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記事の内容は以下の動画でも解説しています!
クルーズインターバルは短い休息時間をはさみ、閾値ペースで行うインターバルである。この練習では疾走区間の時間が比較的短いので、毎回閾値ペースを守って走ることが重要である。
クルーズインターバルは閾値走の一種ですが、通常20分間を通しで走る”閾値走(Tペース走)”と異なり、Tペースランニングを短い休憩を挟みながら何本か実施する練習です。
クルーズインターバルは閾値走よりも実施している人が少ない、ちょっとマイナーなイメージがあるかもしれません。
しかし、ランニング初心者から中~上級者まで、やり方次第で幅広いレベルのランナーにとって有効な練習となり得るトレーニング方法です。
テンポ走とクルーズインターバルは、いずれも同じ目的(乳酸性作業閾値を高める、持久力を向上させる)で行うものであるが、両方ともトレーニングプログラムに取り入れることを勧めたい。
クルーズインターバルの効果とやり方について、初心者向け・上級者向けと分けて解説していきたいと思います♪
Tランニングは、血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を高めるために行う。持久力を向上させるために行うと考えればよい。つまり、ある程度の時間、少しだけ速めのペースで持ちこたえることを身体に覚えさせる、あるいは一定ペースを維持できる時間をのばす、ということだ。
クルーズインターバルは1回の疾走距離や時間が通常の閾値走より短いからとはいえ、ペースは閾値走(Tランニング)と同じで実施します。
したがって、効果は閾値走と同様に血中乳酸除去能力の向上になります。
自分の閾値走のペースはVDOTの表から知る事が出来ますので、もし分からないという方がいらっしゃればVDOTの記事を読んで頂き、表から自分に適切なペースを見てください(^^)
疾走区間の長さは3~15分間とし、5分間の疾走につき1分間の休息時間をとるのが平均的な練習である。例えば、1,600mのクルーズインターバルでは、通常休息は1分間とり、3,200mのインターバルでは2分間とるのが適当である。
海外の書籍だと、どうしても距離の基準が”1マイル(1,600m)”になってしまう事が多いですが、私たちは1kmが基準になりますよね。
休息時間があまりにも長いと”血中乳酸濃度”が下がってしまって練習効果が少し下がってしまう可能性がありますので要注意ですが、ある程度柔軟に対応すれば良いと思います。
ダニエルズさんの提示する1,600mや3,200mで実施出来れば上記の休息時間で良いでしょうし、1kmなら40秒・2kmなら1分30秒ほどのレストでやれば、大きく効果に変化はないと思います♪
クルーズインターバルの疾走区間の合計は、週間走行距離の10%程度を上限とし、6km(または30分間)~15km(または1時間)の範囲とする。つまり、週間走行距離が通常64km前後であれば下限の6km(または30分間)、192km前後であれば15km(または1時間)をTペースで走ることになる。
週間走行距離が64kmというのは、月間走行距離にすると270kmほど。
それくらいの距離を走るランナーであれば
クルーズインターバルで走っても良い距離は6km(または30分間)
という事になります。
月間走行距離が
300kmなら7km
350kmなら8km
400kmなら9km
それくらいが目安になります♪
クルーズインターバルは、1本ごとの距離が短いうえに休息をはさみ、主に心理的ストレスが軽減されるので、20分間のテンポ走よりもペースを速めたくなる。しかし、速く走ってしまうと閾値トレーニングの効果を得にくくなる。
20分を通しで走る閾値走も同様ですが、クルーズインターバルでも実施するにあたって、最も大事な事が
ペースを守ること
です。
「いやいや、走っていて良い感じなってきてペースアップしたら、それはそれで効果が高いにきまってるでしょ」
