初めての100kmウルトラマラソンを完走するために、何をしたら良いのか。
フルマラソンの2.3倍という、とてつもない距離に対する不安は大きいと思います。
ある程度フルマラソンを走った事があるランナーで、4時間30分を切って走れるランナーなら、スピードに対する不安はさほど大きくないでしょう。
例えば、サロマ湖100kmウルトラマラソンの各関門は以下の通り。
距離 | 関門時刻 | タイム | ペース |
---|---|---|---|
10km | 6:23 | 1時間23分 | 8'18/km |
20km | 7:39 | 2時間39分 | 7'57/km |
30km | 8:55 | 3時間55分 | 7'50/km |
41km | 10:20 | 5時間20分 | 7'48/km |
50km | 11:30 | 6時間30分 | 7'48/km |
60km | 12:48 | 7時間48分 | 7'48/km |
69km | 13:59 | 8時間59分 | 7'48/km |
79.3km | 15:19 | 10時間19分 | 7'48/km |
91.5km | 16:54 | 11時間54分 | 7'48/km |
ゴール | 18:00 | 13時間 | 7'48/km |
ゴールまで7’48/kmのペースが維持出来れば完走。
スタートのロスタイム、エイドでのロスタイム、トイレタイム、終盤のペースダウンなどを考えると、6’30/km~6’40/kmで巡航出来れば比較的安全圏。キロ7分に近いペースでも、終盤次第でどうにかなります。
スピードは大丈夫だと思います。
やはり不安なのは「100km」という距離。
6’30/km~6’40/kmで少なくとも50km~60km位まで到達、60km以降も大きく撃沈せず、何とか進み続ける事が出来る身体を作る。
そのための練習方法について考えていこうと思います。
目次
フルマラソンを走るための定番練習は30km~35km走ですよね。
30kmはフルマラソンの71%の距離。35kmは83%。
それをそのまま当てはめてしまうと、100kmの練習で70km走や80km走が必要となってしまいます。
しかし、高いレベルのタイムを目指すようなガチランナーでもない限り、70km~80km走はリスクが大きいですし、やらなくても大丈夫です。
初ウルトラの目標は、とにかく完走。
純粋に制限時間内の完走を目指すのであれば、ロング走の距離は50km~60kmで充分。
つまり、フルマラソンのための練習で週末にロング走をやっているランナーであれば、1ヶ月に2~3回、いつもより少し長めのロング走を入れればOK。
ウルトラを走るために必要となる基本の力は、フルマラソンの走力です。
「ロング走」と言ってもフルマラソンのようなペース走というよりは、仲間と共に40km~50km先の目的地を目指すマラニックやトレランのような、楽しく取り組めるランニングなどをメインにするのが良いですね。
もちろん1人で風景を楽しんだり写真を撮りながらのランや、普通にペース走を実施するのも大丈夫です。
朝に出発、夕方まで山や路上で活動し、休み休みしながらでも1日動けた!というような練習(時間走)は、早朝から夕方までかかる100kmウルトラマラソンの為の練習としては、確実に効果がありますし、1回1回やる毎に完走に近づきます。
「ウルトラを完走するのに必要な時間を動くことが出来た」
というのは大きな自信となって、距離に対する不安も小さくなることでしょう。
レースが近づいてきたら1~2回ほど、マラニックではなく、レースペースで50~60km走ってみてください。
その時に、本番のウェア・補給食・シューズなどを試してみて、問題が無いかの確認を必ずしましょう。
問題無く、余裕をもって50km走ることができたら完走の可能性は高まります。
本番同様、朝4時~5時から走ってみるのも「早朝から長距離を走ると自分の身体がどうなるのか」を知っておく意味で良い取り組みです。
フルマラソンと同じですが、100kmという距離に対する不安をレース前に完全に払拭するのは難しいですので、時間走である程度の自信を得ることが出来たら、あとは自分を信じて本番に臨んでください。
もちろん練習のみでは無く、レースに合わせた装備や補給などの準備もしていってくださいね。
スピードよりも、圧倒的に持久力・耐久力が試されるウルトラマラソン。
ウルトラマラソンで必要なのは「速さ」ではなく「強さだ」
岩本能史
強さを身に付けるために。
フルマラソン向けの通常練習の中で、平日に1回スピード練習をしているランナーもいるでしょう。
