3時間10分を切って、3時間7~8分ほどで走ると、周りのラン友も
「次はサブスリーだね!」
なんて声をかけてくれる人が増えたり
「よ~~し、次はいよいよ俺も(私も)サブスリーへ挑戦だ~~~!」
と息巻くランナーも多いと思います。
もしかしたら3時間10分を切っておらず、3時間11~12分でも「次はサブスリー!」っていうランナーもいらっしゃるでしょう。
確かにそこまでのタイムを出せば、山の頂は少しずつ見えてきますよね。
しかし私は
「ちょっと待ったーー!」
と言いたい。強く言いたい。
「サブスリー沼にハマるよっ!」
って。
「は?もう少しで山の頂上なのに、急に沼??ないでしょー。」
と思うかもしれない。
世の中には様々な沼があるんですよ。
有名なのは「レンズ沼」。
写真好きにはおなじみの言葉ですよね(笑)
ハマるとえらい目に合います。
レンズに使う金額が数十万なら可愛いほうで、100万を軽く超える金額をレンズに投入し、抜け出せない人も多い。
そういうコミュニティすらあって
「レンズ沼へようこそ」
なんて歓迎される(笑)
話が横道にそれてしまいました(;´▽`
サブスリー沼です。
3時間7~8分、ないしは10分前後のレベルから急にサブスリーを目指して4’10/kmで巡航すると、どうなるでしょう。
よく見受けられるのが、4’10/kmがオーバーペースで30km以降に大きく撃沈キロ5オーバー、3時間10分とか15分も切れなくなってしまう事が意外と多いんです。
そりゃそうだ。
4’20/kmと4’10/kmで巡航する走力って、キロ5と4’50/kmの秒差と比べたら、レベルが全然違うんだから。
その、わずかキロ10秒を縮めるために、4’10/kmで無理なく巡航するべく、みんな怪我と隣り合わせのギリギリの練習をしているワケで、急にはいけない。
撃沈しながらも、
「よーし!次こそは!!」
って、様々なシューズを試したり、色々な練習をしてみて再びサブスリーに挑む。
やはり撃沈して3時間4~6分で軟着陸するものの、目標はサブスリーだから落胆。
そして再び様々なシューズや高級補給食、ウェアなどの備品にもこだわってサブスリーに挑む。サブスリーの為に投入した金額は随分膨らんだw 沼だww
しかし、小撃沈で3時間2~3分。
こうして中々壁が破れずに「沼にハマった状態」になり、そのうち怪我をしたり、モチベーションが下がったりして、惜しいながら結局3時間1~2分が生涯ベストになるランナーって、実は結構多くいらっしゃるように思います。
本当にもったいない。
問題は「目標が遠い」ことと「心理的な壁が出来てしまう」という事。
目標が遠いと「挫折感」ばかりになっちゃう。
本来は細かく目標設定して、達成の喜びを都度味わっていれば、モチベーションの低下は起こりづらいハズ。
そして、無理なく段階を踏んで「4’10/km」に挑戦していける。
サブスリーペースに届かない実力のうちから、長らく「4’10/km」で撃沈し続けていると
「オレにはこのペースは無理なんだ」
って、心理的な壁も出来上がるよ。
「オレにはそんな心理的な壁はねぇ」
と思っていても心の奥でわずかに感じてる事が、サブスリーいけるかどうか、レース最終盤の際の際で出てくるよ。
身体が言うこと効かなくなってきた時に「やっぱ無理か」って。
このレベルまで到達してからのキロ10秒短縮が、どれほど遠いか。
あっという間に通過していく「羨ましい人」もいますけどね^^;
でも我々は「羨ましい人」にはなれない。
今以上に上がるかどうかも分からない走力を「上がる!」と信じて、紙1枚ずつ重ねるように、日々愚直に努力をしなければいけないのです。
一気にはいけないのです。
何度でも言います。
「いよいよスピード的に苦しくなってきた」と感じてからの、キロ10秒向こう側の世界に到達するのは、果てしなく遠い。
どうでしょう。
「サブスリーを目指します!」
っていう方が勢いがあるし、ラン仲間のウケも良いんだけど、
まずは4’15/km~4’20/kmで安定巡航し、3時間5分切りを目指すレースを挟んでみてはいかがですか。
1つ段階を踏む、しっかり狙って3時間5分切りのレースを経験する事によって得られる経験値・走力、そして自信は、考えてるより大きいですよ。
あと7分とか8分でサブスリー!じゃなくて、あと3分とか4分でサブスリー!という、目標が近い、安堵感に似た感覚でサブスリーに挑戦出来るのも心理的にプラスです。
本当に走力的にギリなら、3時間5分切り→3時間3分切り→サブスリー挑戦
という細かい設定もアリ、というほどの高いレベルになってきていると思った方が良いです。
幸い、我々にはそういう細かい設定でも柔軟に対応してくれる「VDOT」という指標があります!