と思いがちなのが、私たち一般市民ランナー^^;
閾値走やクルーズインターバルの最後、
「さぁ、もうちょっとで終わりだ!」
なんて思って気持ち良くなってビルドアップする事や、調子が良くてタイムトライアル的な走りになる事ってありますよね(笑)私もよくやってましたw
なぜ閾値トレーニングでペースアップをしない方が良いのか、一定ペースが大事なのかについて詳細を語るとそれだけで1つの記事になってしまうほどの長さになるので(笑)ここでは控えますが…
ごく簡潔に言えば、ダニエルズさんの思想が
1回の練習で得られる練習効果より、数年のスパンで怪我や疲労のリスクを可能な限り回避して中程度の練習効果をゲットし続けていく、それがマラソンランナーとして最も走力を高められる方法である
というものだからです。
何年にも渡って閾値トレーニングを実施し、LTをずっと右肩上がりにさせていく事こそが”閾値トレーニング”の最大の狙いなんです。
たまによい練習ができることは誰にでもある。しかし、継続性がなければ、実のあるトレーニングとはならない。
ランナーとしての土台(月間走行距離270kmほどの継続)が出来てきた時に初めて”ダニエルズ式マラソン練習プログラム”への入門が認められると言っても過言ではないのですが、その事についての詳しい解説は、以下の記事(ないしは動画)にて。
土台がしっかりした上で、いよいよ閾値走などのポイント練習を開始したランナーにとって、最初のネックが
20分間も閾値ペースを維持するのがキツい^^;
という事です。
中~上級者でも自分の閾値ペースで走る日は、若干憂鬱になる事もあります(笑)
そんな心理的にキツい”20分間通しの閾値走”に比べて、休憩(レスト)を挟みながら実施するクルーズインターバルは「5分ずつ休もう」とか「2kmずつに分けよう」と考え、実際にその通り実施する事により、精神的に楽な気持ちで臨めます。
マラソン練習は数年に及ぶ継続性が最も重要ですが、「やりたくない」「キツいから嫌だ」という気持ちが強くなりすぎると続けられません。
最初はクルーズインターバルで閾値のスピード、感覚というものに慣れ、徐々に20分間継続して走るテンポ走(ペース走)に移行すれば良いと思います(^^)
クルーズインターバルは、心理的にきついテンポ走の中に休息を設けた練習なので、1回の練習でより多くの運動量をこなすことができる。
【クルーズインターバルステップアップ練習例】
1.アップジョグ2~3km、1600m閾値走1本、ダウンジョグ2~3km
2.アップジョグ2~3km、1600m閾値走2本(休息1分ジョグ)、ダウンジョグ2~3km
3.アップジョグ2~3km、1600m閾値走2本+1000m閾値走1本(休息各1分ジョグ)、ダウンジョグ2~3km
4.アップジョグ2~3km、2400m閾値走1本+1600m閾値走1本(休息1分半ジョグ)、ダウンジョグ2~3km
5.アップジョグ2~3km、2400m閾値走1本+1600m閾値走1本+1000m閾値走1本(休息各1分半ジョグ)、ダウンジョグ2~3km
6.アップジョグ2~3km、3200m閾値走1本+1600m閾値走1本(休息2分ジョグ)、ダウンジョグ2~3km
7.アップジョグ2~3km、20分間閾値走1本、ダウンジョグ2~3km
※ステップアップする際は、少なくとも同じ内容のメニューを2~3回実施して問題ない、慣れたと判断した場合に行ってください。
私はテンポ走の上限を通常約20分間としているが、自信があれば、20分間のTランニング1回で終わらなくてもよい。要するに、十分にトレーニングを積んだランナーなら、1回の練習で20分間のTランニングを2回か3回走っても構わないということだ。
「クルーズインターバル?初心者がやる、途中でレストを作るあれでしょ?20分間継続的に走る閾値走やってるから、全く必要なし」
と考えている中~上級者の方がいらっしゃったら、少し柔軟に考えを改めた方が良いかもしれません^^;
上記の文言では「20分間のTランニングを2回か3回走っても構わない」という鬼メニューを提示していますが(笑)、それはエリートランナーに任せるとしてw
