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以前の記事で、改めてフルマラソンの終盤について考え、様々な角度から30km以降もイーブンで駆け抜けるためのトレーニングを、もう一度考えてみました。
それは日々のジョグへの意識だったり、峠や山でのトレーニング、Mペースより速いペースでのロング走や変化走、レジスタンストレーニング(筋トレ)や体幹トレーニングなどです。
その中で、レジスタンストレーニングは…
すべてのタイプのレジスタンストレーニング(最大筋力向上、爆発的な筋発揮、反動を用いる筋力トレーニング)は、3km及び5kmのタイムトライアルパフォーマンスや、ランニングエコノミー、vVO2max、ランナーの最大嫌気走行速度(maximam anaerobic running velocity:vMART)を向上させる事が示されている。
ということもあって
「マジか!!よ~し、俺は明日からレジトレの鬼になる!!毎日やるぜ!!」
という方、実際にいました^^;
気持ちはひじょ~~に良く分かりますが(笑)、実はこのレジスタンストレーニング、毎日高負荷でガンガンにやると、ちょっとマズい。
レジスタンストレーニングの負荷が高いことで疲労の回復が追い付かず、持久性トレーニングにネガティブな影響を与える可能性もある。実際、多くの先行研究がレジスタンストレーニングによるネガティブな影響を報告している。
筋トレやり過ぎると疲れちゃって、最も大事なランニング練習がうまくいかなくなっちゃうよ!
ってことですが…何となく分かりますよね^^;
走る練習に限って考えても、トレーニングは”線”で見るのが基本でした。
ジョグがあって、スピード練習があって、ロング走があって、それを適切な負荷とボリューム・練習間隔をもって継続的に何年も実施していくのが、レベルの高いランナーになるには絶対に必須。
たまによい練習ができることは誰にでもある。しかし、継続性がなければ、実のあるトレーニングとはならない
たとえ1回の筋トレで大満足の・達成感のあるトレーニングが出来たとしても、次の日のポイント練習は強烈な筋肉痛で全く走れずに撃沈…これでは継続性のない、つまり実のあるトレーニングにはならないよな~と、お分かりになると思います。
レジスタンストレーニングによる疲労は、持久性パフォーマンスの減衰及びオールアウトまでの時間の低下を誘発するばかりでなく、生理学的なエネルギーの消耗が激しくなることも報告されている。
そしたら、
結局どのようにレジスタンストレーニングを持久性パフォーマンスを低下させずに継続していくのか。
見ていきましょう(*^^*)
すでに前回の記事でご紹介したレジスタンストレーニングは、かなり負荷が高いです。
基本的に「最大努力」でやるので、実施した翌日などは常に筋肉痛になり、しばらくは筋肉が疲労したまま。
特にランニングの前に実施すると、フルマラソンが速くなるために最も大事な”ランニング練習”に悪影響を及ぼす可能性が大きい、ということになります。
コンカレントトレーニングを実施する際には、レジスタンストレーニングと持久性トレーニングの間の時間をコントロールし、先に行うトレーニングによって生じる疲労の影響を最小限に抑える必要がある。トレーニング間に必要な回復時間は、トレーニングの変数、とりわけ運動様式に依存する。
筋損傷と神経筋疲労の程度は、習慣的にレジスタンストレーニングを行うことで予防され、この効果は「繰り返し効果」と呼ばれている。~中略~
レジスタンストレーニングを習慣的に行っているものと比較して、習慣的に行っていない者のほうが急性のパフォーマンス低下が生じやすくなる。
では具体的に、どれくらいの時間に渡ってネガティブな影響を受けるのか。
中から高負荷での伝統的なレジスタンストレーニング(スクワットやレッグプレスなど)は、習慣的なトレーニング経験がない者では運動から48時間後までランニングエコノミーを低下させることが報告されている。一方レジスタンストレーニングを習慣的に行っている者では、ランニングエコノミーが運動直後は一時的に低下するが、6~8時間後には完全に回復することが報告されている。
少なくともポイント練習の48時間前までにレジスタンストレーニングを実施すれば、ランニング(特に大事なポイント練習)に悪影響を及ぼす可能性は低くなる、ということになります★
なので、出来るだけポイント練習から離した、遠い日に実施する事になります。
具体的には、水曜日と土曜日が重要練習日(あるいは日曜日にセット練をする)なら、レジスタンストレーニングは
・土曜日の夜か日曜日、あるいは月曜日の朝に実施
