今回のご質問は、これまで閾値走を中心に練習をしてきてサブ4達成、その後3時間50分を切るPBを出したものの、さらなるタイム短縮を目指してインターバルに取り組み始めた40歳代の女性の方からのご質問です。
現在のハーフPBから自分のVDOTが43ほどであると確認、Iペースに記載されている4’26/kmで1000mを4本走ってみたものの、非常にキツい…
そこで少しインターバルの疾走距離を短くして実施するのは、果たして効果があるのかというご質問でした。
今回の読者のお考えとしては、
感覚的には長い距離を頑張った方が効果は高いと思いますが、例えば
1000mを4本のインターバル=4000m
400mを10本のインターバル=4000m
頑張る距離が同じなんだから、もしかして効果的には変わらないのでは!
そんな思いから疑問に変わって、ご質問を頂いたようです。
どうせ練習をやるなら効率的にやりたいですし、なおかつあまり苦しまないでやりたいですよね^^;
目次
いつも楽しく拝見しています。Sと申します。40歳代の女です。
これまでスピード練習といえば、週1回・20分間の閾値走だけと言っても良いほど、閾値走ばかりやってきました。
そのおかげで3時間50分までは切ることが出来たのですが、さらに記録を伸ばしたく思っています。
そこで最近インターバルを始めたのですが、1000mのIペース走がキツく…
先日は1000m毎に
4’41-4’29-4’30-4’28
で限界、5本は出来ませんでした。
休息タイムとして、疾走時間と同じ4分30秒ほどジョギングしています。
本数を重ねる毎にキツくなるのですが、特に500mを過ぎてからの後半が本当に辛いです。
例えばですが、1000mのインターバル4本を400mのインターバル10本にするのは、効果として全く違ってきてしまうのでしょうか。
疾走区間の距離の合計は、どちらも同じく4000mになるので、どうなんだろう?と思った次第です。
ご教示頂けましたら幸いです。宜しくお願いします。
Sさま
こんにちは(*^^*) メッセージありがとうございます!
今までの閾値走に加えて最近はインターバルを始めたとの事、タイム短縮する上で素晴らしい取り組みだと思います。
ただ1000mインターバルが、非常に辛いとのこと…お察し致します。全く慣れていない時の1000mインターバル練習は、それはそれはキツいですからやむを得ないです。
あまりにキツので、1000m×4本を400m×10本にしたらどうか、とお考えになったのですね。そのお気持ちも大変によく分かります。
インターバルは1000m走るうち、500m以降の終盤が大変ですからね。
結論から申し上げると、400m×10本と1000m×4本のインターバル、
疾走区間の距離は変わらないのですが、効果は全く異なってきます。
「は?どちらも速く走る距離は同じなのに、どうして?」
と思われるかもしれませんが、ダニエルズさんは書籍でこう記載しています。
適正なIペースで走る場合、VO2maxで運動するポイントに到達するまでに約2分間かかる。この適性ペースで5分間の疾走を4本行うと、毎回の疾走のうち2分間はVO2maxに到達するまでに費やされるので、合計20分間の疾走のうちVO2max、つまりIペースで走るのは12分間ということになり、休息で完全に回復したとしても、この練習では12分間、VO2maxで走る時間を蓄積できることになる。
ちょっと表現が難しいので簡単に言うと…
POINT・Iペースで走り始めてから、走力がアップする刺激ポイントに到達するまでに2分間かかる。
・疾走時間が5分なら、刺激が入る時間は5分-2分=3分
・仮にセット間の休息で完全回復する単純計算だと、3分の刺激時間×実施本数=走力アップのチャンスタイム
という事になります。
もし400mインターバルにすると、4分30秒/kmで400m走る疾走時間は1分48秒前後。
スタートから2分後から刺激が入るので、1本毎に完全回復する単純計算だと…
100本やっても刺激時間ゼロ!頑張ったのに、そんなバカな!(笑)
実際にはセット間に完全回復しないので本数を重ねる毎に少しずつの刺激は入りますが、1本400mで終わって楽をする分、効率的ではありません。
逆に1000m×4本をセット間に完全回復させたとしても、1本毎の疾走時間は4分30秒ですので毎回2分30秒は刺激が入ります。
2分30秒×4本=10分
10分間も走力向上のための刺激が入る事になります。
これを400mの疾走時間で得ようとすると、何本かかるか分かりません^^;
400mはどちらかといえばレペティション(Rペース走)で有効な距離であり、練習の目的が異なってきます。
インターバルとしては少し短すぎる距離という事になりますね。
ちなみに上級者がインターバル区間を1000mより長くしたり休息の時間を短く設定するのは、スピードが速くて1000m走り切る疾走時間が短い為、刺激時間が少なくなってしまうからです。
例えばIペースの設定が3分30秒のランナーだと、1本毎の刺激時間は1分30秒。
5本実施しても1分30秒×5本=7分30秒
Iペース4分30秒設定のランナーが1000m×5本をやるのと同じかそれ以上の刺激時間を得るには、1000m×7本や(刺激時間10分30秒)や、1200mインターバル5本(1200mだと3’30/kmペースでも4分15秒ほどかかるので5本で刺激時間11分)にしたり、休息時間を短くして回復を少なくして刺激が入り始める時間を早めているんです。
(ダニエルズさんはIペースの理想的な持続時間は1本あたり3~5分、距離はVDOT66より低いランナーは1200mか1000mを最長とすべきである、と書籍に記載しています)
実際の現場では1000mインターバル5本~7本が比較的一般的であり、本数を重ねるにつれて走り始めからキツい状態でのスタートになりますので、本数ごとの刺激時間のイメージは
2分30秒→2分45秒→→3分→3分15秒→3分30秒(5本計15分の刺激時間)
のように増加していく感覚でしょう。
6本目・7本目をやるなら、超キツいですが、相当のボーナスタイムです(笑)
(ただ、ダニエルズさんはインターバルトレーニング1回につき、疾走区間の合計練習量は週間走行距離ないしは走行時間の8%とし、10kmあるいは30分を上限として厳守することとしています。)
つまりランニング歴を重ねて速くなったランナーが、インターバルの設定が遅かった時と同じように1000m×5本でやっていると、同じ内容の練習をしているつもりでも刺激時間が少なくなっており、練習強度がいつの間にか落ちてしまっている事がありますので要注意です。
なお、インターバル初心者がいきなり1000mインターバルを実施すると、たとえ休息を疾走時間と同じ時間取ったとしても、Sさんが感じたように
「キツすぎる…」
という事になりますので、効果は限定的になりますが、しばらくは400m~800mの距離で慣れるのもOKです。
慣れてから、ダニエルズさんの推奨する方式でインターバルをやっていけば良いと思います。
インたバルのやり方については、こちらの記事に詳しく記載しています。