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「フルマラソンには30km走だ」
そういう言葉は本でもweb上でもYouTubeでも、いくらだって転がってます。
もう聞き飽きた、陳腐な言葉かもしれません。
それでもその言葉を信じて、何度も何度も30km走をやりますよね。
でも全く効果らしきものが現れない時間が続きます。
いくら練習で30km走しても、余裕を持って終える日なんて一向に訪れない^^;
速く走っても、ゆっくり走っても、30km走ればやっぱり疲れる。疲労困憊。
レースでも、毎回30km以降はペースダウンしていく…
「もうオレ(私)はスタミナが付かない人なのかもしれない」
「素質が無いんだ」
と諦める人がいる一方で、まだ諦めず、こんな事も考えませんか。
「もしかして…30kmという距離だけでは足りないのでは」
ほら!思い当たるでしょ!(笑)
今回は私がどんなに
「30kmはいいですよ!」
と言っても疑惑の念を持っている(笑)、初フルサブ3を狙うランナーさんからのご質問です♪
ブログの内容は、以下の動画でも解説しています!
いつもブログを拝見しています。
秋に開催予定の東京マラソンで、初フルサブ3を狙っています。
今後18週連続30km走をしながら、暑さとも相談しつつ、徐々に4’10/kmペースに適応していこうと思っていますが…
30kmまでの距離走を繰り返すことで、フルを走るスタミナって本当につくものなんでしょうか?
毎週30kmなのか、隔週35kmなのか、毎月42kmなのかで迷ってます。
練習効果(フルを設定ペースで走り切れるスタミナ強化)を得られる最低強度は本当に30kmなんだろうか?
もう少し伸ばさないと効果を得られないんじゃないか?
とはいえ距離を伸ばすには頻度を落とさざるを得ない…という狭間で葛藤しています。
ご教示頂けましたら幸いです。
★質問者さんの走歴は1年
★1年前は5km全力走で23分04秒(4’37/km)だった
★今年に入って(3月19日に実施した)閾値ペースが、21分15秒(4’15/km)までアップ
★4月22日には閾値が19分46秒(3’57/km)
★5月14日には閾値が18分41秒(3’44/km)
★6月2日には閾値が18分12秒(3’38/km)
★あっという間に階段を駆け上がってきた
こんなに急激な走力アップ、どんな練習をしているのかと言うと
水曜・金曜に強度の高いポイント練習を実施、日曜日にEペースでの30km走という理想的なメニュー。
こりゃ速くなるハズです^^;
フルマラソン未経験にも関わらず、これほどの練習メニューを計画できる情報収集能力や、それを実行出来るモチベーション、それに耐えられる身体の強さやコンディショニング。
大変に優秀な方だとお見受けします。
書籍やweb上で様々な情報に触れ、自分で取捨選択して練り上げた、ご自身にとって最適だと考えるメニューに違いありません。
これは当初、バカの一つ覚えのように閾値走と30km走ばかりだった私なんかとは、スペックが全く違う(笑)
「ほんとに30km走でスタミナが付くんかいな」
と、疑われて当然です(笑)
ただ質問者さんが疑問に思ってること
「30kmでは足りないのではないか」
この不安は、多くの市民ランナーがある程度30km走の回数を重ねても全くスタミナがついてきた実感がわかない時に、必ず考える事ですよね^^;
「35km走とか40km走じゃないとダメなんじゃ…」
って。
質問者さんは、秋の東京マラソンで初フルサブ3を狙うハイレベルなランナーとはいえ、フルマラソン未経験ランナー。
このまま30km走だけを続けていけば、秋の初フルマラソンでペースダウンを抑えて走れるようになるのか。
それとも35km走や40km走をやった方が良いのか。
はたまた違うアプローチがあるのか。
解説していきます♪
10kmや20km走る程度では、フルマラソンに対応出来るスタミナ養成がしにくい、という事ですよね。
なるべく本番と同じ距離に近づけた方が、特異性の原理によって効果的な練習になり得ると。