同じようなスピード練習をして、週末にウルトラ向けのロング走+翌日セット練のようなメニューが出来るなら、それに越したことはありません。強くなれます。
しかし、ゆっくりとはいえウルトラ向けのロング走は疲労が溜まりやすいです。
疲れた身体で平日のスピード練習を頑張ってしまい、足底筋膜炎やシンスプリントなど、怪我をしてしまった方も少なくないです。
また、平日のスピード練習で怪我しないまでも疲れてしまって、週末にロング走が出来なかったという事になってしまうのは、確実に完走から遠ざかります。強さが身に付きません。
平日にスピード練習をする場合は自分の身体と相談しながら、週末のロング走に影響が少ないメニューにとどめておくのが正しいウルトラ完走への練習方法です。
<ウルトラマラソン向け参考練習メニュー>
月 ジョグ30分~60分
火 ジョグ30分~60分
水 10km~15kmビルドアップ走(レースで予定しているペースが6’30/kmなら、レースペースでスタート・5kmごとに6’30/km~6’15/km~6’00/kmにペースアップなどのメニュー)
木 休養
金 ジョグ30分~60分
土 マラニック30km~50km
日 休養(レースが近ければセット練でジョグ90分~180分)
太字:ポイント練習
週間走行距離 80km前後
100kmレースの完走を目指すなら、ポイント練習をしっかり実施した上で月間300km以上の距離は走っておきたいです。
水曜日ポイント練習 参考例
閾値走20分、テンポ走(40分閾値走)
10km~15kmビルドアップ(レースペース→20秒~30秒/km速いペースへ)
インターバル5~7本
※閾値走・テンポ走・インターバル走はVDOTを基準にして、自分の走力に合ったペースで行ってください。詳しくはこちらの記事にて。
週末ポイント練習 参考例
マラニック30km~50km
レースペース走30km~60km
フルマラソンのレース
トレイルランニング3~4時間
自分でメニューを考えるのが難しいという事であれば、初めて100kmに挑戦する仲間にオススメしている以下の書籍をご紹介します。
完全攻略ウルトラマラソン練習帳 潜在走力を引き出す! レベル別・書き込み式13週間練習メニュー
若干各レベルごとのウルトラ巡航ペースが速い設定ですが、各自本番のペースはアレンジするつもりで、日々の練習を記載されている通りに実行していけば、100kmウルトラマラソンの完走は濃厚です。
参考記事:マラソンに関する本で、おすすめできるもの
練習を重ねても重ねても不安なアナタへ。
100kmに挑戦する事は、
「フルマラソンの2倍以上の距離だから、2倍以上の苦しさがあるのかも…」
と思うかもしれません。
でも実際は苦しみは2倍になりません。巡航スピードが速く、全てを走り通すようなフルマラソンの方がよっぽどキツい。ウルトラの方が楽だ、というランナーは大勢います。
100kmを全て走り通すランナーなんて、上位の一部ランナーのみ。
あとはみんな登りは歩いています。エイドではしっかり止まって補給しています。
ロング走の練習でも、登り坂は全て歩く練習をするのも良いと思います。
25分走って5分歩くという30分1セットをやるのも、本番を想定した良い練習。
決してオーバーペースにならず、ウルトラに適した走り方で進めば、きっと100kmウルトラマラソンは13時間~14時間の充実した「旅」になります。
固くならず、楽しむ気持ちでゆっくり歩を進めてくださいね。
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げんさんこんばんは^ ^
ブログいつも参考にさせてもらってます。
私は、7月半ばに行われる177kmのレースに出場する予定なんですが、残り2ヶ月の練習の中で、最長距離の練習はいったい何キロ必要なのか?という事で悩んでいます。
私はスピードも無いですが、スタミナはもっと無いタイプです(涙)
ロング練習やウルトラは苦手意識があります。過去には3年前にサロマ100kmを11時間40分で完走。一昨年の北オホーツク50kmを4時間そんな中、エントリーしてしまったのだから必ず完走したいですし、出来ることなら自分の能力の全てを出し切ったタイムでゴールしたいです。
レース前に、70%の距離を走る事が必要と聞きますが…177kmだと。
124km!!
絶対壊れます(笑)
大会前の最長練習に関して、是非げんさんのご意見を聞きたいです
りゅうさん、こんばんは♪ いつもコメントありがとうございます!
ご質問の件につきましてお知らせしておりました通り、ブログの記事にさせて頂きました。
https://gen-running.com/post-5737/
今後とも、よろしくお願い致しますm(_ _)m