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セット練習とは2日連続で負荷が高めの練習をする事です。
すでにフルマラソンのタイムを短縮するために練習している方にとっては、おなじみですね。
1日目にスピード練習やロング走を実施して身体を疲れた状態にする事で、2日目はフレッシュで元気な身体ではなく、最初から疲労が残った状態で練習をする事になります。
なので2日目は、早い段階でフルマラソンの終盤のようなキツさを体感しながら鍛えるという、なかなか大変な練習です^^;
2日間の練習の組み合わせは自由であり、バリエーションは様々。
フルマラソンの為の練習でセット練習の効果を考える場合は、主にスタミナ・筋持久力を付けるため、という事になります。
マラソンコーチとして有名な金哲彦さんは、著書の中で
「セット練習でスタミナにふたをする」
としています。
「フルマラソンの30km地点から失速してしまった」
「終盤になると、あちこち痛くなる」
「どうしても苦しくて歩きが入ってしまう」
レースでそんな経験をした市民ランナーの方々にとって、これからマラソンの終盤に強くなるためにどのような練習をしようかと考えた時、
「30km走をやってみよう!いや、なんなら35km…いや40km走もやる!」
という意気込みは素晴らしいと思います。
しかし一気に35kmや40kmを走るのは、怪我や疲労のリスクが高いですし、単体としては良い練習にもなりますが、あくまで「点」としての練習。
それ単独では、マラソン練習としての効果は限定的ですし、毎週35kmや40kmやるのは難しい。
マラソン練習は「線」として考えていく必要があります。
つまり、安全かつ継続的に何をしていくか。
35km走や40km走をやらなくてもそれに匹敵する、いや、それ以上の負荷と効果をもたらせてくれるのがセット練習であり、2日間合わせての効果を考える「線」としてのマラソン練習となります。
そんなセット練習、どのように実施するのかを考えていきます。
よりスピード感覚の強い練習をした翌日に、ゆっくり長く走ることによって、スタミナがなくならないように身体に閉じ込めることができるのだ。
前述した通りセット練の組み合わせは色々と考えられますが、金哲彦さんは
1日目:スピード感覚の強い練習
2日目:ゆっくり長く走る練習
まず1日目にスピードのある持久走を実施、翌日にゆっくり長くクールダウンするような練習が「スタミナにふたをする」と著書で述べています。
上記の組み合わせで考えると
1日目:レペティション(400m×10本~15本)、インターバル(1000m×3本~5本)、閾値走(20分~40分)、ペース走・Mペース走(15km~30km)、タイムトライアル、レース
2日目:距離長め(20km~30km)のゆっくりジョグ、時間走(2~3時間)、マラニック、トレランなど
このような練習が該当すると思います。
各ポイント練習については、こちらの記事をご参考ください。
私がマラソンの本格練習をやる時期は、1日目に30kmのペース走、翌日に2時間ジョグというメニューがやりやすく、よく実施しています。
レースが控えていない通常時は、30kmジョグ+20kmジョグなど、両日ともジョグでスタミナを養成する、ゆるめの練習でつないだりもしています。
いずれにしても、2日間でフルマラソンの距離以上を走る、というのを目安にしています。
通常の平日スピード練習の翌日に少し長めのジョグを入れるのも、立派なセット練習です。
スピード系とスタミナ系など、異なる目的の練習を組み合わせることで大きな効果を得る
1日目:ゆっくり長く走る練習
2日目:スピード練習
1日目に長い距離をがっつり走った翌日にスピードのある練習をする方が負荷が高いと思いますし、怪我のリスクも高まると思いますので要注意です。
練習例としては、1日目と2日目が逆になるだけですが…
1日目:距離長め(20km~30km)のジョグ、時間走(2~3時間)、マラニック、トレランなど
2日目:レペティション(400m×10本~15本)、インターバル(1000m×3本~5本)、閾値走(20分~40分)、ペース走・Mペース走(15km~30km)、タイムトライアル、レース
