100kmウルトラマラソンに挑戦する事になった時に気になるのは
「どういう練習をしたら良いのか」
「走り方はフルマラソンと同じで良いのだろうか」
「シューズはどういうモノを選べば良いのだろう」
という感じではないでしょうか。
さらにレースが近づいてくると「装備」「補給」「コース」などの事が気になってくるのですが、今回は
「ウルトラマラソンの走り方」と「フォーム」についてです。
ウルトラに初めて挑戦するランナーはもちろんですが、100kmレースの終盤にボロボロになって大撃沈してしまうランナーの方に特にお伝えしたいです。
目次
ウルトラマラソンに関する書籍は、フルマラソンに関するそれよりも遥かに少ないです。
amazonで「マラソン 本」で検索すると沢山出てきますが、「ウルトラマラソン 本」で検索すると、とても少ないですし、売れないから絶版も多い。
「ウルトラマラソンに挑戦する人は多くなった!」
とはいえ、東京マラソンに30万人以上が応募・抽選で3万人が走る規模なのに対して、国内の100kmウルトラマラソンの参加者はサロマが3500人、野辺山や富士五湖が2000人弱、四万十川が1800人。
まだまだフルマラソンに比べたら「マイナー競技」と言って差し支えない規模だと言えます。
だから相対的にウルトラの本を出版しても数が出ないし、ホームページでいくら「攻略法!」とか「ウルトラの走り方!」とか書いても、多くの人が興味無いから読まない(笑)
大体マラソンを走らない友人に
「フルマラソンを完走した!」
と言っても
「は?お金払って苦しんで、何が楽しいの」
なんて反応なのに
「100kmウルトラマラソン走った!」
何て口が滑った日には
「へーすごいねー(棒読み)」
と、何が凄いのかも分かってもらえない状況。
怒ってはいけません。当然なのです(笑)
ウルトラマラソンに挑戦するようなランナーは、ランニングを楽しむ人達の中でも「異質」な存在とも言えるかもしれません。
私は自分がウルトラを走るランナーなので、周りには「異質」なランナーがたくさんいますが(笑)
少し横道に逸れましたが、ウルトラマラソンの情報はネット上でも書籍でもフルマラソンの情報量と比べて少ない印象。
誰の役に経つのかも分かりませんが、それでも誰か数人くらいは情報を欲しがっている事を願い、ウルトラマラソンの事も記事にしていこうと思います。
ウルトラに興味の無い人も、フルマラソンに応用出来るかもしれませんから、読んだ方が良いですよ!(ホントかよ笑)
数少ないウルトラマラソンの書籍の中で、良書である岩本氏の書籍。
私は、仲間が初めてウルトラマラソンに挑戦するという場合、この書籍をオススメしています。
詳しくは書評を集めた記事に加えましたので、よかったらご参考ください。
岩本氏は以前より一貫して
「フルとウルトラはフォームが同じで良い。シューズも厚底ではなく、薄底で走るべき」
というスタンスです。
ウルトラはスピードが遅いので着地衝撃が少ない。だから厚底シューズじゃなくて良い。
第一、厚底はランニング効率を低下させるし重いじゃないか、という理由からです。
しかし、私は異論を唱えたい!
何故か。
私は岩本氏の上記書籍の前著・200km走って編み出した理論 岩本能史コーチの100kmマラソンは誰でも快走できる
それはもう、終盤はまともに走れないほどでした。
「このー!I本の嘘つきがー!!」
とも思いましたが、そこは従順な日本人・血液型A型。
「いや、自分の脚が弱いんだ。ただただ、それだけだ」
と、3年間も自己解決しておりましたw
しかし、100km4回目のレース前にようやく自分にとっての「ウルトラの走り方」をマスターし、80kmまでは比較的スムーズにキツい場面もさほど無く、そして80km以降もゴールまで大きく撃沈せずにサブ10で走れたからです。
確かにウルトラに強いランナー達は、フルと同じフォームで走っているように見受けられますし、それで終盤まで大きく撃沈すること無くゴールまでたどり着けています。
でもそれは
「フルと同じフォームで問題無くウルトラを走れる強いランナーだけ」
だと、3年もかかってやっと分かった(笑)
特に私のような「スピードタイプ」であり、ウルトラ弱者であるランナー、長距離が弱い、60km~80kmで確実に脚がダメになる、そんな人は
「ウルトラ特有の走り方」
にしないと、100kmを上手に走りきれない。
ウルトラ弱者には「弱者の戦略」が必要だったんです。
よくウルトラの走り方として
「すり足で進む」
「踏みきりは小さく、足を前に置くだけで移動するイメージ」
「歩幅は歩く時に比べて15~20cmほど広げるだけ」
など、先輩方から様々なアドバイスを頂けます。
でも、それを頭で分かっているのと、身体をその通りに動かすのは違うんですね。
意外と難しい。というか、全然出来ていない場合が多かったりする。
楽に速く走るフォームは「ウインドスプリント」や「スピード練習」で訓練すれば獲得出来るのですが、「楽に遅く・どこまでも走る」というのも訓練が必要でした。
訓練しないと、フルの速いフォームのまま、歩幅を短く・ピッチを遅くするだけになってしまいがち。
どうすれば100kmの道のりを大きく撃沈しないで走れるのか、の答えは
「上下動を可能な限り抑えること」
にありました。
「バカ野郎!当たり前じゃねーか!!」
と思うあなた!
例えば、試しに何も入っていない、適度な大きさの身体にフィットしたラン用リュックを背負ってパン屋さんに行って、角食(食パン)や菓子パンなど、少なくとも3~4個くらい買ってリュックに入れて自宅まで帰ってきてください。
いつも通り走ろうとすると…ほら、パンが全て上下動で揺れて下に集まって潰れてしまう予感がしませんか? 自分の走り方、意外と上下動してませんか?
これは実際にやってみないと感覚が分かりません。試してみるとよく分かります。
出来る限りパンが下に集まって潰れてしまわないようにイメージしながら走ってみてください。
膝を伸ばさないで走るような感じになり、すり足で上下動のない滑るような走りを体感出来ないでしょうか。
私はこの感覚を覚え、リュックが無くても同じように、そして少しスピードも出して走れるように訓練をして、本番では5’30~40/kmで巡航出来るようにしました。
そして終盤も過去3回と比べてダメージが少なかったおかげで、ペースダウンを何とか抑えてサブ10することができました。
「ウルトラマラソンに初めて挑戦するけど、80km以降が怖い…」
という方は、そんな走り方もマスターしておくと、レース終盤での地獄を回避出来るかもしれません。
これはフルマラソンでも使えますよね。
あまり跳ねるフォームだと、フルでも終盤に脚が動かなくなってきて大きくペースダウンしてしまいます。
かといって、ウルトラのフォームをそのままフルでは使えないので、少しだけ上下動を抑える動きを取り入れて走ってみる。
そんな工夫で、フルでも終盤に良い影響を及ぼすかもしれません。
フルマラソンもウルトラマラソンも、速く走れる走り方、効率的な走り方は人それぞれ違います。
私が上記のやり方で100kmを上手く走れたからといって、万人に当てはまる訳ではないと思います。
でも、100kmウルトラマラソンの終盤でどうしても潰れてしまう、どうしようもない位に動けなくなってしまう、というランナーの方は特に試して頂きたいです。
あなたにとって効果があるかどうかは分かりませんが、もしかしたら違う何かを掴めるかもしれません。
トライ&エラー、ダメ元で何でも自分でやってみてください!