【超基礎!】Eペース走とは何か その練習効果とジョグとの違い

【解説動画】Eペース走 どんな効果があるの?ジョグとの違いはある?どんな時にやるの?その実施の目的と効果について

ブログの内容は、以下の動画でも解説しています!

Eペース走とは何か

Eの文字はイージー(Easy)の略であり、強度はVo2maxの59%~74%、HRmaxの65%~78%程度である。~中略~

イージーランニングは、トレーニングを始めるとき、あるいは数週間・数ヶ月の休養からランニングに復帰し基礎を築くときには、格好のトレーニングである。

出典:ダニエルズのランニング・フォーミュラ

Eペースランニング(Eペース走・イージーランニング)とは、ダニエルズのランニング・フォーミュラという書籍の中で使われているランニング専門用語であり、Eの文字はイージー(Easy)の略です。

ダニエルズ式では、全てのランニングの基本となるのがEペースであり、運動強度は最大心拍数の65%~78%程度になるとしています。

大多数のランナーは、練習の大半をイージーペース、つまり会話ができ、いつでも楽に走りきれるペースで行っていると思う。

出典:ダニエルズのランニング・フォーミュラ

現行のダニエルズのランニング・フォーミュラ第3版からは、Eペースに幅を持たせるようになりました。

そのおかげで、従来の”Eペースは速すぎる”という感覚は多少緩和され、Eペースの下限(最も遅いペース)であれば”ジョグ(ジョギング)”に近いペースにも感じられます。

VDOT別のEペースは以下のようになっています。

VDOT5km10kmハーフフルEMTIR
3030'4063'462'21'044'49'177'27-8'147'036'24-
3129'5162'032'17'214'41'577'16-8'026'52614'-
3229'0560'262'13'494'34'597'05-7'526'406'05-
3328'2158'542'10'274'28'226'55-7'416'305'56-
3427'3957'262'07'164'22'036'45-7'316'205'48-2'00
3527'0056'032'04'134'16'036'36-7'21
6'105'40-1'57
3626'2254'442'01'194'10'196'27-7'116'015'331'54
3725'4653'291'58'344'04'506'19-7'025'535'265'001'51
3825'1252'171'55'553'59'356'11-6'545'455'194'541'48
3924'3951'091'53'243'54'346'03-6'465'375'124'481'46
4024'0850'031'50'593'49'455'56-6'385'295'064'421'44
4123'3849'011'48'403'45'095'49-6'315'225'004'361'42
4223'0948'011'46'273'40'435'42-6'235'164'544'311'40
4322'41
47'041'44'203'36'285'35-6'165'094'494'2698
4422'1546'091'42'173'32'235'29-6'105'034'434'2196
4521'5045'161'40'203'28'265'23-6'034'574'384'1694
4621'2544'251'38'273'24'395'17-5'574'514'334'1292
4721'0243'361'36'383'21'005'12-5'514'464'294'0790
4820'3942'501'34'533'17'295'07-5'454'414'244'0389
4920'1842'041'33'123'14'065'01-5'404'364'203'5988
5019'5741'211'31'353'10'494'56-5'344'314'153'5587
5119'3640'391'30'023'07'394'52-5'294'27
4'113'5186
5219'1739'591'28'313'04'364'47-5'244'224'073'4885
5318'5839'201'27'043'01'394'43-5'194'184'043'4484
5418'4038'421'25'402'58'474'38-5'144'144'003'4182
5518'2238'061'24'182'56'014'34-5'104'103'563'3781
5618'0537'311'23'002'53'204'30-5'054'063'533'3480
5717'4936'571'21'432'50'454'26-5'014'033'503'3179
5817'3336'241'20'302'48'144'22-4'573'593'453'2877
5917'1735'521'19'182’45’474'19-4'533'563'433'2576
6017'0335'221'18'092'43'254'15-4'493'523'403'2375
6116'4834'521'17'022'41'084'11-4'453'493'373'2074
6216'3434'231'15'572'38'544'08-4'413'463'343'1773
6316'2033'551'14'542'36'444'05-4'383'433'323'1572
6416'0733'281'13'532'34'384'02-4'343'403'293'1271
6515'5433'011'12'532'32'353'59-4'313'373'263'1070
6615'4232'351'11'562'30'363'56-4'283'343'243'0869
6715'2932'111'11'002'28'403'53-4'243'313'213'0568
6815'1831'461'10'052'26'473'50-4'213'293'193'0367
6915'0631'231'09'122'24'573'47-4'183'263'163'0166
7014'5531'001'08'212'23'103'44-4'153'243'142'5965