「だいたい20分間の閾値走1本でお腹いっぱいだよ!」
って思いますよね^^;
でも例えば少し休息(3~4分ジョグなど)を取り、そのあとあと1本だけ1000mの閾値走1本追加する”クルーズインターバル”を実施したらどうでしょう。
月4回・年48回閾値走を実施して、毎回1000mをクルーズインターバルで追加するとしたら…48000m(48km!)分も閾値近辺で走る”刺激時間”が増加します。
刺激時間=レベルアップのチャンスタイムです。
マラソン練習で重要な事の1つに
狙っている練習効果を得るための刺激時間を、どれだけ長く取るか
というものがあります。
閾値走であれば、1回1回の練習でどれだけLTで走る時間を多く設けるか。
そう考えた時に中~上級者がさらなるレベルアップを求めるのであれば、閾値で走る時間を少しずつ増やしていくのも良い選択肢だと思います。
実はダニエルズさんの書籍の中でも、閾値ペースを利用したミドル~ロング走のメニューが様々記載されています。
1回の練習で、13kmのTペースランニングと1時間(または16kmまで)のイージーランニングを組み合わせると、ロング走と閾値トレーニングの練習ができたことになる、ということである。長く楽な一定ペースのランニングと比べ、Tペースランニングでは活動筋がグリコーゲンを使いきるのが速い、というのがこのきつい練習を行う根拠である。しかも長い距離を走る必要はない。
上記のような練習は”13kmのTペースランニング”という事で、エリートランナー向けの内容となりますが^^;、
市民ランナー向けにアレンジすれば効果的な練習のバリエーションは様々です。
詳しくは以下の記事にて詳しく解説していますが、練習例を上げるとすれば
【練習例】
週間走行距離66km~113kmのランナー向け
1.閾値走10分~15分・セット間休憩2分 × 2~3本
2.閾値走16分~20分・セット間休憩3分 × 2本
3.閾値走20分、休憩4分、閾値走5~15分、または閾値走5~6分・セット間休憩1分×2本(オススメ)
このようなクルーズインターバルは、使い古された昔の練習方法ではありません。
現在でも世界のトップランナー達が積極的に取り入れて実施しています。
下の動画は2016年リオオリンピックの5000mで、ファラー選手に続く2位でフィニッシュ・銀メダリストとなったポール・チェリモ選手(Paul Chelimo)が今年(2021年6月)に実施した閾値トレーニング(Threshold Session)の様子です。
3マイル(約4.8km)+2マイル(約3.2km)のクルーズインターバルを実施後、400m2本のレペティションを実施しています。
チェリモ選手は今回の東京オリンピック5000mのアメリカ代表にも選ばれており、すでに訪日してバッチリコンディションを整えていr…と思いきやw
大会が用意した1人分の体重しか支えられないダンボール製のベッドについてのチェリモ選手のツイートが、だいぶバズってますね^^; 確かにこれはね…orz
クルーズインターバルは初心者ランナーのみならず、市民ランナーの中~上級者から世界的なランナーまでに取り入れられている効果的なトレーニングです。
閾値トレーニングを何年もかけて継続実施する事は、長距離が速くなるために必須なんです。
閾値トレーニングを何年か継続実施してきたランナーであれば、
「今日は20分閾値走がキツいな…」
「やりたくないな…」
そんな時も出てきます。
そういう時にクルーズインターバルを思い出してもらって、精神的な負担が少なくなるように、少し短い距離に分割してやってみるのも良いと思います。
そして調子が良い、モチベーションが高い、そんな時は一層のレベルアップを狙ったクルーズインターバルを実施するのも良い試みだと思います。
私たちのような陸上未経験の市民ランナーは、真面目に練習に取り組めば5~10年は成長出来ます。
様々なバリエーションを組み合わせながら、閾値トレーニングの10年継続実施、思ってもみなかった場所への走力の向上を目指して頑張っていってください(^^)