マラソン大会に出ると、膝から下だけの”スパッツ”的なやつを装着しているランナーを見たことがありませんか?
あれは”ゲイター”または”カーフスリーブ”(以下ゲイター)と呼ばれる、ふくらはぎ専用のコンプレッションウェア※です。
私が最初にゲイターを装着しているランナーを見た時、
「なんで、あんなの装着してるんだ?」
と思いました。
加えて
「なんか、カッコ悪いな~」
と思ってしまいました^^; (ゴメン笑)
見た目でそんな風に感じてしまった私でも、今ではハーフマラソン以上のレースで必ず着用しているのですから、自分でも驚きです(笑)
今回は、マラソンで使う”ゲイター”の効果についてご紹介します。
目次
記事の内容は、以下の動画でも紹介しています!
コンプレッションウェアですぐに頭に思い浮かぶのは、足首から腰の辺りまでの全てを覆う”スパッツ”。
特にランニングを始めた初心者の方や女性の方は、結構な割合でフルレングスのスパッツを使ってますよね。
かく言う私もランニングを始めた初心者の頃、膝や股関節が痛くなるのをどうにかしたい気持ちから、走る度にCW-Xのスパッツを「うんしょ、よいしょ」と腰まで上げるのに頑張って履いてました^^;
そのうち、スパッツを履いていても履いていなくても、痛くなる時は痛くなると気付くw
「スパッツに着地衝撃を緩和させる効果やサポートは無い。関節の保護もさほど感じない。結局痛みが発症するかどうかは、どんな路面をどんなシューズでどれだけ走るかだ」
と自分なりに解釈して、アスファルトから芝・土の上でランニングするようになり、スパッツは脱ぎました。
(スパッツは現在、冬の寒い時期に”防寒着”としての目的で使ってます^^;)
じゃあスパッツを着用する効果は何だろう。
前述したWikipediaに掲載されているコンプレッションウェアの説明にもある通り、基本は
運動機能の支援
という事になるんだろうけど…
何だかフワッとした表現だ^^;
ただし、Wikipediaには説明の続きがあった。
これだ。効果は大きく分けて2点。
コンプレッションウェアの効果1.必要のない筋肉の振動を抑制し、これによって筋肉の疲労を軽減
2.疲労から素早く回復する効果
しかしマラソン大会で速いランナー達を見ると、足首から腰までのスパッツを着用している人って、非常に少ないと思いませんか。
それは何故か。
1.走るために曲げ伸ばしする膝の動きの邪魔になる
2.ストライドを伸ばす動きを抑制するような感じを受ける
から。
なので比較的速いラップで巡航するランナーは、必ず膝を出してます。
つまりサポートを期待するとしても、膝から下だけをサポートする”ゲイター”か、膝から上だけをサポートする”ハーフタイツ”、もしくはその両方を着用してます。
大迫傑選手をはじめ、トップランナー達でもハーフタイツを着用しているランナーはいます。
ハーフタイツについて大迫選手は、コンプレッションウェアの筋疲労抑制効果というよりは、風による抵抗やストレスを抑えたいという気持ちのようです。
大迫選手「コンプレッション・タイツは日々の練習でも使っています。ランニング・パンツはすそが風を受けてひらひらして抵抗を受けるので、現在はハーフ・タイツを履いて走ることが自然になっています。」
スパッツは膝下(ふくらはぎ)や太ももを全てサポート出来ますが、上級者ほど着用しない理由は”スパッツが動きを邪魔する”から。
でもサポートはしたい。
だから膝を出して膝から下or膝から上、あるいは両方ともコンプレッションウェアを着用して、膝の動きを邪魔しない上で効果的にサポートを受けたいところなんですよね。
ところで、よりハーフマラソンやフルマラソンを効率的に速く走るなら、ゲイターとハーフタイツはどちらが効果的なんだろう。
これはシューズ選びと同様、個人個人で異なる、サポートが必要な筋肉によって異なりますので、一概には言えない部分ではあります。
しかし、プロではない私達一般市民ランナーがフルマラソンで終盤にペースダウンする理由から、少し考えてみます。
マラソンを走る時に大事な事の1つに
小さな筋肉をなるべく使わないで、大きな筋肉を使うべき
というのがあります。
小さな筋肉とは何でしょうか。
ふくらはぎ
ですよね。
大きな筋肉は
太ももやお尻
です。
小さな筋肉は疲れやすく、大きな筋肉は比較的疲れにくいと言われます。
地面を”蹴る”ような動きをすると、膝下の小さな筋肉があっという間に疲れてしまい、フルマラソンのような長丁場をイーブンで走るのは不可能になります。
決して地面は蹴らないで頑張らない、これがフルマラソンの鉄則。
太ももやお尻を主に使って序盤~終盤まで巡航し、いよいよ35kmを過ぎて大きな筋肉も疲弊してペースダウンしてきたところで、どうするか。
温存していたふくらはぎを使うようにして、ペースを維持します。
私自身は、毎度そんなレース展開をしています。
しかし!