距離だけじゃなく、スピードも近づけた方が単品練習として見れば、より良い練習ということにもなります。
つまり本番のフルマラソンが、最も効果的な練習とも言えますが…
42kmを走るのは怪我と疲労のリスクがあるので、なかなか実施しづらい。
なのでみんな、色々と工夫して練習するわけですよね。
マラソンは20kmや25kmから結構キツくなってきたりします。
練習でも本番でも、25km~30kmの5kmより、30kmから35kmの方が断然キツい。
さらに進めば、1kmごとに受けるダメージは格段に大きくなってきます。
なので
「練習なら30km前後くらいが丁度良いんじゃないの?」
「どんな距離でも本番の7割くらいの距離を走っておけば、レースでは最後まで何とかいける可能性が高くなるよね」
そういう感じなわけですね。
でも私たち市民ランナーは、30km以上の距離を走ろうとしたりします。
なぜか。
これは端的に言うと
不安や、30kmじゃダメなのではないかという心配
からですよね。
何度30km走やっても、フルの終盤にペースダウンする。
いつまで経っても同じ状態が続く。
これは意味があるのか、無駄なんじゃないかと。
あるいは
(自分には素質がないんじゃないか)
(いや、30kmじゃ足りないのかもしれない)
(35km…いや、40km走とかが必要なのかも)
(まてよ。点としての練習効果は高いかもしれないけど、怪我や疲労のリスクは高まる)
(線として練習は考えなきゃダメか)
そんな葛藤が心の中で湧き上がり、それでも何度も30km走やセット練などを繰り返すわけですよね。
時には35km走をしたり、早朝無補給・無給水の早朝ロング走。
場合によっては、本当に40km走ってみたり。
愛すべき、健気な市民ランナーの皆さまは、本当に様々な工夫をこらして努力しています。
質問者さんの不安は、フルマラソン未経験の状態で出てきたもの。
「42kmに満たない距離の練習で、30km程度の距離で、果たして42kmを走れるスタミナがつくのか」
「貴重な時間を割いてやる練習。最高の効果を得られるモノでないと、効率的でないと納得してできない」
このようにも感じ取れます。
非常によく分かります。
私たちは何か努力をする時に、
これ位の努力をすれば、ほぼ間違いなくこうなる
そんな基準を重要視します。
・宅建士なら300時間~400時間勉強すれば合格濃厚
・FP(ファイナンシャルプランナー)2級は150~300時間
・簿記2級なら100時間以上
とかね。
努力の先に得られる成果が見えていないと、どこまでやったら良いのか分からないし、費やした努力の時間や労力が無駄になる可能性だってある。
それは避けたい。誰だって努力が水の泡になるのはイヤだ。
つまり暗中模索でどうなるかわからない努力を続けるのは、普通はなかなか出来ないという事です。
ここがスタミナを養成するにあたって、難しいポイントになります。
普通は走り始めて1年ほどでフルマラソンをイーブンで走るスタミナを獲得するのは、マラソンに繋がるようなアクティビティ(登山やサイクリング)経験者でなければ、なかなか難しいんです。
スタミナは本当に、少しずつしかアップしていかない。
そう簡単に攻略出来たら、誰もマラソンにハマらない(笑)
難しいから、みんな山の頂上を目指すように、長い期間をかけて頑張る。
そしてマラソンバカになっていく(笑)
シューズ沼にもズッポリハマって課金地獄に堕ちるw
こういう地獄のルーティーンが用意されてるわけでございます^^;
質問者さんは初フルサブ3を目指しているので、充分”普通”の人じゃないですよね(笑)
初フルサブ3という高い目標に向けて、心血管系や活動筋・乳酸性作業閾値・Vo2max(最大酸素摂取量)・ランニングエコノミーなどなど、全てを高いレベルで揃えていこうという意図を感じる練習をしています。
30km走もやっているので、継続して練習すれば、遅かれ早かれフルマラソンを走るスタミナは確実に付きます。
私は30km走を始めて実施回数は26回・1年1ヶ月後に、ほぼイーブンで走れるようになったというのは何度かお話してきました。
