フルマラソンを走るランナーにとって、30km~35km以降、終盤の辛さは毎度おなじみですよね。
ベテランランナーでも練習不足だと20km~25km位で早くもキツくなってくる事もしばしば。そんなレースは最悪だ。終盤は恐ろしい苦しみが待ってるからorz
「30kmの壁、35kmの壁、何とか克服出来ないものだろうか」
って考えて、多くのランナーがフルをイーブンで走る事を夢見て練習に取り組んでいると思います。
練習不足であれば
「あー、今回は練習してなかったから、脚がやられちゃったな」
で済むのですが、問題は
・ロング走を何度も愚直に重ねてきた
・月間走行距離○○○kmの練習をしてきた
など、とにかくレースに向けてしっかり頑張ってきた時。
練習を頑張っても頑張っても終盤は必ずペースが落ちてしまう人っているじゃないですか。
オレですけど。
「ゆっくり入っても速く入っても、どうせ終盤は疲れて落ちるから、いける時に行く!」
なんていうランナーの声もしばしば聞きますよね。
あ!もちろんロング走をしなくても月間走行距離を積まなくても、フルもウルトラも全くペースダウンしない人、いますよ(笑) 下の記事で、そんなハイパーなお方を紹介していますw
今回はそんな素質ある人に向けた記事ではございませんので、フルをイーブンで走るような方はそっとブログを閉じてください(笑)
さぁ、いっつも終盤グデグデになる我々だけで、30kmの壁について考えてみようではありませんか!w
レース直前、30km以降に失速しないためのコツと仕込みアイテムについては、こちらの記事で。
目次
30km以降、終盤にペースダウンしないように実施する練習の種類は様々です。
・30km走、35km走、場合によっては40km走や、それ以上の距離を一度に走る。
・月間走行距離を300kmはおろか、400km・500km、600km…ってそれ異常w それ以上踏む。
・峠走でガンガン下って着地筋を鍛える。
・週末セット練でフルの距離、あるいはそれ以上の距離を走る。
・LSDでゆっくりと長い距離を踏む。
その他、様々な練習で終盤の落ち込みを少なくするよう、記録を目指すランナーたちは日々頑張っていることと思います。
そして健気で真面目な我々(ですよね笑)は、レース中も終盤に備え、一生懸命に本やネットで勉強した事や、仲間に教えてもらった作戦を実行していきます。
・一定ペースのイーブンで走る。
・アップダウンに合わせた走りで消耗しないように。
・骨盤を前傾して蹴らないように…など、走り方に気をつける。
・厚底シューズを履いて走る。
・グリコーゲンの枯渇に備え、しっかり補給しながら巡航する。
・脳を使うと消耗するので、何も考えず眠るように30kmまで。ペーサーがいればなお良し。
・過去に終盤撃沈した悪いイメージを忘れる。
・キツくなったら脳内で音楽を再生して自分を盛り上げる
などなど、良いと思える練習やレース中の作戦は全て実行。
それでも、しっかり終盤ペースダウンしてしまうのですから不思議です。
フルの終盤でもペースダウンしない為にはどうしたら良いか。明確な答えはあるのでしょうか。
例えば、フルのPBより30分以上遅いタイムのペーサーだったら、イーブンで走れる。
例えば、100kmマラソンの42.195kmはイーブンで通過できる。
もうこれが半分答えではあると思ったりもします。
ここでちょっと、イーブンよりもさらに夢のレース展開、ネガティブスプリットについて検証してみます。
ネガティブスプリットを推奨している書籍で有名なのは、小出監督が書いている30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法
でも私はこの書籍を読んでワクワクし、実際にネガティブスプリットを目指してレースに臨んだりもしました。
しかーし!
ネガティブスプリットの難しさはデータを見ると予想以上に厳しい。
2016年の古河はなももマラソンの全完走者のデータを取った方がいた。それによると、
まず、7654人全員を対象にしたときの結果です。
ネガティブスプリット 691名(9%)
ポジティブスプリット 6963名(91%)
※カッコ内は比率参照:The Brave Penguin Lab.
