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閾値走って20分が基本なんだろうけど、結構それなりのペースで20分間通しで走るのはキツいですよね^^;
そこで考えた事はないでしょうか。
「これって、15分でやめたら効果はどうなんだろう?」
「10分ではどう?いや、5分くらいがいいかな…^^;」
ほら、ありませんか?(笑)
あるいは上級者になると
「う~む、20分じゃ物足りない。30分走っても良いのかな」
そんな人もいらっしゃるかもしれません。
私はそんな事、一切考えたことないですけどねww
今回は読者の方から頂いた質問に回答する形で、解説をしていきます♪
記事の内容は以下の動画でも解説しています!
げんさん、いつも参考にさせてもらってます!
閾値走に関して、質問したい事があります。
インターバルのような練習だとIペース(インターバルペース)で走り始めて2分後からVo2maxへの刺激が始まるとの事で、2分後以降に効率的に能力アップが出来るとインターバルの記事で勉強になりました。
そこで閾値走です。
閾値走の場合は”2分後から刺激が始まる”のような目安となる時間について、特にないと思うのですが、であれば20分じゃなくても15分や10分、あるいは5分などでも良いのでしょうか。
閾値走のペースで20分走り続けるのは中々大変なので、インターバルのように
「2分以下だと効果無し!」
とならないのであれば、気持ちが乗らない時や調子が悪い時などは5分や10分で終わりたいなと(笑)
よろしくお願いします。
結論から言えば、安心してください!(笑)
閾値走は5分や10分で終えても大丈夫!
何だったら閾値走1分でも”効果ゼロ!”という事はないですよ♪
ただし閾値走1分と閾値走20分を比べた場合、刺激時間の差は20倍です。
月に2回閾値走をやるとして、1回1分だと月に2分、年間で閾値ペースで走る刺激時間は24分になります。
20分の閾値走なら、1回で1分閾値走のほぼ1年分の練習が出来るという^^;
これがある意味答えにはなるのですが、これから解説する理屈を理解すると納得して自分で練習のアレンジが出来ますので、是非今回勉強して、整理しておいてください(^^)
血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を高めるために行う。持久力を向上させるために行うと考えればよい。つまり、ある程度の時間、少しだけ速めのペースで持ちこたえることを身体に覚えさせる、あるいは一定ペースを維持できる時間をのばす、ということだ。
閾値走を実施する効果は上記のように
血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を高めるために行う
という事になります。
“血中乳酸”というのは、走るスピードが速くなればなるほど処理し切れずに溜まっていきますが、LT(閾値)というのは血中乳酸を処理して乳酸が激増しないように出来る境界点です。
出典:乳酸サイエンス
上記のグラフのように、LTのポイントが最も処理できるギリギリ多い乳酸量の運動強度になります。
ちなみに夏の気温が高い時期や調子が悪い時、少しばかりペースを下げたとしても、急激に乳酸産出量が減る訳ではありません。
LTを超えて負荷が高すぎる状態になってバテてしまい、予定の時間を走りきれない(刺激時間が減る)よりも…
しっかり乳酸がある程度産出される状態で予定の時間を走った方が”練習効果”は高い
という事になります♪
そして肝心の、乳酸が産出されるスピードについて。運動強度が高まると血中乳酸濃度が上昇するのですが、
乳酸濃度は運動強度に合った状態に、比較的すぐになります
その状態が乳酸を処理出来る範囲内(LT以下)であれば血中乳酸濃度は増加せず、LTを超える強度であれば処理が間に合わないので、時間に比例して乳酸は増加していくシステムですね。
なのでインターバルのように
「走り始めて2分後にならないと乳酸がたまらない、処理され始めない」
というような事はなく、
なので閾値ペースでの疾走区間を小分けにして実施する”クルーズインターバル”でも効果は高く、むしろ閾値ペースでの刺激時間を増加する事が出来るので上級者も積極的に取り入れているわけです。
では何故、閾値走は20分が基本になってるんだ?という事を思う方もいらっしゃるかもしれません。