前振りが長くなってしまいましたが、今回は4’15/km~4’20/kmほどで巡航し、3時間5分切りを達成する為の練習について考えます。
目次
3時間5分はレース全体を4’23/kmで収めなくてはいけません。後半のペースダウンを考えると、4’15/km~4’20/kmほど、出来るだけ4’15/kmに近づけた方が無難です。
VDOT一覧から目安の走力を確認すると
3時間5分を切るための目安はVDOT52の
5km 19’17(3’51/km)
10km 39’59(4’00/km)
ハーフ 1’28’31(4’11/km)
が目安になります。スピードタイプのランナーなら、全てのタイムをクリアしているかもしれません。
Tペースは4’07/km、Iペースは3’48/km。
VDOTは各距離のレースタイムを当てはめて、一番VDOTの高い所で練習を計画する必要がありますので、スピードタイプの方は基準のTペース・Iペースより速いペースで練習をする必要があります。
スピードタイプの私が3時間5分切りを目指していた時は
閾値走 3’52/km
インターバル 3’40/km
で実施していました。
実際に私が実施した練習内容はこちら
スピードタイプのランナーとはいえ、レベルの高いマラソンペースになってくるため、4’15/km~4’20/kmは全く油断の出来ない巡航ペースになってきます。
上記で明記した通り、自分のVDOTに合わせた平日のスピード練習をしっかりこなし、その上で週末はロング走をしっかり実施していく必要があります。
週末に関しても、Eペースでのロング走、速いペース(4’10/kmほど)でのハーフ走、レースが近づいてきたらレースペース4’15/km~4’20/kmでの30km~35km走もしっかりこなしておきたいところ。
このレベルになってくると、平日のスピード練習・週末のミドルorロング走、いずれも欠かさず実施する事が当然になってきますが、怪我や疲労のリスクを感じたら臨機応変に1~2日程度は休みながら、練習予定に大きく穴を開ける事の無いように継続していってください。
サブスリー近辺は日々、怪我と隣合わせの練習ばかりになってきますので、今まで以上に自分の身体には細心の注意が必要です。
<3時間5分切り参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ60分~90分
水 閾値走20分+ジョグ5~6km、インターバル、テンポ走など
木 ジョグ60分~90分
金 ジョグ60分~90分
土 ロング走30km~35km(4’15/km~4’40/km)、ミドル走
日 ジョグ120分~150分
スタミナタイプのランナーで終盤に自信のある方は4’20/km前後での巡航でも可能です。
私が3時間5分を切った2016年春は、6月にサロマ湖100kmウルトラマソンを控えていて、それなりに長い距離を重ね、スタミナには少し自信も付いていた時期でした。
「4’20/km前後の巡航、終盤もペースを落とさずに行けば3時間5分は切れる」
と考えて2016年3月の古河はなももマラソンに臨みました。
その時のレースレポがこちら。
ネガティブで狙うなら、4’25/km~4’30/kmで入っても可能性あります。
以下は「3時間15分切りの為の練習を考える」でも記載しましたが、スタミナタイプのランナーはスピード練習を頑張って取り入れてください。
日々のジョグのラストにウインドスプリントを入れるのは基本になります。ウインドスプリントとは、全力の8割ほどのスピードで50~100m気持ち良く流します。これを3~4本やります。
5kmや10kmのスピードを上げる為の練習も効果的であると考えます。短い距離のレースにエントリーして練習をするのがモチベーションも上がって良いと思います。レースでゼィハァするのはスタミナタイプのランナーにとっては、ちょっと気が重いですが^^;
200mレペ(42秒)、400mレペ(86秒)で1000mのベストタイムよりも速い位の動きをして、身体に動きを覚えさせるのは有効です。動きが良くなって、ランニングエコノミーも上昇します。10回~20回やると効果的ですが、ペースが速いために故障も誘発しやすく、土の上などで脚を守る意識も大事です。
また、ヤッソ800※や1000mインターバル、閾値走なども効果的ですので、適宜入れていってください。
※ヤッソ800とは800m×10本のインターバル。800mを4分で10本こなせたらサブ4、3分半10本でサブ3.5、3分10本でサブ3というような分かりやすい設定。レストは400m。3時間5分なら3分5秒。レストが長い事もあってスピードタイプのランナーにはゆるい設定ですが、スタミナタイプのランナーには良い練習になります。
<3時間5分切り参考練習メニュー>
月 休養
火 ジョグ60分~90分+WS
水 400mレペ×10本、閾値走20分、1000mインターバル5本、ヤッソ800など
木 ジョグ60分~90分+WS
金 ジョグ60分~90分+WS