いくら大きな筋肉を”主に”使うと言っても、走るのに全くふくらはぎを使わない訳にはいきません。
走る動きでふくらはぎの筋肉は揺れ続けますし、徐々にダメージを受けるのは当然のこと。
35km地点以降で
「ふくらはぎもパンパンで使えない…」
「ふくらはぎがピクピクして攣(つ)りそう…」
そんな状態であれば、ペースダウンは避けられなくなってしまいます。
私がゲイターを利用する前は、よくフルマラソンの終盤でふくらはぎがピクピクとなってました。どうにか攣らないようにゴールまでゆっくりペースになる事もしばしば。
しかしゲイターをフルマラソンで使ってみたところ、レース終盤でも全くピクピクしなくなった。
終盤でふくらはぎが攣りそうになる事もなくなり、ゲイターの効果に魅了されてしまった訳です^^;
ここでいきなり、飛脚の話(笑)
大丈夫。マラソンに関係ある興味深い話ですので(ホントかよw)、ブログは閉じないでwもう少しお付き合いくださいm(_ _)m
皆さんご存知の飛脚。
ルーツは意外にも江戸よりずっと昔、平安時代まで遡ると言われます。
「源平合戦のクライマックスである壇ノ浦合戦で平家を滅ぼした源氏方の大将、源義経の派遣した飛脚によって合戦の勝報が朝廷に奏上された。」
平安末期にはすでに戦況報告のために東奔西走していた飛脚、江戸時代になると大いに発展して様々な役割を果たします。
中でも江戸時代に最も速く確実に目的地まで辿り着くことを求められたのが
幕府専用の継飛脚
そのスピードは、江戸~大坂間の約520kmを64時間~66時間(2日+16時間~18時間)で走破したと言います。(平均ペースは7’23/km)
“継飛脚”というだけあって、さすがに1人ではなく何人かのリレー方式で進み続けたようですが、補給や給水も必要でしょうし、今と違って非舗装路や山・峠越え、川越えなどもある中で驚異的な速さだと感じます。
幕府継飛脚を1回利用するための金額は、現在の価値にして140万円位※だったと言いますから、その金額も驚異的^^;
※江戸末期の1両の価値は諸説ありますので、金額は参考程度です。
ただ、万が一幕府の重要な書類などを紛失・盗難してしまった場合は”死罪”となる場合もあったようですから、責任重大で命懸けのお仕事。
で、その江戸時代の飛脚を描いた絵を見ると…
ゲイター、着用してるやんけ!(笑)
これは「脚絆(きゃはん)」と呼ばれる長い布を巻き付けたもので、江戸時代には飛脚だけではなく、一般の方でも長距離を歩く旅の際などは足を草や岩から守ると共に、疲労軽減のために着用していたようです。
昔から、ふくらはぎの振動を抑えるような工夫をする事で”疲れにくく長距離の移動がしやすい”という事を、経験則的に知っていたのでしょうね。
そういえば、時代劇などのドラマでも、たまにこんな格好を目にします。
【参考書籍】
江戸時代から長距離の移動では当たり前のように使われていた、ゲイター的なふくらはぎサポートのしくみ。
フルマラソンの終盤でふくらはぎが攣りにくくなり、疲労感が軽減した事を考えると、個人的には確かな効果を感じています。
そして多くのランナーが着用しているのを見ると、同じように効果を感じているランナーが多いのかな、とも思います。
まだゲイターを着用した事がない方、使おうか迷っているという方、是非一度使ってみてください。
ゲイターを発売しているメーカーはいくつもありますが、私が使っているのはザムスト(ZAMST) のカーフスリーブです。
他のカーフスリーブも使いましたが…
フルマラソンで使うなら、個人的にはザムスト一択で良いと感じています。
着用感や使用感は全く問題なく、フルの終盤にその効果は抜群。
何度洗っても締め付ける圧が落ちず、縫製がホツれる事もない耐久性は素晴らしい。(洗濯ではネットに入れています)
ただサイズが4種類(S~LL)ありますので、自宅でふくはらぎの太さを計測してから対象サイズを購入するか、実店舗での試着が出来る場所があれば試着をオススメします。
私のふくらはぎは右が36cm・左が37cmで、Mサイズを着用しています。
S:28.0-34.0cm
M:32.0-38.0cm
L:36.0-42.0cm
LL:40.0-46.0cm
ザムストカーフスリーブNEW 機能スポーツアクセ 385501BLK
基本的には練習でフルマラソンの終盤に強くなるのが一番ではありますが、
「何度もロング走しているのに、終盤にペースダウンしがち」
「どうしても30km以降に脚を攣る事が多い」
そんな悩みがあれば、ゲイターで少しだけサポートをしてもらう事を検討してみてください。
「フルマラソンをイーブンで走りたい!」
という目標に、少しでも近づくかもしれませんよ!