・水曜日の夜か、木曜日の朝に実施
最初は週に2日、上記の日程で実施頂ければと思います。
具体的には、あまり多すぎるメニューだと大変になりますので、まずは最小限で充分です。
基礎的な腹筋・背筋・腕立ては省略しますが、基礎も少しずつ継続実施してくださいね。
1ヶ月目
★ポイント練習の夜・あるいは翌日朝に実施、週に2回
①スクワット自重10回
②フロントランジ自重10回
③ブルガリアンスクワット自重10回
④ジャンピングスクワット自重10回
⑤ボゴジャンプ自重10回
⑥ボックスジャンプ10回
上記トレーニングでハムや臀部の筋肉痛が出なくなってきたら、重量を持つフェーズに移行
2ヶ月目
★重量を持つのは、ポイント練習の夜・あるいは翌日朝に実施、週に2回
①スクワット ダンベル両手に1kg(計2kg)を持って10回
②フロントランジ ダンベル両手に1kg(計2kg)を持って10回
③ブルガリアンスクワット ダンベル両手に1kg(計2kg)を持って10回
④ジャンピングスクワット ダンベル両手に1kg(計2kg)を持って10回
⑤ボゴジャンプ アンクルウェイトを両足首に1kg(計2kg)を巻いて10回
⑥ボックスジャンプ10回 アンクルウェイトを両足首に1kg(計2kg)を巻いて10回
重量を持たない1ヶ月目の自重メニューを、ポイント練習実施日以外の平日に実施。
3ヶ月目以降は、慣れていれば重量を徐々に増やしていく感じの実施になります(*^^*)
月 ランオフ・自重レジスタンストレ
火 ジョグ・自重レジスタンストレ
水 ポイント練習・練習後に重量を持つレジスタンストレ
木 ジョグ・自重レジスタンストレ
金 ランオフ・自重レジスタンストレ
土 強めのペース走・トレーニングお休み
日 距離走・練習後に重量を持つレジスタンストレ
体幹トレーニングも色々ありますが…欲張って色々やろうとすると、続きません^^;
私が実施しているオススメの体幹・補強トレーニングは
①通常のプランク30秒→そのまま右腕・左足を上げて30秒(ツーポイントプランク)→逆の腕と足を上げて30秒、サイドプランク30秒ずつ
ツーポイントプランクは、控えめに言って…地獄です(笑)
慣れるまでは片手だけあげる、片足だけあげる、などで慣らしていってから、最終的に片手・片足を上げるツーポイントプランクに移行してください★
②レッグレイズ30回
脚を引き上げる時に使う筋肉、腸腰筋をバンバンに鍛えるトレーニングですね。
これをやりまくって箱根駅伝の補欠から、見事に正選手になったランナーのエピソードもあるくらい。
そのエピソードをご紹介しているのは、以下の記事。
③高橋尚子の鬼体幹
私は右足、左足、交互、両足、フリフリ、全て30回ずつ、アンクルウェイトをして実施しています。
ただ最初は無理ですので、出来る範囲の回数を、お休みを入れながら慣れていってください★
上記が慣れてきましたら、以下の動画にもあるレッグレイズやバイシクルも20~30回はやってください。
体幹トレは毎日やったからと言って大した負荷じゃないので、レジスタンストレーニングとは異なり、割と最初から毎日やっても大丈夫です。
私は1週間のうち、平日5日はやってます^^;
持久系トレーニングとレジスタンストレーニングを、相互に悪影響を生じさせる可能性を出来るだけ低くして同時並行で実施する、コンカレントトレーニングについて、そして体幹トレーニングについて解説しました★
私たちランナーは、当然ランニングをする練習の方が好き(あるいはより効果的・効率的に感じる)なので^^;、なかなかレジスタンストレーニング(筋トレ)や体幹トレをやるモチベーションが湧かなかったり、単純に時間や気力・体力がない…という方もいらっしゃると思います。
そもそも、私がそうでした(笑)
とはいえランニングの走力って日々の少しの差が積み重なって大きくなって、3年・5年・10年経つと、大差がつくものです。
それはレジスタンストレーニングや筋トレだけではなく、様々なことで起こります。
日々の細かいこと、コツコツやるのは
(ちっ、めんどくせーなー)
と思いがちですが(笑)
(もう走力が上がらないのでは…)
(すでに自分の能力的に、天井を迎えているような気がするなぁ)
という方は特に、
やっていない領域のトレーニングがあるということは、ノビシロたっぷり!
と思って、チャレンジしてみてくださいね★
次回はコンカレントトレーニングを成功させるための、リカバリーについて。
次は3か月後とかじゃなくww、来週アップします♪
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