5分とか10分で良いなら、その方が楽でいいし、みたいな(笑)
ただこれはマラソン練習の基本的な考え方で納得出来ると思います。
マラソン練習は、刺激時間の総量が重要
というものです。
目的とする能力の獲得をするために必要なスピードで走る事で身体に入る”刺激”。
その刺激時間が多いほど、能力の向上が期待出来るのがマラソン練習です。
なので閾値のペースでどれだけ刺激時間を多く取れるかが、効果的・効率的に走力をアップさせるポイントというわけです。
ただし
やりすぎ厳禁
これはどの練習でも同じですよね^^;
閾値ペースでのランニングで20分以上を通しで走るのであれば、ペース表に従ったペースに落として実施。
VDOT | Tペース | Mペース | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
20分 | 25分 | 30分 | 40分 | 50分 | 60分 | 60分 | |
30 | 6'24(±0) | 6'28(+4) | 6'32(+8) | 6'36(+12) | 6'40(+16) | 6'44(+20) | 6'51(+27) |
35 | 5'40(±0) | 5'44(+4) | 5'47(+7) | 5'51(+11) | 5'55(+15) | 5'59(+19) | 6'04(+24) |
40 | 5'06(±0) | 5'10(+4) | 5'13(+7) | 5'17(+11) | 5'20(+14) | 5'22(+16) | 5'26(+20) |
45 | 4'38(±0) | 4'42(+4) | 4'44(+6) | 4'47(+9) | 4'50(+12) | 4'52(+14) | 4'56(+18) |
50 | 4'15(±0) | 4'18(+3) | 4'21(+6) | 4'24(+9) | 4'26(+11) | 4'29(+13) | 4'31(+16) |
55 | 3'56(±0) | 3'59(+3) | 4'01(+5) | 4'04(+8) | 4'07(+11) | 4'09(+12) | 4'10(+14) |
60 | 3'40(±0) | 3'43(+3) | 3'44(+4) | 3'47(+7) | 3'50(+10) | 3'52(+12) | 3'52(+12) |
65 | 3'26(±0) | 3'29(+3) | 3'30(+4) | 3'33(+7) | 3'36(+10) | 3'38(+12) | 3'37(+11) |
70 | 3'14(±0) | 3'16(+2) | 3'18(+4) | 3'20(+6) | 3'23(+9) | 3'26(+12) | 3'23(+9) |
クルーズインターバルであれば、閾値ペースで走る区間や時間に上限が設けられていますので、その範囲に収める形での実施が望ましいです。
クルーズインターバルの疾走区間の合計は、週間走行距離の10%程度を上限とし、6km(または30分間)~15km(または1時間)の範囲とする。つまり、週間走行距離が通常64km前後であれば下限の6km(または30分間)、192km前後であれば15km(または1時間)をTペースで走ることになる。
上記の範囲にならうと、月間走行距離が
300kmなら7km
350kmなら8km
400kmなら9km
それくらいが目安になります(^^)
閾値走はインターバルのように
「走り始めて2分後から刺激時間」
のような事はないので、10分でも、5分でも、閾値で走る時間が刺激時間になります♪
「暑くて閾値走イヤだな~」とか
「疲れてるからやりたくないな」
という場合、ジョグの合間に10分だけ、ないしは5分だけ閾値ペースで走るというのは、全然アリです(^^)
自分がどこまで速く走れるのか、どのレベルまで到達出来るのか、それを知るために非常に大事なのは
長期間にわたって閾値(LT)トレーニングを続けること
です。
「絶対20分の閾値走を毎週続けなくちゃ…」
と、強迫観念にも似た感情になると、いつか嫌になってやめる事になりかねません。
ボチボチと、ある意味テキトーに(笑)続けるのが、結局私たち中高年の市民ランナーにとって、数年後に自分史上最速となる可能性が最も高いやり方と言えます。
「すぐに速くなりたい!」
「次のレースで必ず1つ上の結果が欲しい!」
と真面目なランナーほど思いがちですが^^;…焦らず、適当に頑張りましょう(笑)