これは厳しい。古河は比較的フラットなコースですが、90%以上のランナーがポジティブスプリットで終盤ペースダウン。
この結果を見ると「小出監督、こんな非現実的な作戦を推奨するなんて、ふざけんな!」という気持ちにもなりかねませんw
でもですね…毎回終盤グデグデの私でも、書籍を読んでその気になり、3時間15分切りに挑戦した2015年洞爺湖マラソンで、1度だけネガティブスプリットが炸裂したんです。その時の汚いラップ表がこちらw
前半1:39:33
後半1:33:44
ゴールタイム 3時間13分17秒、初の3時間15分切りでした。
レース2週間前に実施した30km走のペースは3時間15分を切るために必要な巡航ペースである4’35/km。そのペースから10秒/km落とした4’45/kmで10kmまで巡航しました。
それから3時間15分のための標準ペース4’35/kmで走り、洞爺湖のアップダウンを考慮に入れたペース設定(21km~30km)をしながら、30km以降は気合のペースアップ。
見事に(自慢やめろ)目標達成したわけです。
このレースの後のフルマラソンは再びレース3週間前に実施する、仕上げのロング走と同じペースで最初から走って、ポジティブスプリットばかりになってしまっています。
でもよく考えると、このレースが”30kmの壁”をなきものにする、イーブンペースやネガティブスプリットでレースを運ぶヒントになるかもしれないな~と思ったわけです。
一般的にフルマラソンで目標を持って走る時、達成するためには「終盤のペースダウンも考慮して、どれ位のペースで巡航したら良いか」って考えますよね。
サブ4なら5’30/km、サブ3.5なら4’50/km、サブ3なら4’10/km、みたいに。
でもそれって、自分の走力を考慮した結果では無く、目標に合わせたペース。
それが良いとか悪いとかではないのですが、得てして軽く背伸びした目標なのかもしれないなーと。
つまり、軽く背伸びした目標=軽く背伸びした巡航ペースになるので、わずかにオーバーペースになり、終盤落ちていってしまう。
自分が3時間15分切りを目指した時に実施した、練習でのロング走のペースは4’35/km。でも自分はスピードタイプ。フルマラソンに適したペースより少しくらい速くても、30kmまでなら、ある程度余裕を持ってこなせてしまうのかも、と思う訳です。
でも同じペースでフルを走ると終盤ペースダウンしてしまう。30kmまではペースダウンせずにいけても、フルは最後までペースダウンせずにはいけないオーバーペースであるという説。
なので、前述の洞爺湖マラソンでも4’35/kmで最初から走っていたら、いつも通りの終盤グデグデなレース展開だったかもしれません。
10秒/kmの差は大きいですからね。序盤は随分楽することが出来ます。
序盤の余裕度が終盤に好影響を与えた可能性はあるのではないかなーと。
つまり!30kmの壁って
自分に適切なマラソンペースより”少しだけ”速く走ってしまっている弊害
だと感じます。
フル30回以上走って、30km走も35km走も40km走もウルトラも走り、レース前2ヶ月を月間走行距離500kmを2ヶ月走り、セット練もやり、LSDも半信半疑ながら何度もこなし、峠走もやり、レース中も一定ペースで何も考えず補給もしっかりやっても、ほぼ全てのレースで終盤グデグデになる私が強引に結論を決めました(笑)
30kmの壁は序盤のわずかなオーバーペースが原因!
とはいえ、ネガティブスプリットでレースを展開するのは勇気がいるんですよね。
レース序盤、ゆっくりペースで入ったはいいものの、結局いつも通り30km以降にペースダウンしてグデグデ、抑えたペースのまま上げられず、タイムも平凡になる事があったりして(笑)
なので、練習でしっかりビルドアップしていける「自信」を積み上げて
「これなら大丈夫だ!」
というところまで持っていくのが必須ですね。