土 ロング走30km~35km(4’20/km~4’50/km)、ミドル走(4’15/km)
日 120分~150分ジョグ
イーブンを目指すレースプランとしては、4’18/kmほどでまずは30km・2時間9分前後で余裕を持って通過すること。
30km~35kmは22分(4’24/km平均)まで落ちたとして、2時間31分前後で通過すれば目標達成は濃厚になってきます!残り7.195kmを34分(4’43/km平均)近くまで落ちても3時間5分を切れます。
このレベルまで到達するランナーであればロング走も数多く実施してきているでしょうし、ラスト7.195kmもよっぽどのトラブルに見舞われない限り、大きく落ち込む可能性は少ないと思いますので、いけるでしょう。
もし残り7.195kmを4’30/km平均くらいのペースダウンを抑えられれば3時間3分ほどでのゴールとなります。
こんな感じが3時間5分切りを目指す、イーブンペースでの理想的なレースプランではないでしょうか。
私は、サブスリーを目指すにあたっての入口は3時間5分切りだと思っています。
3時間5分を切って、ようやくサブスリーに挑戦するステージに上がれる。それまではステージにすら上がっていない状態だと思って自分は取り組んできました。
階段を1つ1つ登っていくのは面倒に思うかもしれませんが、無理なく時間をかけてレベルアップしていく事が、怪我や疲労のリスクを抑え、結果的に練習とモチベーションの継続を図る事が出来ますし、サブスリー到達への最短距離ですらあると考えています。
本命レースが近い方もいらっしゃると思います。
3時間10分前後のランナーの皆さまが3時間5分を切り、サブスリーへの挑戦権を獲得する事を心から祈っています。
頑張ってください!
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こんちは。はじめまして。
いつも楽しく読ませて頂いております。
(道マラではヨメがずっと近くを走っていたようです。)
この春にやっと10分カットできた者です(笑)
3時間ヒトケタに届いたので、
今シーズンはサブスリー目指すぞ!オー!!!
と狼煙を挙げた矢先にグサリと胸突き刺す記事(^^;)
自分はスピードタイプでハーフを25分台、
30キロ走は413で走れたこともありますが、
スタミナが足りなくて前半調子よく走れても
後半どうしても垂れてしまうのです。
正直、サブスリーどころか5分も
果てしなく遠いと感じてます。。。
もうすでに沼に嵌っているような気もしますが(笑)、
記事を参考にチビチビ記録伸ばして
最終的にはサブスリーを目指せるところまで
持っていきたいと思います。
サトさん、おはようございます。そしてはじめまして♪ コメントありがとうございます!
なんと道マラでは奥さまがお近くに^^; お恥ずかしい限りですw
この春に3時間10分切りされたのですか!いよいよ3時間ヒトケタになると、サブスリーに向けて気持ちも上がりますね!
しかし、そこに冷水を浴びせるような記事、恐縮です(笑)
すでにハーフ25分台、30km走も4'13/kmで走れる走力!
謙遜されてますが、スピードタイプであれば、3時間5分切りを目指すのに最適なタイミング、サブスリーまで間近ですね♪
私も3時間5分切りを目指す段階では、ハーフ・30km共に同じような走力でした。
後半の垂れ、同じスピードランナーとして凄くよく分かります(笑) 次の目標までの遠さも同感、同じように感じていました。
ここからの「10分」は本当に厳しいのは確かなのですが、沼にハマる事なく、少しずつ目標を高くしていってサブスリーに近づいていってください!
レースを走って良い記録が出たら、是非教えてください。楽しみにしています(*^^*)
げんさん、初めまして。
サトさんと同じく3時間1桁後半のランナーです。大変参考になる記事をありがとうございました。ちなみに自分はスタミナタイプですねw
確かに3時間1桁まで来ると回りもそうですが何より自分が自分に「次はサブ3だ」とプレッシャーをかけてしまいますよね。ご指摘の通りこのレベルでのキロ10秒は果てしなく遠いです。キロ5からキロ4分半よりも大変だと思います。
ちょっと自分の計画もよく考えてみようと思います。ありがとうございました。
キミ兄さん、こんにちは。コメントありがとうございます!
ブログ拝見させて頂きました。長年ブログを続けておられる大先輩…恐縮でしたm(_ _)m
2017年の古河はなももマラソンで出した3時間6分47秒がフルPBなのですね。
2016年の古河やつくば、2017年のつくばなど、自分と同じレース、そして、お近くを走っていたんだ!というのを知り、親近感を覚えます(*^^*)
3時間1桁からの数分が本当に遠いですよね。そうは思っても
「次はサブスリー!」
と思わずにはいられないのですが^^;
キミ兄さんのPBレースは、ほぼイーブンで最後まで刻めた素晴らしい展開!
これから色々と記事を拝見させて頂き、勉強致します。