Eペースは

1.日常的なランニング

2.ロング走

3.ポイント練習を実施する際のウォーミングアップ

4.クーリングダウン

5.インターバルのつなぎ(リカバリー)

このようなランニングは、全てEペースで行うべきという記載があります。

しかし私たち一般市民ランナーの練習感覚として、Eペースの下限であっても

「少し速いな…」

と感じる場面もあるのではないでしょうか。

特に次のポイント練習に向けて疲労を抜きつつ、”つなぐ”ためのランニングをしたい場合など、鍛えるというよりも回復に主な目的がある場合などです。

スピードの範囲の広いEペース、ジョグとの効果の違いはあるのか、そんな事についても考えていこうと思います。

まずはVDOTを指標とした練習の基本となる、Eペース走の効果について勉強していきましょう♪

(自分のVDOTが分からない方は以下の記事を参照ください)

【解説動画】練習の基本 VDOT 初心者にもわかりやすい ブログの内容は、以下の動画でも解説しています! VDOTとは VDO...

Eペース走の効果について

Eランニングの効果は、ケガに対する耐性をつくる、心筋を強化する、血液の酸素運搬能を改善する、筋繊維をランニングに有利な性質に導く、ということである

出典:ダニエルズのランニング・フォーミュラ

Eランニングの効果は

1.ケガに対する耐性をつくる

2.心筋を強化する

3.血液の酸素運搬能を改善する

4.筋繊維をランニングに有利な性質に導く

書籍では以上の4点を上げています。

これを見て、少し「むむっ…!」と思った方がいれば”ハシルコトマニア”です(そんなことはないか笑 走ることについて勉強されている人、という事ですね)

ジョグの効果について記載した、こちらの記事

マラソン練習で一番多くの時間と距離を費やすであろう「ジョグ(ジョギング)」。 「疲労抜きジョグ」「回復ジョグ」「強化(...

この記事の中で、ジョグの効果をリディアードさんの言葉を引用して勉強しました。

有酸素トレーニングをつづけていくと、まず心臓が肥大しその機能が向上する。つまり、1回の収縮でより多くの血液を全身に送り、強い運動をしたければ、より早く収縮できる心臓をつくれるのである。

リディアードのランニング・バイブル

“心臓が肥大し、その機能が向上する”という文言や、

有酸素トレーニングで体力をつけてくると、たとえば安静時に毎分4Lの血液を送り出してきた心臓は、運動時にはその8~10倍の血液を送り出せるようになる。毎日長時間走りつづけ、適度な負荷を循環器系にかけていくと、着実にその機能は向上し、より多くの血液を身体のすみずみにまで送れる身体になっていくのである。

リディアードのランニング・バイブル

血液の酸素運搬能を向上させるような記述がありました。

これはダニエルズさんがEペースで得られる効果の

2.心筋を強化する

3.血液の酸素運搬能を改善する

と同じですね。

加えて、

1.ケガに対する耐性をつくる

4.筋繊維をランニングに有利な性質に導く

についても、リディアードさんが推奨する”最高安定状態(閾値)の70%のジョグ”や”心拍100回/分のジョグ”によっても、充分な効果を得ることが出来そうです。

では、Eペース走とジョグ(ジョギング)の効果の違いは何だろう?という疑問が出てきます。

Eペースと、それより遅いジョグ(ジョギングの)の効果の違いは何だろう

ダニエルズさんのEペース下限(最も遅いペース)と、リディアードさんの最高安定状態(閾値)の70%のジョグはペースが近いですが、ダニエルズさんはEペース下限よりも遅いジョグの説明については書籍にありません。

