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フルマラソンのレースに数多く出る事は、タイム短縮への近道となるのか?【読者からの質問6】

今回のご質問は、昨年の11月に初のサブ3.5を達成し、その後、今年の春までにフルマラソンのベストタイムをどんどん更新すべく、5ヶ月間で5レースのエントリーをして3時間20分切りに挑戦してきたものの、3時間20分の壁を越えられずに悩んでいるランナーの方からです。

「フルマラソンを走る事がフルマラソンのタイム短縮を目指す上で、最高の練習になる」

そう考えて、とにかくフルマラソンのレースに数多く出場しているものの、

・タイムが伸び悩んでいる

・相変わらず30km以降の終盤にペースダウンしてしまう

・巡航ペースが速くならない

・走れば走るほどタイムが落ちるような…

そのような状況に陥ってる方、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

「辛い思いして頑張って、一生懸命フルマラソンのレースにたくさん出てるのに…」

と落ち込んでモチベーションはダダ下がり。

「こんなんだったら、マラソンから少し距離を置こうか…」

というようなメンタルになってしまう危険性すらあります。

そんな時にどうしたら良いのか。

ランニングライフ存続の危機かもしれない、切実な悩みです。

フルマラソンのレースに数多く出る事は、タイム短縮への近道となるのか

読者からのメール内容

現在フルマラソンのベストが3時間21分のSと申します。

先日、フルマラソン(さが桜マラソン)で3時間20分を何とかして切りたいと思っていましたが、サブ3.5はしたもののPB達成や3時間20分切りはなりませんでした。

3時間20分台、これで5連発です(笑) 福岡⇒神戸⇒青島太平洋⇒北九州⇒さが桜…
この秋~春は多くのフルマラソンを走ってきましたが、どうしても3時間20分の壁を越えられません。

そして、毎回30kmもしくは35kmあたりから崩れるパターンが同じなんです。

さが桜マラソンは絶好のマラソン日和。しかもフラットコース。

それでもPBも出せませんでした。

非常に悔しいです…。

一度でいいから、げんさんのように、42.195kmを速いペースで一定して走ってみたいです。

と同時に、もう一度げんさんのブログを読み返してみます。ヒントがあるはずなのに。

私はそれを読み飛ばしているのかもしれません。

今日の結果を受け、あまりにもタイムが変わらないし、一旦Runから離れようかと思ったのですが、せっかくここまでやってきたし、年齢的にも努力してもタイムが伸びるのはあと数年かと思っているので、今日はタイムを忘れてさっさと寝ます(笑)

これからどのようにフルマラソンのレースに向けて取り組んでいったら良いか、アドバイスを頂けたら嬉しいです。


走力を底上げするのは、レースではなく日々の練習です

Sさま

こんにちは(*^^*) メッセージありがとうございます!

さて、今回のSさんの結果。フルマラソン5連発で3時間20分台、なかなか記録を伸ばせないという件についてです。

福岡(11/11)・神戸(11/18)・青島太平洋(12/9)・北九州(2/7)・さが桜(3/24)。

凄いレース間隔!福岡と神戸は2週連続^^;

これだけのレース。疲労抜きや調整を考えると、レースとレースの間は疲労抜きと調整が主で、練習はあまり積めない事と思います。

単純に申し上げて「レースの入れすぎ」に、タイムが伸びない原因があると思います。

フルマラソンのレースを数多く走ると、フルマラソンに強くなるような気がしてはいないでしょうか。

私の場合、サブ3.5を達成した2ヶ月後に3時間25分切りを目指しましたが、失敗しました。

前のレースから2ヶ月では、疲労抜き+調整であまり本格的な練習が出来ず、さほど走力的には変わっていなかったのだと感じました。

その失敗を経て、それから半年間の練習で鍛えて無事に3時間20分を切りました。

私のフルマラソン記録更新のペース、サブ3.5を達成した後からは、一貫して「半年に1回(春と秋に)PBを狙うフルマラソンを走り、5分ずつ記録更新」でした。

「半年(ないしは1年)で大幅に記録更新する!オレはやる!」

というのはラン友のウケも良いし自分も盛り上がるのですが、年齢が若かったり、走力的によっぽど伸びシロがあって伸び盛りのマラソン初期段階でないと難しく、怪我や体調不良の可能性が一気に高まります。

