フルマラソンのための朝ランの効果と注意点

【解説動画】記録を伸ばすために最も良い時間帯!?朝ランの効果ってあるの?何のために朝走るのか、そのメリット・デメリットを紹介♪

記事の内容は動画でも解説しています!

フルマラソンのための朝ランの効果と注意点

どれくらいのペースで走るのか、そしてどれほどの距離を走るのか。

そんなトレーニングの内容によって得られる効果は異なり、それを理解した上でジョグをはじめ、Eペース・閾値走・インターバル・レペティション・ロング走などの練習で鍛えていくのがフルマラソンでタイム短縮を目指すために大事なポイントです。

フルマラソンを速く走るにはどうしたら良いか。 初心者の方にとっては「日々のジョギング」という練習以外、定期的にやっている特別な練習は無...

しかしながら、それ以外の要因で効果が変わってくる事も知っておかないといけません。

つまり1日のうちで

いつ走るのか

という事です。

朝ごはんの前、つまり早朝に走るのか、それとも昼に走るのか夜に走るのか。

それぞれに練習効果や身体の状態が変わってくるため、そこでのメリットやデメリットをしっかり理解した上で、前述のジョグやポイント練習に

出来るだけ相乗効果をもたせる

ことが大事になってくるのです。

ただ10kmのジョグを平地で日中や夜にやるのか、10kmのジョグを早朝にアップダウンのあるコースでやるのか。

日常的に実施する練習であればあるほど、何も考えずに実施するのか複合的な効果を狙うのかでは、長期で見ると大きな差がつきます。

今回は朝…と言っても朝ごはんを食べたあとではなく、朝食前(朝飯前というやつですね^^;)に実施する練習の重要性について解説していきます(^^)

朝ランの効果

このブログを見て頂いている方のほとんどは、フルマラソンで目標とするタイムの更新を狙って頑張っているランナーだと思います。

なので

「朝走るとスッキリします♪」

とか

「知らない方と挨拶を交わし、爽やかな気分になって1日を過ごせます★」

などの”爽やか効果(笑)”については(これは間違いなくあるのですが^^;)、ここでは省略させて頂きます。

あくまでもフルマラソンのタイム短縮のために何がメリットで、どんなデメリット(注意点)があるのかについて掘り下げていきます。

1.糖ではなく脂肪を優先して使える身体に変える

夕食後の絶食時間が長く、体内の糖は最も減っている状態であり、この状態で走ることによって、エネルギー基質の利用を糖から脂質優先にシフトすることが目的だ。この練習はレース終盤のよいシュミレーションになるが、少しずつ距離を伸ばして取り組むのがよい。

マラソンの科学

朝は最初から糖が少ない状態なので、その状態で走り始めると、身体は脂肪のエネルギーを使って走ろうとします。

これが重要な意味を持つんです。

フルマラソンという長い距離を走るために必要な”糖(グリコーゲン)”は、おおむね30km前後で枯渇してエネルギー不足(低血糖)に陥り、筋疲労も伴って苦しくなってきます。

しかし膨大なエネルギー源である”脂肪”を積極的に利用出来る身体であれば、糖を節約して通常よりも糖の枯渇を先送り出来ます。

つまり

脂肪を積極的に使える身体になれば、フルマラソンの終盤にペースダウンする要因を、1つ潰すことができる!

これはデカい。

また、フルマラソンの終盤で糖が枯渇してきて苦しくなった時の練習にもなります。

そして糖を最後まで持たせるのに一番大事なことは、トレーニングで脂肪利用能力を高めることである。持久的運動トレーニングでミトコンドリアを増やし、脂肪利用能力を高めれば、それだけ以前と同じ速度を、より脂肪を使い糖を保存して走行することができるようにあるので、最後まで糖をもたせやすくなる。

新・スポーツ生理学

マラソンという長い距離を最後までペースダウンせずに走るために、糖(グリコーゲン)の役割を知ることは非常に大事なんです。

糖を節約すべき理由や脂肪を優先的に利用出来る身体になることは、フルマラソンの終盤対策として必ず力になります。

ここでは説明が長くなるので詳しく解説はしませんが、もし「糖とかグリコーゲンとか知らなーい」という方がいらっしゃれば、以下の記事にて解説していますし、動画の配信も記事内にありますので参考にしてください♪

【解説動画】マラソンの終盤に強くなる近道!グリコーゲン これを知らずに練習しちゃダメ ブログの内容は、以下の動画でも解説しています! ...