リディアードさんは

安静時の心拍数が50回/分から60回/分の選手なら、それを100回/分まで上げるようなトレーンングをしただけで、心肺機能は発達するのだ。つまり、どんなペースのランニングでも、最高安定状態でのランニングほどではないが、それなりの負荷を心肺機能に与え、その発達を促すことができるのである。

リディアードのランニング・バイブル

私はちょうど安静時の心拍数が50回/分前後ですが、心拍100回/分というのは5’30/km~6’00/kmほど。

このペースは”最高安定状態の70%”よりも少し遅いペースになりますが、それでも効果はあるとしています。

(ただし、効率よく短期間に心肺機能を上げていくなら”最高安定状態(閾値)”に近いレベルのスピードで走った方が良いという記載は、リディアードさんの書籍にもあります^^;)

ジョグやEペースは、大きなくくりで言えば同じ有酸素運動。

そのスピードの範囲は広いですが、示される効果は概ね同じ。

ただし、その範囲内でMペースに近づくほど身体の動きはより実践的になり、心拍数は上がっていって運動強度も高くなります。

着地衝撃も増すでしょうし、糖の消費も早くなり、よりポイント練習に近い形のランニングになって”マラソンが速くなるための練習”になって鍛えられるのは明らかでしょう。

それに伴って当然ながら疲労は大きくなります。

軽いポイント練習としてEペース上限で実施するのか、閾値走やインターバルなど、翌日以降に実施するポイント練習に向けた”つなぎのランニング”や”疲労抜きのランニング”なのかを明確に分けて実施する必要があります。

走っていて調子が良くなってペースアップ、つなぎや疲労抜きのジョグのつもりが疲れてしまい、マラソンで速くなるために最も大事な”ポイント練習”や”ロング走”に悪い影響(疲労残りなど)を及ぼしては、本末転倒です^^;

まとめ

有酸素運動と無酸素運動(※)の境界線が”閾値”という事になりますが、(ペースの範囲は広いものの)閾値より遅い有酸素運動の効果は概ね同じであると考えれば、ダニエルズさんの

Mランニングの主な効果は、メンタル的なもの、つまり設定したペースで走る自身を高めるものと言ってもいい。生理学的な効果はEランニングとまったく変わらない。

ダニエルズのランニング・フォーミュラ

「生理学的な効果はEランニングとまったく変わらない」というこの表現も、ある程度の納得を持って受け入れられるかもしれません。

(※)無酸素運動とは 「これは本当に酸素を取り入れない(呼吸をしない)でする運動という意味ではなく、あくまでも運動の強度が高いために酸素を使うことができず結果として酸素を必要としないでできる運動のことである」Wikipedia

有酸素運動の範囲内でMペース走に近いスピードになるほど、心拍数・身体の動き・着地衝撃・糖の消費などは上がります。

従って、よりマラソン向けの実践的な練習(ポイント練習寄り)になるため疲労は増します。

これは有酸素運動で得られる効果に加えて、マラソンが速くなるための練習効果は一定程度高くなる、という理解で良いと思います。

ポイント練習として実施するEペースの時は、しっかり30分~150分間。

イージーランニングを行う場合は、最低30分間続けるとよいだろう。同時に、持続ランニングの最大限は、(ウルトラマラソンの練習でないかぎり)マラソントレーニングであっても150分間にしたい。

ダニエルズのランニング・フォーミュラ

つなぎや疲労抜きの時は、時間やスピードはさほど気にせず気楽に、身体から疲労物質を流すような感覚で走れれば充分かと思います♪

げん