「おぉ~!凄い!いけるよ~~!応援してるよ!!」

なんて言って、悪気は全く無いけど盛り上げてくれたラン友、あなたが大怪我しても、ラン人生を棒に振っても責任は取ってくれません。

強いポイント練習やガチで挑むレースを短いスパンで次々に重ね続ける必要もあるので、燃え尽き症候群になる事もあるでしょう。

そんな方法で高みに到達出来るランナーの方も、当然いらっしゃいます。

でも皆が出来るかと言えば…虚弱の私には難しかったです^^; 結局自分は5分ずつ更新の石橋を渡るプラン(笑) それでもちょいちょい、軽めの怪我はあります。

レースが続くと本格的に追い込む練習がしづらいと、個人的には感じています。

レースに向けてあまり調整せずにレースを練習代わりにする川内選手のようなタイプなら良いですが、普通はレースに向けて調整する期間や疲労を抜く期間があるので、本格練習は出来ません。

フルマラソンの練習はフルマラソンのレースが一番!という方もいらっしゃいますが、私は日頃の練習の積み重ねが一番だと考えているタイプです。

一度フルをガチで走ると、疲労抜きに日にちがかかって日々の練習を途切れさせてしまいます。練習は点では無く「線」で考えるのが基本です。

自分の弱点克服・走力のベースを上げるような本格練習を積み上げるためには、本気で臨むフルマラソンのレース間隔を、ある程度開けないと出来ないと思っています。

30km以降にペースダウンする弱点を強化するにはフルのレースを何本も走るのではなく、今だったら秋のフルマラソンに向けて走力を上げるための練習を何ヶ月かかけて積む事です。

その練習計画の中で、スピード練習代わりに5kmや10km・ハーフなどのレースを入れても良いですが、調整も1ヶ月のテーパリングなどせずに臨みタイムは追求せず、練習の一環として走るのが良いと思います。

ロング走などの大事な練習を、自分の最大の目標では無いレースのために飛ばしてはいけません。

フルマラソンのタイム短縮が目標であれば、5kmや10km・ハーフなどのレースの為に全力で3週間かけて疲労抜きしたりするのは勿体無いです。

その調整期間の間に伸びる、フルマラソンの為の練習が出来なくなってしまいます。

私はいつでもそんな感じです。

私の最大の目標は「フルマラソンのタイムを伸ばしたい!」です

その一心でスピード練習代わりに駅伝や5km・10km・ハーフなどのレースには出ますが、たいして調整しません。フルのための練習です。

なのでハーフのレース1週間前でも、その後にPBを狙うフルマラソンのレースが控えていればMペースの30km走なども普通にやります。

その影響でレースではグデグデ、

「げんさん、女の子と話しながらファンランでもしてたの?( ´,_ゝ`)」

なんて言われるタイムの事も多少ありますが(笑)

でも、ハーフのタイムが悪くなる可能性があっても気にしません。ハーフのタイムはフルを走る為の目安にしている程度で、今でもたいして追求していません。

気持ち良く走るために、レース前2~3日は連続ランオフしたりはします。

今回のさが桜マラソン前も疲労抜きはしていませんが、レース前最後の3日間は連続ランオフしたように、です。

半年~1年などのスパンで継続的に正しくスタミナを養成する練習を継続し続けられれば、誰でもフルマラソンをイーブンで走るようなスタミナは身に付けられると、個人的には思っています。

私たち仕事や家庭を持つ社会人にとって、ロング走などの時間を取って「継続」する事が一番難しい訳ですが^^;

【解説動画】30kmの壁 突破!効果的な30km走のやり方【前編】意外なペース 頻度はどれくらい? ブログの内容は、以下の動画でも解説...

週末でも日中は家族サービスや仕事、朝しか時間が無くても早起きは辛いし寝坊もしますしね。

そうそう、一旦ランから離れるのは勿体ないと思いますよ!

仰る通り、せっかくここまでやってきたのですから。

そしてフルの生涯ベストを狙えるのは、40歳代の私たちにとって、あとわずか数年である可能性が高いです。

今はフルマラソンのレースを数多く走ってきて、心身ともに疲労があると思います。

しばらくはゆっくりお休み頂き、気持ちが上がってきたら秋のフルマラソンに向けてリスタートしてくれたら嬉しいです(*^^*)


秋までの練習計画の例

その上で、もし秋のフルマラソンに向けて気が向けば、参考程度にざっくりとした練習計画例を作りました。

近々、九州から関東へお引越しされるとお伺いしましたので、関東のレース日程を例に。

以前、Sさんは怪我をされやすい身体だとお聞きしました。

まずは4月~5月いっぱいまで、数多く走ったレースで蓄積された疲労を、心身共に取るためにゆっくり過ごし、たまに軽いジョグや他のスポーツをするのも良いと思います。

この期間を軽視してすぐに強い練習を始めてしまうと、ランニング人生を短くしますので要注意です。

少なくとも1ヶ月はゆっくりされてくださいませ。

【解説動画】フルマラソン後の練習再開 何日休めば良いんだ? ブログの内容は、以下の動画でも解説しています! フルを全力尽くして走...