2.脂肪燃焼効果が高い

前述の”糖の少ない状態から走り始める事で、脂肪を積極的に使う身体にする”という事を目的にすると、当然走ってる際に脂肪をより使うので痩せやすくなります。

フルマラソンは

1kg体重が減ると3分速くなる

と言われるくらい、体重が(適切に)軽い方が良いのは基本です。

また、朝ランをする事によってその日は一日中”交感神経”が活発になり、

走り終わったあと、何をしていても通常時より体脂肪が多く使われる状態が続く

という、丸一日ラッキータイム♪という美味しい状態になれます(^^)

私もレース前の減量期には、食べる量やモノにもいつも以上に気を配りますが、朝ランをより積極的に実施します。

そうするとグッと引き締まって、レースに挑む身体になれるんです。

3.ミトコンドリアを増やすために”空腹”は重要なキーワード

前述の引用文の中に”ミトコンドリア”という言葉が入っていますが、このミトコンドリアを増やすという事も、フルマラソンを走る上で非常に大事なんです。

ミトコンドリアというのは

酸素を利用してエネルギーを作る工場

です。

工場が少ないと、いくら酸素を体内に入れてもエネルギーが作られない。

走り始める初期の頃は、この工場となる”ミトコンドリア”が少ないので、すぐにエネルギー不足になってバテる、というのも一因としてあります。

じゃあこのミトコンドリアを増やすには、どうしたら良いのか。

・持久性トレーニングで遅筋のミトコンドリアが増え、高強度のインターバルで速筋のミトコンドリアが増える

・飢えや寒さに自分をさらす

上記のうち、例えば朝ランでジョグをするなら「遅筋のミトコンドリア増」と空腹なので「飢え」に該当しますよね。

人間が飢えや寒さにさらされると、長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)が働きます。

この遺伝子が働くと、体内の細胞をスキャンして修復したり、ミトコンドリア増やしたりします。

断食で体の調子が良くなるのは、サーチュイン遺伝子の活動やミトコンドリアの増加が原因であるとも言われています。

朝食後だと飢えていないので、ジョグで「遅筋のミトコンドリア増」は狙えますが、空腹による相乗効果は期待出来ません。

練習はどれだけ様々な相乗効果を考えてやるのか、という事が大事でしたよね。

ミトコンドリアについては、以下の記事で詳しく解説しています(^^)

【解説動画】一体マラソンに何の関係が!?ミトコンドリア まさか超大事とは ブログの内容は、以下の動画でも解説しています! ミトコ...

朝ラン実施の注意点

1.空腹なのでハンガーノックに注意

ハンガーノックとは、運動の途中でエネルギー不足になって急に力が抜けたりして動けなくなる事を言います。

※ハンガーノックとは

登山、サイクリングなど長時間の運動の途中で急に筋力が抜け、動けなくなる現象。肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンが消費し尽くされて起こるという。ぶどう糖など甘いものをとるとなおる。

デジタル大辞泉

万が一朝ラン・空腹の状態で走っている際にハンガーノックになってしまったら、動けなくなって危険です。

補給食のジェルなどを持参して、いつでも補給は出来る状態にしておく。

小銭や電子マネーを持参して、いつでもコンビニに立ち寄って水分や栄養補給出来るようにする。

そんな準備をして、異変があったら補給と給水をして空腹・枯渇ランは中止する。

その点は注意してくださいね(^^)

2.早朝の高強度練習は出来るだけ控える

ひとつは冬などの寒い季節、人間の身体は縮こまり、血圧が上昇する。その状態で身体が温まる前に急に強い運動を開始すると心臓に負担がかかってしまう。

2つ目は、低血糖状態では脂肪がエネルギー源となり、その時に生成される遊離脂肪酸が急激に増えると心臓に負担がかかるというメカニズムだ。

マラソンの科学

早朝は身体がまだ激しい運動の準備が出来ていない事が多く、心臓に大きな負担がかかると言われています。

早朝に閾値走やインターバルを実施した事があるランナーであれば分かると思いますが、日中や夜に実施するよりも、同じペースなのにキツいイメージはないでしょうか。

私のラン友さんで、早朝のポイント練習で倒れてしまい、亡くなった方がいらっしゃいます。

朝のスピード練習との因果関係は不明ですが、怖く感じます。

1000回の早朝ポイント練習のうち999回は大丈夫でも、非常に危険な1回が明日来るかもしれない。

なので私は、早朝に閾値走やインターバルなどのスピード練習はやらないようにしています。

少し強めの練習をするにしてもアップを入念に実施して、Mペース(マラソンペース)を超えるスピードでは走らないようにしています。

まとめ

最後は少し怖い話になってしまいましたが、適度な負荷の朝ランは相乗効果が期待出来ますし、私も週に1~2回は早朝に走るよう心がけています。

しかし、一番の難題は

早朝に起きるのが辛いこと(笑)