2日目は、まさにマラソンの終盤のような、ペースの維持が難しくなる感じを味わえて最悪です(笑)
でも「最悪」だと思うのは、フルマラソンの終盤をお手軽に(?笑)経験してるということになるのでしょうね。
何度か経験していくと、疲労が強くなってきた時に「どうすればペースを維持出来るか」が分かってくると思います。
セット練で「スタミナにふたをする」という有名な言葉を世に送り出した金さんの著書は、一度読んでおくと参考になりますよ。
ずいぶんキツめのトレーニングを記載してきました^^;
しかし、ポイント練習をはじめたばかりの初心者ランナーにとって、ポイント練習を2日続けて実施するのは厳しすぎますよね。
そこは各ランナーの走力や身体の状態に合わせて、メニューを自由にアレンジして頂ければ充分。
初心者にとって大事なのは、通常時では走らない距離を2日間合計で走ってみたり、2日間トータルでの負荷をいつもより上げてみるという事です。
例えば、日常的には5km~10kmのジョギングがメインで週に2~3回、最近平日や休日に1回の20分間閾値走をはじめてみた、というようなランナーの場合。
1日目:20分間閾値走
2日目:ジョギング12km~15km
上記のようなメニューでも、通常時より負荷の強い、充分なセット練習になるでしょう。
また、週末に
1日目:ジョギング20km
2日目:マラニック(20km以上)
などでも、今まで2日連続で長い距離を走った事がないランナーにとっては、スタミナをアップさせる練習になります。
そしてサブ5やサブ6,また制限時間一杯を使ってフルマラソン完走を目指すランナーであり、あまり練習が積めていない方であれば、
1日目:ゆっくりジョギング120分
2日目:ウォーキング60分
というメニューのセット練習が、完走に向けての大きな力になるはずです。
フルマラソンの経験が少ないランナーにとっては、1日で42.195kmを走るのは本番以外では難しいので、2日間の合計で42.195kmに近い距離や時間を走っておくのは、とても大事なことなんです。
それは自分にとって貴重な経験になりますし、フルマラソン終盤の辛い場面で、きっとあなたの助けになってくれるでしょう。
2日間続けて負荷の高い練習をする「セット練習」についてご紹介しました。
「負荷の高い練習を2日続けてやるのは、故障のリスクが高いのでは?」
「疲労も大きくなりそう…」
と思ってしまうかもしれないですが、1日に35kmや40km走ったりするよりリスクは低いと思いますし、負荷を調整すれば継続的にやっていける練習だと思います。
セット練習のような”疲労が残る状態”で実施する練習は、得てして自分が走れると思える設定タイムよりも遅くなることがほとんどですし、かなりキツいです。
「なんでこんなに遅くしか走れないんだ」
と落ち込んだりしないようにしてください。
さらに、
「気持ち良く走れないし、ツラいからやめよう…」
というように思って練習を諦めてしまわないようにしましょう。
キツくなりすぎないように、元気な時の設定タイムより5%~10%下げて(5’00/km→5’15/km~5’30/kmなど)やるのも良いです。
大事なのは速く走る事ではなく、セット練習として2日連続で練習を継続する事です。
疲労で速く走れない状態でも怪我に気を付けて練習を継続する事で、その時は疲労で速く走れなくても、走力は確実に上がっていきます。
「あいつは練習では遅いのに、本番では凄く速い…不思議だ」
そんなライバルやラン友が周りにいませんか?
そういうランナーは、練習では常に疲労を完全に回復させないうちに次々とポイント練習を重ねていってるはずです。
だから手抜きはしてないんだけど、いつも疲れている状態だから遅い。
レースの前だけ思いっ切り疲労を抜いて、それまでに練習で培った、本来持っているパフォーマンスを発揮させているのです。
そういうランナーの多くは、こう考えているはずです。
練習は速く走る場所じゃない。レースで速く走れるように、強くなる場所だ。
って。
スピードタイプのランナーは特に、週末土曜日・日曜日にセット練習を実施して、スタミナの強化を図ってみてください。
セット練を真面目に継続していけば、30kmを過ぎてからの身体や脚の強さを実感する事ができるようになりますし、ゴールまで粘り通せるランナーになれますよ!