そして6月くらいから練習再開しましたら、ジョグで月間走行距離を増やすことが第一です。

ジョグはランナーとしての土台作りであることはブログで記事にもしております。土台がしっかりすれば、強いポイント練習をしても怪我をしにくい身体になりますよ。

マラソン練習で一番多くの時間と距離を費やすであろう「ジョグ(ジョギング)」。 「疲労抜きジョグ」「回復ジョグ」「強化(...

距離の増やし方も弊ブログに記載しています。現在200km~250km程だという月間走行距離を徐々に上げていって、月間300km前後まで増やしたいところです。

身近なライバルや仲間、あるいはブログなどをやっている走力が近い市民ランナーの方が 「今月は300km走りました!」 とか...

この時に、自分のピッチについても確認してみてください。適切なピッチは180前後ですが、160~170ほどだと怪我のしやすい走り方と言われます。

ピッチが少なければ、脚づくりの期間にピッチを多くするように改善する事です。フルマラソンの終盤でもダメージが蓄積しづらく、怪我のしにくい走り方を手に入れましょう。

【解説動画】ストライド走法とピッチ走法、結局どっちが良いんだ!? 結論はコレだ! ブログの内容は、以下の動画でも解説しています! ...

出来れば走る路面は土や芝が良いですが、無理であればナイキのエピックリアクトなどの厚底シューズは身体へのダメージが少ないと私は感じますし、私のラン友でも怪我をしやすかったランナーが厚底で怪我をしにくくなってます。

【6月・7月】脚作り、ランナーとしての土台作り

6月と7月の2ヶ月間はとにかく脚作り・身体作りでジョグ中心です。

週末ロングもジョグ。速くてもEペースまで。違和感や疲労が出たらランオフしたりクロストレーニングしたり、気を付けて継続してください。

週1か2週間に1度、20分間の閾値走程度のスピード練習を実施すれば充分です。まだこの時期にガチのスピード練習したら、故障する可能性が高いです。

【8月】継続的に平日のジョグと週末ロングジョグ+ポイント練習開始

2ヶ月脚作りをして、8月になったら土台はある程度出来上がると思います。

本格的なスピード練習(ポイント練習)を徐々に始めても良いと思います。
暑い時期ですので、無理せず短い距離でサクッと終わらせる練習が向いています。

フルマラソンを速く走るにはどうしたら良いか。 初心者の方にとっては「日々のジョギング」という練習以外、定期的にやっている特別な練習は無...

ここでもジョグで距離を踏み、週末には出来る限り長い距離のジョグも継続実施です。

【9月・10月】レースに向けた本格的な練習月間

11月下旬(例えばつくばマラソン)がレースの場合。9月~10月はガチ練の時期です。

(10月下旬~11月初旬、例えば水戸黄門漫遊マラソンや横浜マラソンがターゲットの場合は1ヶ月前倒しで8月~9月がガチ練の時期になり、真夏の8月がガチ練の時期に入るので調整の難易度は少し上がります)

スピード練習、セット練習、Mペース走、様々なポイント練習を適切に実施するなら、壊れにくい身体が出来てるはずです。

11月に入ると疲労抜き。テーパリングとピーキングが始まりますので、本気の練習は10月末までになります。

9月・10月は5km~ハーフまでのレースを練習代わりに入れるのも良いと思います。

ただし前述しましたが、そういうレースの為にレース前週のセット練習やロング走を飛ばさないことです。普通に練習を積んでいってください。

レース1ヶ月前~3週間前までに2~3回、3時間20分を切る為のペースである4’35/km~4’40/kmほどの30km~35kmのレースペース走がある程度余裕で出来たら目標達成は濃厚です。

あとは11月に疲労抜きをしっかり実施、調整も万全で本番に臨めば、レースは練習でやったロング走のトレース。

いつもの練習場で走ったように落ち着いていつも通り走れば、30kmを過ぎても、35kmを過ぎても、大きくペースを落とすことなく走り続けられるはずです。

秋のフルマラソンで素晴らしい結果が得られますように!頑張ってください(*^^*)



まとめ

Sさんからは、秋に向けて脚作りから挑戦してみる、というメールを頂きました(*^^*)

いくらスピードがあっても脚が出来ていないとペースダウンが顕著になり、30kmまでに貯金したタイムはみるみる減っていって目標達成する事が出来ないのがフルマラソン。

ランナーとしての土台や脚を作るのはフルマラソンのレースではなく、日常のジョグ練習です。

レースでの巡航スピードを上げるのも、フルマラソンのペースより速く走る、普段のスピード練習です。

時間をかけて身体を作り上げていくのは大変ではありますが、フルマラソンの終盤でも一切ペースダウンする事なく、目標達成のゴールに飛び込む自分を想像して練習に励んでいきましょう~♪

げん

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げん