらく、サブ4より高いレベルを目指すようになると、今までよりロング走を何度も重ねるようになり、スピード練習も継続的に実施していく。
そうすると、フルマラソンのレースの終盤であまりペースダウンしなくなる。
今までより速いペースでも、楽に走れるようになる。
つまり、適切なペースで走ればフルマラソンが以前ほど「地獄」のように感じなくなるかもしれないのです。
フルマラソンを30レース以上走ってきた私が一番キツかった、地獄だった!と感じているのは何だと思いますか?
一番辛かったのは、初サブ3.5を達成したレースや初サブ3を達成した時などでは無く、なんと初めてフルマラソンに挑戦した時のレースです^^;
詳しい記事はこちら。
そんな初フル地獄巡りの洗礼を受けてから、二度とあの地獄を味わいたくない恐怖感で(笑) 練習に励むようになり、それ以降は初フル以上に苦しいと思ったフルマラソンはありません。
怪我のないように着実にロング走の練習を積み、スピード練習も地道に継続していけば、フルマラソンはさほど苦しいものでは無くなる可能性があるのです。
想像してみてください。
フルマラソンでゴールまでさほど苦しくなく、脚も無くならずに笑顔でゴールする自分の姿を。
「ウソつけ、バカ野郎!」
と思うかもしれません。
でも、例えばサブ4したランナーがウルトラの練習を積んだ上で100kmウルトラマラソンに挑戦すると、フルの地点は余裕ありまくりの「通過点」になります。
ウルトラのペースはキロ6分半~キロ7程度と遅いペースでも良いので、サブ4達成していないランナーでも「42.195kmは通過点」として走っていけますが、走力が上がってくると、サブ4ペースですら「余裕綽々」になって、ゴールまで涼しい顔で走れるようになるのも夢じゃないんです。
さぁ、安心して3時間50分、40分、サブ3.5、そしてサブ3を目指していってください(笑)
その過程で弊ブログが再びあなたの役に立てば、これほど嬉しいことはありません。