ただそこには、常に早朝の空腹時に無補給・無給水での30km走だったり、ロング走翌日に時間走でセット練にするなど、効果を重ねる”合せ技”も、いくつかありました。
無理なく怪我なく、無茶な疲労をためることなく安全に、ある程度の期間を持ってスタミナを付けるなら
閾値走・インターバル・Mペース走・ロング走
もうこれで充分すぎるくらい。
数年で、相当のレベルまで引き上げられます。
ただ秋までに確実に”おおむね”イーブンで走りたいのであれば、の話です。
実際には4’10/kmで無理のない巡航が出来れば、”おおむねイーブン”でサブ3は出来ます。
4’10/kmで巡航すれば、ハーフ通過は1時間28分。
後半ハーフは1時間31分59秒までかけられます。
つまり後半ハーフを3分59秒落としてもサブ3達成。
この短期間で”完全イーブン”は難しくても、これなら短期間の鍛錬でも効果的にやれば、練習次第でいけるかもしれない。
そのためには、もうちょっと工夫も必要かもしれません。
すでにスピード練習の効果で、閾値は私と同等、2時間50分切りを狙えるようなレベル。
あと重要なのはスタミナなので、スピ練を抑え目にして若干スタミナ寄りの練習をする週を設けるのもアプローチ方法の1つ。
35km走・40km走を試しにやってみるのも、良いと思います。自分で実際にやってみないと、分からない事はあります。
私も実際にMペースの35km走をやってみて、初めて分かった事がありますしね。
あるいは、Eペースでの30km走翌日は、時間走などでセット練。
グリコーゲンやミトコンドリア・脂肪の利用を意識した、早朝枯渇ロングなどで一層の練習効果。
早めの段階でMペースでの20km~30kmを入れていき、初フルなので、レースペースでの感覚や脚筋力の変化を感じたり、長距離に必要な全般的な活動筋の強化も図れる。
翌日は時間走などで、抜かりなくセット練。
また30kmを変化走で実施するのも良いです。
これは私が2020年3月に2時間50分を切る際の練習で、中心に据えて実施していた練習。
乳酸をエネルギーに変える”乳酸酸化能力の向上”など練習効果を詳しく話すと長いので、これはまた変化走の記事を作りますが、効きます。
イーブンで走る本番の30km地点ごときでヘタれなくなります。
2020年12月に福岡国際を2時間7分5秒で優勝した吉田裕也選手も、変化走をメインにやってましたね。
https://note.com/yuya__ysd/n/nd4aee2593cf9
秋に初フルサブ3という高い目標を掲げるのであれば、一般的な、長期間かけて安全にスタミナ養成するような
30km走とハーフを隔週で繰り返す
のではなく、ロング走1つ取っても残り16~17週で、様々な刺激を身体に与える、そんな意識で取り組む。
これには相当高いモチベーションと強い身体、そして身体のメンテナンスやケア・適切な休養や、突発的なトラブル(痛みの発症)に対応する柔軟性のある考えも必要。
キツい練習にはなりますが、通常より断然早くフルをほぼイーブンで走る能力を獲得する、その可能性はグッと高まると思います。
ただ故障と疲労のリスクは上がるので、そこは要注意ですからね( ´ ▽ ` )
頑張ってください!
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私の場合、初フルの3週間前35km走、
その2週間前30km、さらに2週間前30km走でした。
35km走、4分20秒/kmくらいで走っていてサブ3行けたので、
質問者の方もそんな感じでも行けそうな気がしますね。
あ、初フルサブ3の人がいらっしゃいました(笑)
人によって「これでサブ3いける」「いや、いけない」の判断は千差万別ですからね。
質問者さんのポテンシャルや運動歴を全て把握しているわけでもないので、可能性を少しでも高めるためのアドバイスに徹しました。
ただ学生時代に陸上部でもなかった質問者さんが、短期間にこれほどの走力アップをしているのは
「こういう人が今後2時間30分切りとかを目指せるランナーになるんだろうな」
と思わずにはいられませんでした。