これさえクリアすれば、もう8割方成功と言っても過言ではないかも^^;

早く寝ても遅く寝ても、早朝はキツいw

もしちゃんと起きれたら(笑)、走りに出る前は夜の間に軽い脱水になっている事が多いので

水や麦茶を1杯飲む

事を、私は必ずしています。

ここでスポドリや糖分の入った飲み物・ジェルは基本ダメですからね。

せっかく糖が少ない状態で相乗効果を期待出来る早朝ランなのに、糖を補給したら昼ランと同じようになってしまいます^^;

そして早朝ランの走り出しは、ごくゆっくりと。

私はいつもLSDペース(キロ6分前後)で走り始め、自然にペースが上がるまでアップジョグの感覚で楽に走っています。

朝ランの効果をまとめると

1.脂肪を使う能力を上げる

2.脂肪燃焼効果が高いので、ダイエットに最適♪(笑)

3.エネルギー工場であるミトコンドリアの大きな増加が期待出来る

という事になります。

慣れていない方は、まずいつも走ってる距離の半分~7割ほどで様子を見ながら、慣れてきたら距離や時間を伸ばしてみてください♪

そして上級者の方は早朝のロング走を実施する事で、日中・しかもエイドで補給や給水などをしながら走れる、早朝ランよりずっと条件の良い本番では、大きな効果を発揮するはずです(^^)

なお早朝ランから帰宅したら、なるべく早く(出来ればラン終了から1時間以内に)朝ごはんをしっかり食べて、糖質やタンパク質を補給してくださいね。

練習後の適切な補給が超回復をもたらし、あなたを一層強くしてくれます。

是非試してみてください♪

げん

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  • いつも勉強させていただいています。私は早朝(6時〜)に練習をしています。
    早朝にTペース走を行う際は、設定はやや落としてもよいのでしょうか?
    個人的にはT〜Mの間で20分でも十分に負荷がかかると思われますが、ご意見をお聞かせください。

    • バスラさん、お返事が遅くなり、失礼致しましたm(_ _)m
      いつもブログを見てくださり、ありがとうございます★

      朝起きてすぐ、早朝のポイント練習ってキツですよね~~~!!超分かります(笑)
      「こりゃ、気温が高い時と同じく、早朝は設定落とす基準があるだろ~」
      と思ってダニエルズを読み込みましたが、一切そのような記載は無いんですよね~ww

      早朝は身体が充分に"起動"しておらず、ジョグならまだしも閾値走などのスピード練習の負荷が大きいのは確実です。
      もしバスラさんがT~Mの間で充分な負荷があると思うのであれば、それで全く問題ないと思いますよ。

      単なる個人の感想を言えば、Vo2maxが効果的に上昇する、あるいは乳酸処理能力が効率的に高まるスピード域は、早朝のスピードが出しづらい状態でも変わらないと思います。
      なのでIペースはIペース、TペースはTペースの設定範囲が本質的には適切かなと。
      だからキツくて大変^^;

      なので私は早朝にスピード練習は実施せず、主にMペース以下で「早朝でもさほど影響されない速度域」でしか練習していませんよー。

  • げんさん、こんにちは。
    最近、朝ランなの途中で異常心拍でくるしくなったことがあり、貧血なのか心配になり、血液検査しましたが、異常なしとのこと。
    色々調べてみたら、どうも低血糖の症状のようです。空きっ腹で高強度のトレーニングをすると、低血糖になるリスクが高いのですね!
    高強度トレーニングの前にはエネルギージェルなど補給するようにします。
    原因がわかり、よかったです。脂肪燃焼効果を狙って、空きっ腹のロング走などガンガンやっていましたが、補給もちゃんとやるようにします。

    • tokuさん、こんにちは!お返事遅くなりましたm(_ _)m

      早朝は低血糖になりやすいですので、補給食の持参やコンビニのあるルートを走るなどの工夫も大事になりますよね~。
      検査でなにも無くて良かったです★